”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

海兵隊、チャンスと故郷へ、、

アメリカの良識を目にして涙がとまらない、、。原題は”Taking Chance”と言う、この題名からじゃとても想像出来ないので勝手に上記邦題をつけさせて貰った。チャンスと言うのはアメリ海兵隊員、苗字はフェルプスと言い19歳でイラクで戦死した兵士である。


映画は実話、しかしあちらでも劇場公開はされずスルーでTV放映されたものだが(最初からTVシリーズとして制作されたらしい)サンダンス映画祭でも上映されゴールデン・グローブではTVシリーズ部門で主演のケヴィン・ベーコンが主演男優を受賞している秀作だ。こんな秀作が日本には入って来ない、、どうなってるんだ関係者!!こう言うアメリカの良識を丁寧に描いた映画を持って来い!!

端的に言えば”海兵隊おくりびと”、お国の為に戦死した兵士を丁寧に弔い新調した制服、正規の儀礼服を着せ、身の回り品もそれそこ丁寧に洗い汚れを一切取り除き儀礼官と呼ばれる兵士が帯同して故郷へ帰る物語である。その志願して帯同する役目をケヴィン・ベーコンがもの静かにそして威厳を持って好演している、、儀礼服も勿論、軍服姿も見事なものだ。見直したぜ、、、何時もクリスピー・ベーコンだなんて呼んでゴメン。

軍服そして儀礼的なものを描かせたらアメリカ映画は凄い、名もない兵士に帯同して一般の定期便で故郷のワイオミングへ向かうのだがその機内でのキャビンアテンダントとのやり取り、他の乗客から機長のメッセージまで、、そして更に陸路5時間をかけて故郷の町へ葬儀社手配の車で行くのだが見ず知らずのトラックまでが車列を作ってライトを点灯、護衛するように進む場面には胸が締め付けられた、、。

一つ一つの儀礼的な仕草、皺一つない軍服、簡素でありながら押し付けがましいところやかける言葉も一切なく軍旗を丁寧に折って遺族に渡す、お棺に想い出の品を乗せるところまで実に詳細が見事に描かれている。”おくりびと”が典型的な日本の風土、習慣だとしたら此方は”兵士”と言う違いはあるが異国でお国の為に戦って命を落とした兵士をこうやって町の人たちが迎える、確かに家族以外の人たちが接する時間は僅かなものだが19歳で亡くなった彼としてもこんなに多くの人とは知り合いだった訳でもないしその兵士を送るだけにこれだけ周りの人も帯同したケヴィンに感謝をし彼自身、自ら進み出て志願しこの役目を果たしている、、これはまさにアメリカの良識だ。勿論一般受けする映画ではないかも知れないが昨今インターネット時代、課金してでもこんな良い映画を良識ある我等映画ファンに届けて欲しい。

ワイオミング(”シェーン”カムバッーク!!、、と聞こえて来るような風景)の山々を背景にした撮影はとてもTVシリーズとは思えない出来だしエキストラは多分ご当地の方達の友情出演だと思うが全く自然で違和感なし、、、本年最初のイチオシ映画だ、、”アバター”の次ですが、、。