”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”ロング・グッドバイ”(73年)

私立探偵、ハードボイルド、チャンドラーの原作が”キーワード”となれば三度のメシは完全に凌駕する程の大好物である。この73年に映画化された作品は原題が”The Long Goodbye"、レイモンド・チャンドラーのクラシック三部作だ。”大いなる眠り”(The Big Sleep)、”さらば愛しき人よ”(Farewell My Lovely)、、と同列のフィリップ・マーロウものなんだが何故かこの73年度版の邦題はそのままカタカナ表記、折角原作の翻訳時に付いた”長いお別れ”じゃないのだ。まずコレ一つでこのジイさんのへそが30度曲がってしまった。

原作のストーリーは、、;

時代背景は戦後のアメリカ、49年の秋だ。私立探偵フィリップ・マーロウは、片面に傷を持つ男、レノックスという酔っぱらいと出会う。どこか品性のある風貌に惹かれるものを感じて友人となったマーロウは、夜毎に飲み友達として付き合うようになる。そして何年かが経過、ある晩、レノックスはマーロウの自宅を訪れるとメキシコのティファナに連れて行って欲しいと頼み込む。詳細は聞かず、言われた通りにメキシコに彼を送り届けたマーロウだが、ロサンゼルスに戻ると待っていたのは、妻殺しの容疑でレノックスを捜している警官であった。マーロウは殺人の共犯者として逮捕され取り調べを受けてしまう、しかしレノックスを庇って黙秘を通し、反抗的な態度も手伝って警察から手酷い扱いを受ける。しかし3日後、メキシコからレノックスが自殺した旨の情報が届き、マーロウは釈放されるのだ。彼が呆然として家に戻ると「ギムレットを飲んだら、僕のことはすべて忘れてくれ」と書かれたレノックスからの手紙が届いていた。

しばらくしてマーロウは、ある出版社から失踪した人気作家ウェイドの捜索を依頼される。依頼を受けるか迷うマーロウだったが、ウェイドはレノックスの隣人であったことを知り興味が湧く、、さらに彼の妻アイリーンからもこの一週間居所が判らないウェイドの所在を探すように頼まれ、渋々引き受けたマーロウは、とある療養所に居たアルコール中毒のウェイドを発見し、連れ帰る。その後、見張り役としてウェイド邸に留まることとなったマーロウは、アイリーンから誘惑され、彼女が第二次世界大戦で10年前に亡くなった恋人のことを今も深く愛していることを知る。
 
マーロウはウェイドに対する仕事の傍らで、レノックスの件についても調査を続ける。彼の交友関係や来歴には不思議なことも多かったが、それ以上のものもなく打ち切りを検討し始める。そんな折、今度はウェイドの死体が発見される。マーロウは自殺とみるが、アイリーンはマーロウが殺したと激しく非難する。そして、レノックスの件でマーロウを脅迫してくるギャングのメネンデス、レノックスの岳父にあたる謎めいた大富豪ハーランなど、くせものが次々とマーロウの前に現れる。

その後、マーロウはレノックスの妻殺しにアイリーンが関わっていることに気づく。やがてレノックスの妻とウェイドを、アイリーンが殺害したという結論を出し、さらにアイリーンの亡き恋人こそレノックスであったと推定する。その推理を突きつけられたアイリーンは何も言わず去り、後日、罪を認める手紙を残して彼女が自殺したとマーロウは知る。

事件や謎はすべて解決したように見えたが、マーロウはなぜか釈然とせず、さらにメネンデスから暴行を受ける。最後にマーロウは、メキシコから来た男の訪問を受ける。男は、レノックスが死んだホテルにいたという。だが、マーロウはこの男こそが、整形して顔を変えたレノックスであると気づく。レノックスは前のように共に酒を飲もうと誘うが、マーロウは拒否し、別れの言葉をかける。

とウィキに記載されていたのだが原作はその通り、これは実に奥の深い、ハードボイルド調に一人称で語られるチャンドラー節満載の”推理小説”である。確かに今回再見した”ロング・グッドバイ”は主演のマーロウにエリオット・グールドが扮しているし監督はロバート・アルトマンなんであるが、、どうにもおっさんにはこのエリオットの風采、性格、そして仕草が”フィリップ・マーロウ”には見えないのだ。ホンモノは知るわけないのでこれは小説から想像力を逞しくしているだけなのだがやっぱり雰囲気が違うのだ、、それに劇中喫煙してないシーンがないほど、、これにはもう見ていて煙ったくなるよ。そりゃ幾らあの時代、タバコは万人の楽しみさとは言ってもどのカットでも吸っているシーンには幾ら映画とは言えかなり辟易した。っで気がついたら30分を残して完全にスリーピングモードに突入、、久し振りに挫折感を味わってしまった。


そう言えばNHKが14年にテレビ・ドラマ化している。5話の連ドラで主演は浅野忠信が増沢と言う役名でフィリップ・マーロウを演じていたが期待度100%で遥々日本から取り寄せたDVDを”八つ裂き”にした覚えがあるぞ。

イメージ 1映画化に際してはこれまで色々な人がフィリップ・マーロウを演じている。

ロバート・ミッチャム(彼はかなり良かった)、エリオット・グールド(☆)、、そしてジェームス・ガーナー(年齢的にはかなり原作に近く良い出来)、もっと古くはディック・パウウェルなんかも演じていたのだが、、やっぱり一番合うのはこの人っきゃいない、そうハンフリー・ボーガードじゃなかろうか?それが現在新作タイトルはそのまま”マーロウ”の撮影が開始されるらしい、。そしてそのフィリップに扮するのは、、強いリーアム・ニーソンだ、。原作より大分年食っちゃっているマーロウだがこれはもう楽しみな一作である、さてどんなハードボイルド振りを見せてくれるのやら?

今回のこのアホな邦題”ロング・グッドバイ”を蹴散らしてこれが新時代のマーロウさ、、と言う探偵像を期待しているのだ。このリーアム・ニーソンローレンス・ブロック原作の探偵、マット・スカダーを演じた”誘拐の掟”(14年)は原作に忠実で実に素晴らしかったのだ。あのマット・スカダー探偵越えなるか??乞うご期待といこう、、。