”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

是枝監督xカトリーヌ・ドヌーヴ+ジュリエット・ビノシュ=”真実”(19年)

言い訳っぽいが是枝裕和と言う監督さんはこの一年で多少知る事にはなったがその作品を見た事はなかった。樹木希林を配役し”歩いても歩いても”(08年)以降、話題作を連発する近代日本を代表する監督になっているようだ、。

その是枝監督がフランスで映画を撮る為にパリに渡り、その下準備からクランクアップするまでの制作顛末を一年も追いかけたNHK制作のドキュメンタリーフィルムを拝見した。その日仏映画のタイトルは”真実”(La vérité)と言う。

映画の大筋は;

フランスの映画スターのファビエンヌ(C・ドヌーヴ)が自伝本を出版する。お祝いのためにアメリカで脚本家として活躍する娘のリュミール(J・ビノシュ)と、彼女の夫(イーサン・ホーク)と娘がパリにやってくる。久々の再会に喜ぶ彼女たちだったが、やがて、自伝本の内容をきっかけに、隠された親子の秘密が暴かれていく。 byウィキ

と言う事で彼女のリアルタイムストーリーとでも思える内容なんだがその撮影風景をドキュメンタリーに綴っているのだ。ワタシの場合、根性がひねくれているのか映画本編(映画館でロードショー中)よりこんな撮影秘話と言うか世界的な大女優と呼ばれるカトリーヌ・ドヌーヴを撮影現場で”使う”事の大変さ、それプラス言葉の障害を乗り越えしかも日本語で書かれた脚本をフランス語に翻訳しそれを今度はセリフとして俳優さんへ手渡す、、制作側の裏方さんや各担当諸氏のご苦労や役割を知る方に興味があってこの1時間半の記録編の方がより新鮮だったのだ。まあ本編を見てないので実際はどんな映画になっているのかは判らないが、。

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これは”万引き家族”(17年)、カンヌ国際映画祭で最高賞 パルムドールを受賞した時のスチールを映像から拝借して来た。

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こっちはこの”真実”の撮影秘話、終了時のエンディング、やっと延々2か月に及ぶ撮影を終え、満足気にヘッドフォンを外す是枝監督、不慣れなフランスで突き付けられた現地制作側の条件下の厳しい制約での映画作りが終了した場面だ。

何せ日本とは違い週の労働時間にも組合の制限がありきっちり週休2日らしい、、しかも主役のカトリーヌ・ドヌーヴ様は午前中はお出ましにならない、それに前日の撮影が遅くなると翌日の午前中に演技をして貰うってのは無理だとか。

そんなで完全に女王様の雰囲気で撮影現場でも君臨している。このNHKの撮影でもご気分次第で撮影が許可になったりダメになったりとか、、是枝監督、よくもまあ我慢したもんだ。確かに拝見していると主演女優が勝手に脚本に手を加えたり撮影アングルに注文を出したりで意見、新アイデアも挟む、それが的を得ているケースがあるのには監督も”流石に大女優だな~、、”っと毎回大納得だったようだ。

撮影も佳境に入り最後の現場でこのドヌーヴの若い頃を演じる新進女優のリュディヴィーヌ・サニエ(”スイミングプール”でシャーロット・ランプリングと共演、今回は是枝監督自らオーデションから抜擢)、緊張のせいかたった一言のセリフの後で涙を流すシーンがあるのだがどうしても涙が出ない、監督も目薬を使おうと進言する。

でももう一度だけ”やらせて、”、と結局3回もテイクをするがそれでもダメ、それを見ていたカトリーヌ・ドヌーヴがつかつかと彼女に歩み寄りそして二言三言、そして”これが最後ですからね”っともう一度テイクを、。そして監督が”ガチンコスタート”の合図を、”、すると何と言う事かセリフの後にリュディヴィーヌの目元から自然と涙が溢れ出て来た、。勿論監督も即座に”オーケーオーケー”の連発で成功裏に撮影も終了したのです。そんなアドバイスが出来る事が大女優たる所以なんだろうか?

その後、NHKもその場で若い女優さんに一体彼女が何を話して自然と涙を流させたのか、周りの皆さんも知りたくて、インタビュアーが直接尋ねたのだが一切口を閉ざして”それは秘密”と言うだけで内容は遂に明かさなかったのだ、このワンシーンはこのドキュメンタリーの中では一番のクライマックスシーンであったような気がする、、。

そもそもこの映画制作はジュリエット・ビノシュからの依頼だったようでそれに是枝監督が応える形で実現した映画らしいが、どうしても最後にカトリーヌが何を言ったのか、それが気になってしょうがない。

さてこんな内幕を見てしまったんだから本編を見ないといかんでしょうかね??でも彼女のこんなイメージは壊したくない、それに映画を見ても彼女が何を言ったかは判るハズもないんだし、、。

 

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”ミッドウェイ”(19年) VS "ミッドウェイ”(76年)

