”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”バビロンA.D.” (08年)

主演はヴィン・ディーゼルミシェル・ヨーもメインキャストに、それとシャーロット・ランプリングも、、でも内容となると何が何だかオレの許容量はとっくに越えていた。総体的にはジェーソン・ステイサムの”トランスポーター”みたいなもんだが、。ウィキによると、、;

 

戦争やテロが頻発している近未来。テロリストとして指名手配され、新セルビアに潜伏している傭兵のトーロップ(V・ディーゼル)はある日、武装集団に襲撃され、彼らを雇ったマフィアのゴルスキー(ジェラール・ドパルデュー)と引き合わされる。彼が出した依頼は、オーロラという若い女性を宗教団体ノーライト派の修道院から6日間でアメリカに運んで欲しいというもの。

多額の金とアメリカへの入国パスポートに魅力を持ったトーロップは彼女の護衛であるシスター・レベッカ(M・ヨー)とともにオーロラを送り届ける旅に出るが、彼らはそこでオーロラを巡る者達の争いに巻き込まれていく。

 

 

まあ設定は近未来って事で最初はゴツイ装甲車みたいなセダン、そいつでセルビアから北上してロシアへ、、今度は東を目指して大陸横断は列車の旅、更には潜水艦に乗り継ぎ最後はカナダからスノーモービルでニューヨークへ行くのだがこの間が6日間、、まあ確かに”80日間で世界一周”する映画もあるので無理だとは言わないが、、。

それでも背景は近未来風なのに何となく前時代的な雰囲気だし最後まで何がどうなって何が起きているのか理解出来ずにエンドロールになってしまった。

やっぱり筋書きのない野球中継の方が断然面白い、、しかしNHKBSめ、大谷大谷と言うだけで所詮野球は団体競技ではないか、それを幾らスーパースターだと言ってもエンジェルスだけを追って中継するかな?

そりゃ個人の活躍は凄いものがあるのは判っているがチームがもうとても上位には残れない程に順位を引き離されている。個人の活躍ならニュースでも良かろうに、、今朝別の有線で放映されたような首位攻防戦、ヤンキースVSアストロズみたいな手に汗を握るようなゲームを放送してくれよ、。

 

 

 

”恋に落ちたら・・・” (93年)

原題は”Mad Dog And Glory”と言うこれ又、訳の判らないモノだが主演がロバート・デ・ニーロユマ・サーマンビル・マーレイと来てプロデューサーがマーティン・スコセッシとくりゃかなり期待するぜ、(監督はどうでも良い)。

設定はギャングと刑事の交流と言えば良いのか、、舞台はシカゴでデ・ニーロはウェインと言う敏腕刑事、何せあだ名が”マッド・ドッグ”なので殺人現場での采配振りには仲間の刑事からも一目置かれている。

 

 

そのウェインがある事件現場に駆け付け容疑者を辿る最中コンビニへ寄ってみると其処に追っていた容疑者が、、既に店主を撃ち殺していて中にいた客を人質に拳銃を向けて来る。咄嗟の出来事にレジの開け方を教え人質を解放させ逃がすのだがその殺されかけていた人質は何とギャングのボス、マイロ(B・マーレイ)だった。

マイロはウェインを命の恩人として丁寧に扱いお礼として自分の彼女、グローリー(U・サーマン)を一週間限定で”貸し出したい”と申し出て来る。まあこの辺はかなり無理な設定だとは思うがプロデューサーがスコセッシなんだからと自分に言い聞かせ継続して見る事に、、、。

案の定、この二人が恋仲に、そしてマイロが怒り狂う、、と変化球なしのもろツマンネー展開になってしまった。兎に角、マイロにしても街のギャングで大ボスとは言っているがそんな風情じゃないし用心棒役のハロルドもデカいだけでちっとも良いところがない、。それにクライマックスの山場もないし途中からは山なし、谷なし、ナニもない状態で街角での殴り合いで終わりと言う実にヘンテコなギャング&刑事映画だった。

このブログに残すのさえも躊躇われたがこのところメージャーの野球中継に忙しくて映画は勿論TVシリーズもドラマもナニも見るチャンスがないので止む無くこんな映画を見るハメになってしまった、。

