”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”Tokyo Vice"(22年)

WOWOWが独自に制作したシリーズで8話で完結するらしい。その第一話、”新聞記者”が配信された。東京の暗黒街を背景に犯罪捜査にあたる片桐刑事(渡辺謙)とアメリカ人ながら東京で大学を出て普通に新聞社へ就職した若者、ジェイク(アンセル・エルゴート)が活躍するようだが監督はアメリカのマイケル・マンで全編東京でロケを敢行したとの情報だった。

 

 

やたら広告だけは目についたのでその初回を録画して置いた。明らかにタイトルは”マイアミ・バイス”から拝借したと思うのだがマイアミの犯罪組織とは大分違ってた。どうもアメリカ人から見た日本のヤクザ感が強くてテンポもノロい、、冒頭舞台になったのが(ロケ地)東京の某ホテルのロビー、、これは20年間も通っていた職場なので一瞬見ただけで何処か直ぐに判った。ボクが現役の頃はそんなロケは許されなかったものだが新館が完成し近いうちに取り壊しになるので許可されたんじゃなかろうか、そしてこれが見納めかも知れない。

確かに意欲的な制作振りは判るのだがどうやら撮影したカメラは手持ちビデオなのか微妙に揺れるし照明もマイクの収録も難ありでマイアミみたいには行かないのだ。背景も何となく隠し撮りみたいな雰囲気で最後まで集中出来なかった。

肝心の日本側から刑事として配役されている渡辺謙は出番がなくて終始ジェイクが新聞社の筆記試験、面接に合格してブンヤとしてサツ周りを命じられ所轄の刑事さんとそれなりに仲良くなる。その新聞社の上司には菊池凛子が扮していて何となく重要な役どころになって行く予感はするのだが、、。

殺人事件、それに投身自殺と立て続けて事件が勃発し命じられるままにジェイクはネタを探し自分なりの推測で記事を書くのだが警察発表ではまだ”殺人”と断定されていないのに殺人事件と原稿に書いてしまいデスクにこっびどく叱られる。まあ理由は判るしそりゃそうなんだがどうも展開が遅くてこれじゃ二話以降オレにはもう耐えられないかも知れない、、、そんな幕開けの第一話でありました。

”サイレンシング”(20年)

原題もハッキリって訳が判らない、、”The Silencing"(静寂とか無音の状態を指す)と言うのだが本編の内容とは余り関係がないのだ、それをカタカナで邦題にして貰ってももっと意味が不明だよ、。新しい映画だが劇場公開には至らなかったようだし十把一絡げで買い付けさせられたうちの一本、そんな背景じゃ凝った邦題はつけられなかったと言うのが真相だろう。

でも映画は犯罪ミステリーファンにはかなり興味ある展開で主人公の設定も好感が持てるんだがやはりツメが甘いと言うか内容がイマイチだった。アメリカとカナダが手を組んで制作されたようだが舞台は寒そうなカナダの森林地帯、、;

 

野生動物保護区の管理人、レイバーン・スワンソン(ニコライ・コスター=ワルドー)は5年前に失踪した娘(グウェン)のことを思い出しては懺悔する日々を送っていた。そんなある日、レイバーンの下に「女性の遺体が湖で発見された」との一報が飛び込んできた。

「もしや娘では」と思いすぐさま病院に向かったレイバーンだったが、遺体は見知らぬ女性のものであった。しかし、この一件をきっかけに、レイバーンはグウェン失踪事件の真実に近づいていく、、

 

 

 

っと此処まではかなりイケる、、冒頭は荒涼としたカナダの大地を流れる河に何やら赤いものが流れている、、。そしてカメラがアップされるとそれは流されて行く死体だと判る。この出だしは衝撃的で先のレイバーンとは何の関係もなく(?)レイバーンが確認に行った時には赤いシャツは着ておらず裸なので見ている方はうん、これは誰だ?っといきなり突っ込まれる始末だ。

そのレイバーンは密猟者を摘発する為に森の中に隠しカメラを仕掛けているのだがある日、若い女性が逃げていく様子が捉えられている。そしてその後を追う不審な男、慌てて現場に出向いてみるとその女性は辛うじて魔手を逃れ隠れたがレイバーンは何者かにボウガンで襲われてしまう。肩に矢じりの付いた矢を受け怪我を負うが何とかその若い女性を助け自分の監視小屋へ戻る事が出来る。

同じ頃、町の保安官、アリス(アナベル・ウォーリス)は死体の身元を調べる為に捜査を開始する、、そんな二人が全く接点のない別の事件を捜査している様子だったのが連続殺人事件に発展し二人の捜査が同じ方向へ向かっていく。

