先日投稿した”嵐の中で輝いて”と同じような設定でドイツ軍将校元へ潜入する”女性スパイ”を描いたものだが流石にこっちは監督がポール・バーホーベンだけあってラジー賞にはかなり遠くに位置しているし断然出来も良かった。
時代設定は1944年頃からの出来事だが冒頭の場面はイスラエル、1956年くらいからスタートする。主人公のエリス(カリス・ファン・ハウテン)が教師として子供達を前に授業をしている所へオランダ人の観光客が偶然にも彼女を見かけ近寄って来る。そのロニーと言う女性は戦争末期のドイツ軍占領下、オランダで出会った女性でその出会いをきっかけに一人戦時中に起こった辛い過去を思い出して回想して行く変則スパイ映画になっている。
ナチス・ドイツによる占領中のオランダで、ユダヤ人であるエリス一家は両親や弟と隠れ家でひっそりと暮らしていたが、ある日、隠れ家が爆撃されてしまう。難を逃れたエリスは、偶然居合わせた男の家へ身を寄せるが、そこへオランダ警察であるという男が現れ、すぐにドイツ兵がやってくるため逃げるよう警告する。
その男の手引きで逃げることにしたエリスは、離れ離れになっていた家族とともにまだドイツに占領されていない地域へ船で逃げようとするが、突然現れたドイツ兵に襲撃され家族を皆殺しにされる。
復讐を誓うエリスは助けてくれたレジスタンスに加わる事になる。そして無線機器を列車で運んでいた際に偶然にも諜報部のトップであるムンツェ大尉と居合わせ、列車内のコンパートメントに同乗することになる。これを縁に、ユダヤ人である事を隠してムンツェ大尉の愛人となり、ドイツ軍へ潜り込みスパイ活動を始める。
と言うお話でレジスタンスの仲間うちでも裏切りモノが出たり敵に情報が漏れていたりとエリスも誰を信じて良いのか判らなくなる。そんな中、最初は惨殺された家族への復讐と誓っていたのが何時かムンツェ大尉を愛するようになり苦悩しながらも本当の裏切り者を探す展開になって行く。
この辺りは設定が良いしほど良い緊迫感で最後まで引っ張られてしまう。この手の作品にしては150分とチョイと長かったがそれでも充分楽しませて貰った。