完全に邦題にしてやられた、、ニューヨークの通勤列車を舞台にしたロバート・デ・ニーロメリル・ストリープ主演の”恋に落ちて”(84年)から勝手に想像しちまったオレが悪いのだがそれを目論んでこんな邦題を付けたヤツは訴えてやりたい、、、。

”ブラック・ブック” (06年)

先日投稿した”嵐の中で輝いて”と同じような設定でドイツ軍将校元へ潜入する”女性スパイ”を描いたものだが流石にこっちは監督がポール・バーホーベンだけあってラジー賞にはかなり遠くに位置しているし断然出来も良かった。

時代設定は1944年頃からの出来事だが冒頭の場面はイスラエル、1956年くらいからスタートする。主人公のエリス(カリス・ファン・ハウテン)が教師として子供達を前に授業をしている所へオランダ人の観光客が偶然にも彼女を見かけ近寄って来る。そのロニーと言う女性は戦争末期のドイツ軍占領下、オランダで出会った女性でその出会いをきっかけに一人戦時中に起こった辛い過去を思い出して回想して行く変則スパイ映画になっている。

 

 

 ナチス・ドイツによる占領中のオランダで、ユダヤ人であるエリス一家は両親や弟と隠れ家でひっそりと暮らしていたが、ある日、隠れ家が爆撃されてしまう。難を逃れたエリスは、偶然居合わせた男の家へ身を寄せるが、そこへオランダ警察であるという男が現れ、すぐにドイツ兵がやってくるため逃げるよう警告する。

その男の手引きで逃げることにしたエリスは、離れ離れになっていた家族とともにまだドイツに占領されていない地域へ船で逃げようとするが、突然現れたドイツ兵に襲撃され家族を皆殺しにされる。

復讐を誓うエリスは助けてくれたレジスタンスに加わる事になる。そして無線機器を列車で運んでいた際に偶然にも諜報部のトップであるムンツェ大尉と居合わせ、列車内のコンパートメントに同乗することになる。これを縁に、ユダヤ人である事を隠してムンツェ大尉の愛人となり、ドイツ軍へ潜り込みスパイ活動を始める。

 

と言うお話でレジスタンスの仲間うちでも裏切りモノが出たり敵に情報が漏れていたりとエリスも誰を信じて良いのか判らなくなる。そんな中、最初は惨殺された家族への復讐と誓っていたのが何時かムンツェ大尉を愛するようになり苦悩しながらも本当の裏切り者を探す展開になって行く。

この辺りは設定が良いしほど良い緊迫感で最後まで引っ張られてしまう。この手の作品にしては150分とチョイと長かったがそれでも充分楽しませて貰った。

 

 

 

 

 

”嵐の中で輝いて” (92年)

この映画は”変則スパイ”ものだが公開された翌年には見事に監督、作品&主演女優部門でラジー賞(年間最低賞)を獲得してしまった。それ程に酷評されたのだが個人的には結構好きな作品だ。

 

 

主演はマイケル・ダグラスメラニー・グリフィス、それにリーアム・ニーソンがドイツ軍部の上級将校役に配役されている。背景は1940年代まさに第二次大戦が勃発しそうな時期でアメリカとヨーロッパ大陸を行ったり来たりする展開に、、。

映画の冒頭はアメリカの放送局だかのインタビュールームで老婦人が語る場面、傍にはご主人らしい老紳士が席に着いている。その老婦人はリンダ(M・グリフィス)と言い(老婦人のメイクだがあの独特の舌ったらずの喋り方で誰か直ぐに判る)どうやらインタビュワーに答えて戦中の体験談が始まるらしい、。

若いリンダは父親がユダヤ人でドイツ語が堪能だった事から弁護士事務所へ勤務する事になり新進の弁護士事務所、リーランド(M・ダグラス)に仕えている。しかしそのリーランドの裏の顔はCIAの前身、米軍戦略事務局の対ヨーロッパ情報網を統括運営する責任者だったのだ。