かように題材と背景はベリーグッドなんだがナンか空回りしているんだな、、何が行けないのか?レイバーンは森林で禁漁区を管理しているくらいだから悪いヤツの扱いはお手の物、アリスは魅力的な女性で独身、、恐らく最後は、と思いきやそうはならないし演出がどうもしっくり来ないのだ。

最後は意外な真犯人が判りハッピーエンドにはなるがどうもスッキリしない終わり方で続編ありき、、でもシリーズ化されたモノじゃなし単独で終わっている。マイナーな制作元が手軽にTV放映用にそんなに予算もかけずに作った、そんな映画でありました。

 

 

 

”イェローストーン”(20年)

 

冒頭この独奏的なテーマ曲で始まるTVシリーズWOWOWでは毎週2話ずつ放映してくれるのでシーズン1も2も(夫々10話で構成)あっと言う間に終わり、いよいよシーズン3に突入だ。

主演はケヴィン・コスナーで総体的に言えば現代に蘇った西部劇である。大牧場主のジョン・ダットンを演じるケヴィン・コスナーだが奥さんを亡くした彼には息子が二人と娘が一人いる。そして広大な牧場の運営を手伝う従業員、カウボーイ達が居てモンタナ州を舞台に壮大な物語になっている。最初のシーズン1を見た限りではコレはオレのストライクゾーンからはちょっと離れすぎているかな、、と思ったが結局、1も2も全部録画収録して見終わってしまった。

まあどっぷり浸かってしまったって訳だ。ダットン一家が遭遇する難題や理不尽な仕打ち、それにカウボーイ達にもヘンテコな奴が居たりして毎回目が離せなくなっているのだが逸話のスピードが早く退屈な場面はありゃしない、しかもCMフリーなのでトイレにも立てないし、、。

 

 

 

それにしても携帯電話を駆使しダットン家のヘリコプターが飛んでいる時代設定だと言うのに皆さん拳銃やライフルは当たり前のように持っているし100年以上も前の西部開拓史並みにぶっ放すのには驚かされる。

シーズン1では登場人物全員の背景が語られたが長男のジェイミー(ウェス・ベントリー)は弁護士、次男のカイス(ルーク・グライムス)はカウボーイだが親父とは反りが合わない、でも結婚してて息子がいる。長女のベス(ケリー・ライリー)は頭脳明晰で親父さんの片腕、、と思いきやこれまた、確執があって家族とも反目している。

そんな状況説明からダットン家が先祖代々受け継いて来た広大な土地を搾取して総合リゾートを建てる計画も持ったヤツ、それに同調する市の役人やら保安官など、、が入り乱れて凄まじい戦いに発展して行く。

シーズン2ではそんな敵対する連中がダットン家、一人一人にターゲットを絞り最後は決戦にまで発展する。ジョンがこよなく愛している初孫のテイトが誘拐されて終盤は壮絶な戦いに発展してシーズン2が終わっているので次のシーズンを見ない訳には行かなくなっているのだ。

ジョンを演じるケヴィン・コスナーは63歳になるらしいがこのドラマでは一家の守護神として時には銃を手に、ある時は陰になって命令を下す。映画の”ボディーガード”や”アンタッチャブル”の時からは大分時間が経過してるがそれでも強い信念を持った大地主を好演している。

やはり制作元プロデューサーも局の重鎮だって主演に誰を持って来るかが大きく評価に影響を与えるし視聴率さえも左右すると言う事は充分判っているんだろうと改めて見直した次第であります。

 

 

 

”ウェスト・サイド・ストーリー”(21年)

早くも有料配信が始まったので真っ先にゴー、そりゃ映画館で見るより550円と断然安いのだがあのデカいスクリーンとステレオ音響は家庭では再現出来ない。

しかし1961年版のオリジナルは”ウェスト・サイド物語”だったのにナンで今回は”ストーリー”なんだか、、そう言えば翻訳時には”指輪物語”だったのが”ロード・オブ・ザ・リング”にディズニーランドじゃ”カリブの海賊”て通っているのに映画じゃ”パイレーツ・オブ・カリビアン”に、、名作”荒野の七人”が”マグニフィセント・セブン”だし昨日は”ワット・ライズ・ビニース”とかマッタク意味不明の邦題を見かけた。

兎も角これは日本語放棄以外のナニものでもないしそれら以外にも近年は訳の判らない邦題ばかりだ。本当に配給元ではカタカナの方がカッコ良いと思っているんだろうか?

