”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

小説のモデルになりました。

何気なくネットで新刊書のコーナーを見ていて読書欲がわき日本から来る知人に福岡空港で買って来て貰ったのがこの本である。普段は余りこの手のハードカバーは読まないのだが帯に”定年退職して始まる、、”とあったのが目に留まり読んでみたくなった。
 
イメージ 1二晩で読み切ってしまったが何と本の主人公はワタシ自身ではないか、、孤舟と書いて”こしゅう”まさに大海に漂う小舟、、タイトル通りにその内容はサラリーマン生活を終えて定年退職した主人公が初めて家庭を省みる話で何時もの渡辺淳一とはまったく想定が違うし展開も予想外だ。
 
長いサラリーマン生活=同じく20年を勤勉サラリーマンとして都内の企業に勤務。それから更に転職して十数年、都合30年は確実に会社を背負ってたつもりでいた、、。
 
子供たちは独立=同じく三人とも独立。
 
配偶者=家内のほうが全てにおいて活発、友人も多く、趣味もあって何処へでも飛んで行く、、、。
 
家庭内=炊事、洗濯、掃除と全くダメな主人公、何処に何が仕舞ってあるのかも判らない、、こりゃ違うぞ。ワタシの場合は全部OK、特に洗濯物などは折りたたみかたが独特なのでこれは全部自分でやらなきゃ気が済まないし昨今は料理だって洋食料理限定だが殆どやる、しかも料理が出来て食べる頃にはもう使った鍋、フライパン一切きれいに洗って片付いているし、、、。
 
しかしこの主人公のようにある日を境に出社しないでもよくなった現実、趣味もない、家庭でも会話がない、、と言う事は共通の話題がない、友人もいないとなって話の本筋に入って来るとこりゃ全く我々、団塊の世代に共通するものなのか、例えばこうして海外に来ていなければこりゃ我が身に降りかかって来たであろう現実である。
 
こうして今は海外で管理人業をこなしているが日本に居住していたらと考えただけでぞっとして昨晩は寝れずに結局最後まで読んでしまった。しかも本に出て来る場面、若い彼女と知り合い初めてデートに出掛ける場所があろう事か現実に20年も勤め上げたホテルなので尚更身近に感じてしまった、、おまけに住んでいる場所が二子玉川、、となると同じ沿線だし毎日通勤に通いなれたルートまで同じだ、、。ペットにビーグル犬がいてご主人にはとっても懐いているなんて書かれるとこりゃもう自分の事だと錯覚する始末、、、、他にもぎっくり腰やら似た逸話があり珍しくもう真夜中をとっくに過ぎているのに、、。
 
最後は色々あって家を半年も出ていた奥方が帰って来てくれ、主人公も現実に目覚める。そして家事の手伝いやら洗濯、料理までやると心を入れ替える場面でハッピー・エンド、、と言えるのかな、。脱線しかかった女性問題も無事に解決して元の鞘に納まるのだが、、。こりゃ家内には読ませられないな、、このままカバーを付けたまま書庫に埋もれさせておこう、、でも買って来てくれたのが家内の友人だし受け取った事は知っている、つまらない本だったとで言っておこうかな、、。