既に歴史になっている人物は見る側にもその対象が古い写真くらいしかないので役作りには伝記や画像に頼るしかない、古い世代には知られるそれ程古くない場合は参考資料や映像も沢山あるしそれなりの役作りと言うか制作側が似た人物に焦点を合わせてオーデションが出来る。そして現存、まだ歴史にはなっていない現役バリバリの場合、、、こりゃ作る側も演じる側も難しい。
その3つのケースで特出したものを見ると最初はクイーンビクトリア、この人は1837年に生まれイギリス女王となられたがその映画化が原題を“Mrs. Brown”(97年)と言う“Queen Victoria 至上の恋”である。主演はジュディ・デンチ、これはもう言う事なしの出来、特に夫アルバート公に先立たれ失意のどん底にある女王の心を少しずつ開かせて行く愛馬の世話係を演じたビリー・コネリー、この二人の演技は3回いや3日くらいメシを抜いても見る価値がある。
その次のケースは“エディット・ピアフ、愛の賛歌“(07年)を演じたマリオン・コティヤール。”プロヴァンスの贈り物“で見せた魅力あるパリジェンヌとは大分印象が違い(実は先日のオスカー受賞式で改めて気が付いた)辛うじてご本人を知る世代としてはホンモノがすり替わってしまっているような印象でかなり内心ダブってしまっている。まあチト古い世代の日本人には越路吹雪、、のイメージ大。
この人の次の作品はロブ・マーシャル監督で(”サユリ“でこけた)ミュージカル大作の”ナイン“だ。共演はダニーD.ルイス以下ニコール・キッドマン、ペネロペ・クルズ、ジュディ・デンチ、ケイト・ハドソンからソフィア・ローレンまで、、先日のオスカーの舞台を見ているような顔ぶれで年末の公開が楽しみだ。
最後のケースは“クイーン”(06年)で現存のエリザベス女王を堂々と演じたヘレン・ミレン。誰もが知る女王を演じた役柄が一番ご苦労であったと思うがそのセリフの言い回しからアクセント、表情と全ての映画賞を独占したものうなずける出来であった。この演技に際して映画は吹き替え派なんて輩には絶対に理解出来ないし見て欲しくない。そっくりさん並に此処まで見事に演じられるとご本人も何かとくすぐったいのではないだろうか、、しかし幾ら開けたとは言っても日本では皇室を描いた映画は絶対に許可が下りるハズもなく双方歴史の古さは譲らずともその対応と尊大さは宮内庁とは大分違うものである、、、。
こうして見ると全員オスカーの主演女優賞を受賞している事に気付く、最もジュディ・デンチはノミネートに終わるもイギリスのBAFTA、その他を独占。女優さんとしては歴史に残る人物を演じる困難さはある反面やりがいのあるプロジェクトなのであろう、強いてはそう言った配役依頼が舞い込むって事は一大チャンスって事になるのかな~、今度は男優編で実在或いは歴史上の人物を探ってみよう。