邦題を付けるなら、、”バーニー流、処世術”とでもするか、、珍しいカナダ映画である。
主役はこのおっさん、、どう見ても”ザ・シンプソンズ”に出て来るオヤジさん、ホーマーの実写版にしか見えないのだが、。
ポール・ジアマッティと言うイタリア系アメリカ人で現在44歳、一番脂の乗っている時期である。メークなしの本当の顔は、、;
こんな感じなのだがこれまで数多くの作品で脇役を務めている。
この映画のバーニー役では昨年のゴールデン・グローブで主演男優賞(コメディ/ミュージカル部門)を受賞しているほどの実力者だ。
映画は冒頭、ローマで親友のブーギーと暮らすバーニーの登場で始まる。まあ早い話、”プータロー”をやっているのだが、ある日ガールフレンドのクララに妊娠を告げられあっけなく結婚をしてしまう。それが後日、自分の子供ではない事を告白され今度は別れると息巻くのだが精神的に不安定なクララは自殺を図ってしまう。傷心のバーニーは生まれ故郷のカナダ、モントリオールへ帰る決心をして、、舞台はカナダへ、。
モントリオールへ帰ったバーニーはTV局の仕事へ戻る、友人の紹介でユダヤ系大金持ちのお嬢さん(ミニー・ドライバー)と出会い熱を上げたバーニーは結婚に向かってまっしぐら。普段から浴びるようにお酒を飲み、煙突が如く煙草をくゆらしているのだがその結婚式の最中、酔っ払ったバーニーは来賓のミリアム(ロザモンド・パイク)に一目惚れしてしまう。二番目の結婚はそりゃ長続きしない、、親友のブーギーが新婚家庭に転がり込んでくるのだがある日浮気の現場を目にしてしまう。バーニーはこれ幸いと離婚を迫り二番目の奥方とはさようなら、。晴れてミリアムに急接近、。
この3回目の結婚は順調で子供も男女二人に恵まれる。仕事もTV局のプロデューサーとしてシリーズ番組を担当、、、それが長男が大きくなり自立するまで20数年が経過していく、、。父親がダスティン・ホフマン、此処までちょこちょこと顔を出すが厳格で男寡婦、、奥さんは大分前に亡くしている。そろそろバーニーは自分の子供達も独立する事だしオヤジを引き取ろうとするのだがオヤジは一向に受け付けない。
第三夫人のミリアムは幸せだが長男は独り立ちしたしそろそろ以前のラジオ局、キャスターに現役復帰したい。バーニーはそんなミリアムの心変わりが面白くないのだが、ある日バーニーの父親が倒れたとの連絡が、あろう事か売春宿で倒れてそのまま絶命してしまった。この頃から現役復帰したミリアムともすれ違いが多く、折角子育てが終わり、夫婦二人でゆっくり世界旅行でも、と思っていたのが一人じゃどうにも計画さえ立たない。
酔った酒場、そこで出会ったのは以前自分でプロデュースしていた番組に出ていた売れない女優、その彼女と一夜を共にしてしまいミリアムがそれを嗅ぎ付け今度はバーニーが離婚を突きつけられる有様。ミリアムはさっさとラジオ局で信頼を寄せるディレクターと再婚、、、。その辺りからバーニーの記憶が断片的に途切れるようになる、映画では何の説明も入らないがラストはバーニーが湖畔の邸宅で子供二人が身辺整理をしているなか虚ろな表情のアップ、、ミリアムがバーニーの墓前に佇み花を手向けるところで”ジ・エンド”。
まあ見事に勝手なオヤジだよ、、、これが見終わった第一印象なんであるがちょっと待てよ、こりゃこんな生き方は男にとっちゃ理想じゃないかい??
別にさほど大きな山あり谷ありの映画じゃなく淡々とした物語なんだが原作は同名でモルデカイ・リチラーと言う作家が書いた小説だ。妙に心に沁みる、、佳作と言ったら良いのか男の生き様を描いたピリリといける映画であった。映画館に出向くかどうかは判らないがこうして有料配信なら絶対にお勧めの一本だ。ダスティン・ホフマンがすっかりオヤジさんになっちゃって、、時代の流れを感じさせるがモントリオールの風景も映画にマッチしていて最近みたクリーン・ヒットだな。
日本じゃDVD化もされておらず余程の事がない限り鑑賞する伝はないかも知れない、、こんな良い映画を買い付けてPC経由でも配信出来るサービスはないものだろうか??