”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”日の名残り”、、名優対決

”又、同じ映画を見るんですか??”と聞いて来る同居人もいないし、良い映画と判っているので安心して見ていられる、、そんなで今夜は自炊も面倒だったのでダブル・チーズバーガーを頬張って夕食は終わり、僅か10分で終っちゃったのでちょっとTVを、そしたら丁度始まったところであった、、。
 
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サー・アンソニー・ホプキンズがバトラーを演じ、エマ・トンプソンがハウスキーピング頭を演じているそのタイトルは”日の名残り”(93年)である。
 
原作は九州出身の日本人、イシグロ・カズオ氏。
 
時代は1930年代から50年代へかけてのイギリス貴族の大きなお屋敷
内の物語である。
 
仕事には厳格で仕えるお屋敷専属のバトラー、これはもうちょっとしたホテル並みの仕事である。アチラでは今でも歴代のバトラー一家が実在するしこの映画でも主役のミスター・スティーブンスにはやはり生涯バトラーをしている父親のミスター・スティーブンス シニアーがいる。此処ではダーリングトン伯爵に仕えるのだが映画の出だしで父親もこのお屋敷にお世話になり同じくミス・ケントンを演じるエマ・トンプソンも面接にやって来る。
 
画面はフラッシュバックして20年後、新しく屋敷のオーナーになったアメリカ人の元ルイス上院議員に休暇を申し出てミスター・スティーブンスは遥々ミス・ケントンを訪ねて行く、、出来れば又、新オーナーの下で働いて欲しいと願っているのだが、、。
 
そこで画面は又、一次大戦後のダーリングトン卿の屋敷へ、戦後の復興期、英国が音頭を取りドイツ、フランス、イタリア、アメリカなど諸国の高官を呼び平和遂行への道を探るべく会談を開く、。このあたりは丁寧にバトラー及び屋敷で働く夫々の部署の仕事ぶりが描かれ貴族生活を垣間見る事が出来る。重要な会議の真っ最中には父親が倒れるがそれを看取る事も叶わず仕事優先、そして仄かな愛情を寄せるミス・ケントンにもはあくまで連れない、、。もう不器用とかではなく仕事以外には目に入らない、イヤ、受け入れもしないバトラー魂が染み付いているミスター・スティーブンスをアンソニー・ホプキンズが好演している。
 
実は翌年94年のオスカーには主演男優、女優そして作品賞から監督賞、脚本と8つの部門でノミネートされているのだが夫々”フィラデルフィア”のトム・ハンクス、”ピアノ・レッスン”のホリー・ハンター、”シンドラーのリスト”のスティーブン・スピルバーグへ行ってしまった、、、。競合した相手が悪かったとしか言いようがないが両者の演技そして映画の完成度の高さ、稀に見る秀作である。
 
個人的にもホテル屋を30年近く勤めたので大変彼等には共感出来るし後年この映画をお手本として若い社員にはビデオを見るように勧めていた。もう映画館で見てから何回TV画面で見たか判らないほどだが見る都度に解釈が変わってくるしやはり秀作は心地よい、、、。
 
☆☆☆☆+をつけても良いかな。