実際のミッドウェイ海戦は42年、6月5日から6日にかけて敢行された米軍との戦いで連合軍艦隊が真珠湾攻撃後に一気に米国艦隊を粉砕するが為に立案された作戦だ。

そんな背景の映画が最新CG技術を駆使しローランド・エメリッヒ監督により制作公開され現在アメリカ本土では高収益をあげているそうな、。

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76年度版はチャールトン・へストン、ヘンリー・フォンダジェームス・コバーングレン・フォードロバート・ミッチャムクリフ・ロバートソン、それに三船敏郎御大が山本五十六を演じていたのだ。それに南雲中将にはジェームス・シゲタが扮しそりゃもうノルマンディ上陸を描いたオールスターキャスト版、”史上最大の作戦”をも横臥するようなキャスティングだった。

その同じタイトル(邦題)で今年、19年11月に公開されたこの大作にはウッディ・ハレルソン、デニス・クエイド、エーロン・エックハートが配され日本からは山本五十六役に豊川悦司、それに浅野忠信が出演している。

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真珠湾攻撃の成功に乗じてミッドウェイにも出向いたのだが此方では連合軍艦隊がコテンパンに撃沈されてしまい一気に形勢が逆転する。史実はそうなんだがこの19年度版では米軍側からの視点でもっと作戦には慎重を期すべきだ、、との意見が多く出されそんな軍部の葛藤に主題が置かれているようだ。

監督のローランド・エメリッヒは兎に角これまでSFやデザスター映画専門で”インデペンデンスデイ”、”デイアフタートゥモロウ”、”2012”、”ゴジラ”等を撮っているが戦争大作は初めて、さてどんな太平洋戦争になっているのか?ちょっと映画館へ行こうかなぁ~、、と心を揺らされている。でもなあ、”パールハーバー”(01年)にはこっぴどく裏切られたっけ、。

 

 

 

 

 

”ヴェラクルス”(54年)

10時からのアメフト中継、ダラス・カウボーイズミネソタ・バイキングスの好試合が終わってチャンネルを変えると丁度NHKのBS2で”ヴェラクルス”が始まった所だった。そしてもう何回目になるんだか、そのままソファに釘付けでThe Endまで、。

しかし面白いもんで毎回何か新発見がある。今回はビックリしたが何と若きチャールズ・ブロンソンが出ているのを発見した。尤もタイトルロールには、”Charles Buchinsky”と書かれているのでこりゃ判らないでしょ?それに”地上より永遠に”でバート・ランカスターと共演してたアーネスト・ボーグナインも出ていた、。

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原題はメキシコの港町、”Vera Cruz”で主演のゲイリー・クーパー以下アメリカの俳優陣は全員がロケに参加、長期滞在を余儀なくされたそうだ。有名な逸話として丁度この映画の撮影時、ハリウッドではオスカーの授賞式があり主演女優賞には”ローマの休日”のオードリー・ヘップバーンがノミネートされていた。そして会場に映し出された映像に登場したのが前年度主演男優賞を受けたゲイリー・クーパー、そして促された彼が封筒を開けるとそこにはオードリーの名前が、、それが実に最初のオスカー主演女優賞受賞になったのです、。

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この映画の時代背景は1866年、アメリカの南北戦争が61年から65年だったので終戦直後の事で主演のベン・トレーン(ゲイリー・クーパー)は南軍の生き残り将校、因みにトゥームストーンの”OK牧場”でワイアット・アープ兄弟が決闘をしたのは81年なのでこの15年後だった。もう一人の主演を演じたガンマン、ジョー・エリン(バート・ランカスター)は西部を流れる大悪党、ゴロつき仲間を何人も引き連れ金になる事は何でもやると言う風来坊一族だ。

そんな二人が結託してメキシコへ運ばれる金貨300万ドルを強奪しようと計画を練るアクション西部劇になっている。終盤メキシコ革命軍に加担したりで一転二転するがラストは典型的な西部劇のエンディング、ベンとジョーの”真昼の決闘”となるのです。

これはもう何回見ても実に素晴らしいシークエンスのエンディングでこれまでベンが最後にジョーの拳銃を改めるとタマが残ってない、、”ナンだお前、タマがない”っとセリフがあったとばかり信じていたのだがそれがないのだ。これにもビックリした。字幕もないしベンの口も全く動かないのだ、、これまで長い間上記のセリフがあったとばかり信じて疑わなかったのにそれが思い違いだったとは、、オレは実にいい加減な映画ファンだったんだ?

 

 

 

 

 

 

 

”アンノウン”(11年)

まあ原題が”Unknown”だからそのままの邦題ってのは判るのだが原作は03年にフランスの作家、ヴァン・コーヴラールと言う人が書いている。その時のオリジナルタイトルが”Hors de moi (Out of My Head)”だったので邦題はもっと”頭から出て行かないで”、”知恵を絞って”欲しかったな。ナンでもかんでもカタカナって近年の手法にはかなり抵抗があるんだが。まあそんな事を言うのはジジイだけか?ついでに昨日の両陛下ご出席の”国民祭典”、この時の為に新たに作詞作曲された曲が、”Ray Of Water”だった、、折角古来から伝わる”令和”と言う素晴らしい時代の始まりを祝う大切な時に発表された曲のタイトルが英語かぁ~、、?