そして戦争へ向かってアメリカ、ドイツが対立を深めていく中でドイツに潜入していた優秀なスパイが殺害されてしまう。リーランドは後任選びにあちこちと遁走するが適任者がいない、、そんな時にドイツ語が堪能なリンダの事を思いつく。

既に二人は愛し合っていたのだがリンダはドイツに居る叔母夫婦を助けたいとの申し出と彼女の熱意にうたれてリーランドは全くの素人であるリンダをドイツ軍の司令部に所属する上級将校の元へスパイ兼家政婦として潜入させる決定をするのでした、、。

っとまあこんな展開になりデートリッヒ(L・ニーソン)のお屋敷に潜入するリンダだがすっかりデートリッヒにも気に入られスパイどころか身動き出来ない有様に、、まあこの辺りの展開が”ラジー賞”受賞のきっかけかも知れないのだが、。

まあ肝心なスパイとしての情報はドイツ軍部は何を仕掛けようとしているのか人選はどうなのか、、そんな具体的な情報をアメリカ側へ流す事で普段は現場には出て来ないリーランドは直々にお出ましになり指示を伝達し生の情報を得て行く。

そして”嵐の中で最後は輝く”のであります。まあ戦後こうやって二人とも揃って老後をエンジョイしているので戦中、活躍中に殺されてしまった訳じゃない事は判っているので安心して最後まで見てられた、、。

確かにアメリカには都合の良い展開だしツッコミ所だって満載だが死んだ奴が生き返ったり足を撃たれても平気で走って来るケースが多い展開の中で此処は文句は言うまい、。

 

 

”針の目” (81年)

原題は”Eye Of The Needle"と言うのだがイギリス人作家のケン・フォレットが書き下ろした極上のスパイ小説の映画化である。ドイツからイギリスへ潜入して来た”フェイバー”と呼ばれるスパイが”針”と言う作戦名の元、大戦末期のノルマンディ作戦時に連合軍が何処へ上陸するのかを探るのが役目だ。

 

そのフェイバー(ドナルド・サザーランド)は護身用と言うか好みの武器として細身のナイフを携帯している事から付いたあだ名で映画は冒頭イギリスの断崖を背にした海岸へ小型舟で潜入して来るところから始まる。

嵐の晩だったが断崖を登りきると人里離れたところに民家がありその小屋に避難するのだが其処には車椅子生活の主人デイビットと献身的な妻のルーシー(ケイト・ネリガン)が住んでいる。ルーシーはフェイバーを温かく迎え体力が回復するまで面倒を看る事になるのだが、、。

そんな冒頭でフェイバーは回復するなり早速あちこちへ出向き情報収集にあたるのだが何時しかルーシーと相思相愛の中になって行く、当然のようにそれを良く思わないデイビッドだが車椅子じゃどうにもならない。

 

 

他の小説でもそうだがこのケン・フォレットと言う作家はアクションは勿論だが妙にねちっこい作家で濡れ場の状況説明が実に上手いのだ。映画化でもフェイバーとルーシーの描写が刺激的で何時かフェイバーも自身の任務を忘れちまうのだ。

そしてデイビッドは元軍人だけあってフェイバーの挙動不審な日常を怪しむようになって行く。でもルーシーはそんな心配を他所にフェイバーにぞっこん、しまいにはデイビッドを崖から突き落として二人で逃げようなんてよからぬ相談を持ちかける始末だ。

この辺りの三者三様の駆け引きが戦争末期のイギリス海峡を背景に描かれて行く。さあフェイバーは連合軍の予定する上陸地を見つける事が出来るのか、、デイビッドの懸念は当たるのか、、そしてルーシーは恋するフェイバーと一緒に逃げられるのか?

そんな異色のスパイもので”針”を演じたドナルド・サザーランドが実に巧い、一種のサイコパス的な不気味な存在感はこの映画でしっかり確立されている。多くの映画で善人、悪人、そして何を考えているのか不明で影のある役柄もやっているがそんな不気味さが一番似合っている気がする。

終盤は時間との戦い、海峡沖にドイツのUボート潜水艦がやって来てフェイバーを”回収”する予定だがそれまでに上陸地を探し出せるのか、ルーシーはどうするのか?目が離せない展開はやはりスパイ映画ならではの秀作でした。