”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”ミッドナイト”が付く映画

原題に”ミッドナイト”が付く映画は沢山ある。古いところじゃそのまま”ミッドナイト”が34,39年に夫々一本、78年には”ミッドナイト・エクスプレス”これは監督アラン・パーカーの秀作だ。70年のトルコ、出国する際に身体にハッシッシを巻き着けていて拘束されたアメリカ人青年の過酷な牢獄生活が描かれたもので最後は感動モノ。
 
11年にはウッディ・アレンの”ミッドナイト・イン・パリ”があるし69年にはこれ又、秀作のダスティン・ホフマンジョン・ヴォイトの”ミッドナイト・カウボーイ”がある、そして昨晩又、見てしまったのが88年の”ミッドナイト・ラン”。
 
 
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まだ若かったロバート・デ・ニーロが賞金稼ぎに扮して相手役、チャールス・グローディンと大陸横断を敢行する犯罪ロード・ムービーだ。ジャック・ウォルシュ(デ・ニーロ)はしがない賞金稼ぎ、元刑事なのだがある事件でワル親分からワイロを受け取らなかったせいで警察にいずらくなって辞めた熱血漢。
 
それが街の”保釈金用立て屋”の依頼でギャングの親分の会計士だったジョナサン(グローディン)を探し出してロスへ連行してくる仕事を引き受ける。そいつがニューヨークに潜伏している事はすぐに判り連れ戻しに行くのだがこのジョナサン、”狭い空間恐怖症”で飛行機には絶対乗れないとごねる、、これがケチのつけ始め、、已む無く大陸横断の列車に乗るのだがシカゴに到着する前にホンモノのFBIやらギャングの大ボスに追われて列車旅行計画は断念、シカゴに住む元妻に現金を用立てて貰ったり車を借りたりで旅を続けるのだがギャングの大ボスの執拗な追っかけでなかなか前に進めない、、。この辺りはもうスゴロク状態で何故追われるのかも判らない状態が続く、、。
 
悪戦苦闘の連続で互いを助け合っているうちに二人には妙な親密感が、、終盤大ボスの本拠地ラスベガスへ乗り込み本来FBIはこの会計士じゃなくて本丸の大ボスを落としたい事から捜査に協力する事に、、ジョナサンを逃がす代わりに大ボス逮捕の仕掛けを提案する。テンポ良く気が効いたセリフも満載、当時45歳だったデ・ニーロはそんなに派手な振る舞いはないが魅力満点に演じている。
 
76年に”タクシー・ドライバー”でトラヴィスを演じた時が33歳、あの役柄をやるにはちょっと年齢が行き過ぎていたのだがやはりあの映画では強烈な個性を発揮、実際には”ゴッドファーザー”の方が2年前なのだが双方とも素晴らしい映画だった。コッポラ監督にスコーセッシ監督、、やはり俳優さんも良い監督に使われなきゃ浮かばれないって事の証明ではなかろうか、、。78年チミノ監督で”デア・ハンター”そして80年再度スコーセッシ監督で”レイジング・ブル”と此処までで完全に名優としての地位を築いてしまった。
 
この映画が制作された88年と言うと未だ携帯電話も出て来ない、パソコンもない、、、やたら喫煙シーンが多いのには参るが機内でも列車でもレストランでもタクシーでも、、、何処でも喫煙可能だったんだと思い起こした。今時の映画じゃ携帯電話やPCが出て来ないなんて事はないのだが公衆電話でダイアル式か辛うじてプッシュフォンが導入された頃なので時代の流れを痛切に感じさせてくれる。たった25年くらいの進化には凄いものがある、でも着ているものや食べるモノは全く変わっていない、、この頃も今もハンバーガーとフレンチフライだし、。
 
別に見過ごされているって訳でもないがこうして見るとこれは秀作だ。監督のマーティン・ブレストはこの映画の前にエディー・マーフィーで大ヒットした”ビバリーヒルス・コップ”を撮っている。これは絶対に意識してやっているのだと思うがこの映画と主題歌のトーンが同じだった、、。