イヤ~、思わず熱くなった、、そうだった”WSS”のスピルバーグ版を見たんだった。使われている曲は全部オリジナルのレナード・バーンスタインとデイビット・ニューマンなので安心して聞ける。しかし乍らイヤな予感が的中してしまった。それは配役陣でオリジナル版と比べると各自の個性がどうもしっくり来ないのだ。

まずベルナルドを演じたデイビット・アルバレズ、オリジナルのジョージ・チャキリスと比べると妙に足が短い、、そしてトニー役のアンセル・エルゴートは背が高くてマリアと全く釣り合わない。オリジナルのリチャード・ベイマーは典型的なアメリカの青年風情だったがそれが妙に違う、、そしてマリアを演じたレイチェル・セグラーはそりゃ可愛さはあってもナタリー・ウッドの足元にも及ばないしリフのマイク・ファイストだってラス・タンブリンの軽快さと素早い動きは無いのだ。

かようにこの配役陣だけでハッキリ言ってかなりガッカリした。オリジナルを見た時の衝撃が再現されるとは思ってもいなかった。このニューバージョンを見たティーンエージャー達はオレが61年度版を劇場で見て感動したように感じてくれるならそれでも良いのだがやはり配役陣の個性の違いは感じない訳には行くまい。

潜在意識に恐らくそうだろうな、、と危惧していた事はやはり現実だった。後出しじゃんけんじゃないがだから映画館へは足が向かなかったんだと見終わって気が付いた。

 

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オリジナルのベルナルド、、ジョージ・チャキリス

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新作のベルナルド、、デイビッド・アルバレズ

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この二人はマリアを演じたナタリー・ウッドにレイチェル・ゼグラー

そりゃスピルバーグ監督ともなればオレなどが懸念するよりずっと以前から名作のリメイクを制作するとなればこんな事にならないようにと慎重に配役、人選そして背景や舞台を検証していたんだと思う。でもやっぱりこの配役陣を見るだけでもロバート・ワイズ監督は超えられなかったと感じた。それに終盤の30分はちっともミュージカルじゃなかったし、、。

 

 

リドリー・スコット監督の作品ランキング (再)

これは以前IMDbで見つけた人気投票、早速内容を見てみると、、、;
(年代順にウィキに掲載されていた監督作品)
 
デュエリスト/決闘者 The Duellists (1977) カンヌ国際映画祭新人監督賞
 
誰かに見られてる Someone to Watch Over Me (1987)
ブラック・レイン Black Rain (1989)
 
テルマ&ルイーズ Thelma & Louise (1991)
1492 コロンブス 1492: Conquest of Paradise (1992)
白い嵐 White Squall (1996)
 
G.I.ジェーン G.I. Jane (1997)
ハンニバル Hannibal (2001)
 
ブラックホーク・ダウン Black Hawk Down (2001)
マッチスティック・メン Matchstick Men (2003)
キングダム・オブ・ヘブン Kingdom of Heaven (2005)
 
それでも生きる子供たちへ All the Invisible Children (2006) オムニバス映画
アメリカン・ギャングスター American Gangster (2007)
 
ワールド・オブ・ライズ Body of Lies (2008)
ロビン・フッド Robin Hood (2010)
プロメテウス Prometheus (2012)
 
悪の法則 The Counselor (2013)
エクソダス:神と王 Exodus:Gods and Kings (2014)
オデッセイ The Martian (2015)
 
(これはプロメテウスの続編)
ゲティ家の身代金(2017)最後の決闘裁判(2021)
ハウス・オブ・グッチ(2021)
 
う~ん、、見てない映画が4本あるがこりゃ投票する資格はあるぞ。一本だけ選ぶようになっているのだが私が投じた作品よりまず結果から、、。
 
5位が”アメリカン・ギャングスター”で64票
4位が”オデッセイ”で227票
 
そして
3位は、、、”ブレードランナー”が464票
2位は、、、”グラディエーター”で595票だった。更に人気映画トップに選ばれた作品は
1位に、、、”エイリアン”667票
 
との結果でした。やっぱりそう来たか、、ワタシは”ブレラン”に貴重な一票を投じたのだが人気は”グラディエーター”や”エイリアン”の方が上だった。
 
因みに高倉健さんも出た”ブラックレイン”は18位、でこれも大好きな”ブロヴァンスの贈り物”は16位でした、、まあそんなもんかな~、、。
 
 
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このおっちゃん1937年イギリス生まれなのでもう80歳を大きくオーバー、、だが益々お盛んだ。2012年に実弟トニー・スコット監督を68歳で亡くして茫然自失、暫く映画界の表舞台からは遠ざかっていたのだが、、”エイリアン”シリーズの元ネタになる”プロメテウス”の続編が公開されたしプロデューサーとしても大活躍中、目の離せない重鎮である。