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映画に戻ろう、、そうこの映画は我らがヒーロー、リーアム・ニーソン主演で共演の彼を助けるタクシー運転手、ジーナ役にダイアン・クルーガーが抜擢されている。

植物学者のハリス博士(リーアム・ニーソン)はバイオテクノロジーの国際学会に出席するために妻エリザベス(リズ)とともにベルリンにやって来る。学会を支援しているアラビアの王子もやって来てパーティもある予定だ。

タクシーでホテルに着くと、荷物を1つ空港に忘れて来たことに気付いたハリス博士は妻をホテルに残し、通りかかったタクシーを捕まえて空港に向かう。ところが前を走っていた運搬車の荷物が突如、こちらに落ちてきた事故でタクシーごと川に飛び込んでしまう。タクシー運転手、ジーナのお陰で救出されたマーティンはそれから4日間は病院で昏睡状態に、、やっと目が覚めるが事故前後の記憶が曖昧だ、愛する妻に心配をかけていると思ったマーティン無理やり病院を退院し、ホテルに向かう。しかし妻は彼を見ても「知らない人」だと言い放つ。しかも見ず知らずの男がハリス博士を名乗っていることを知る。パスポートもなく、自分が自分であることを証明できないマーティンは自分自身の記憶にすら自信が持てなくなる。

っと此処までは絶好調、見ている側もナニかあるな、、とは思いつつ果たしてハリス博士は一体誰なんだぁ??と思わず姿勢を正してしまう。それにジーナの存在だってまさかゲスト出演ってハズはないし、、。

ところが病院で自分が拉致されそうになったことで、何らかの「陰謀」があることを確信したマーティンは、看護師に教えてもらった元東ドイツの秘密警察組織の男、ユルゲンと運転手ジーナに協力してもらい、真相を突き止めようとする。

一方、独自の調査で真相にたどり着いたユルゲンだったが、ある男が家にやってくるとその目の前で自殺してしまう。そして、その男はマーティンに「お前は『マーティン・ハリス』などではない」という。そしてついに自分の正体を知る。妻は誰だったのか? 妻が書いた暗号は何だったのか? 3ヶ月も前に自分がベルリンに来ていたのは何故か? 全ての謎を知った時、男は覚醒する。byウィキ

と書かれているが最後の最後までハリス博士の正体は判らない、まあジーナ嬢はドイツでの就労ビザ(滞在許可証)を持たない不法移民だったので大筋には関係なかったのが幸いだった。映画公開時のキャッチ風に書くと、、、”衝撃のクライマックス”、”そして暴かれる米独、アラブ諸国を巻き込んだ陰謀とは??!!”、”ハリス博士の窮地は救えるのか、、乞うご期待!”って事になる。

そりゃ突っ込みどころも満載だが映画の早い展開にさて何だったか忘れちまった。イヤ~、、最後まで楽しめたアクション満載の強いリーアム・ニーソン様でした。

 

 

 

 

日豪管理人談義(19年)

決して映画のタイトルではないのですが先日、うちの管理人さんとこんな談笑を;

日本ではほぼ100%が運営管理会社に委ねられておりマンションの管理人は常駐している場合でもその法人から派遣されているそうな、、一人で複数戸を掛け持ちして立ち寄るだけとか週一とかの方式もあるようだが、。従って給与はその法人からの支給で福利厚生もあるし年金の積み立てもOK、それなりに面倒をみて貰える由、。

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オーストラリアの場合は確かに管理会社と呼ばれるケースはあってもその役目は夫々のマンションなり集合住宅に設立された理事会での議事録保持と補修積立金、維持費として徴収されている銀行預金管理が主な業務で日毎に起きる管理人業務はそのマンションなりに常駐する(不動産を購入する必要あり)人に委託されている。

まあこの辺りが一番大きな違いって事が判った。要するに日本なら給料を貰って管理人になれるが(今やその競争率たるや天文学的数字)オーストラリアのケースでは先ず決めた物件に住居を購入しそこに住みながら管理をし賃貸物件についてはテナントを募集し住まわせる。その家賃は所有者へ還元して決められた一定の%が収入となる、っと言う事になるのだ。現地ではこれがシステム化されており”Management Rights Business”と呼ばれる豪州独自の事業形態になっている。このシステムが生まれたのはクイーンズランド州、それが別の州へも広がりを見せているそうな、。

それらは州政府のある部門(中小規模事業推進部門)が管理していてライセンスの取得(不動産取り扱い資格)が義務付けられておりコイツの試験突破は結構厳しく通常は3ヵ月程度必要、それに毎年”上納金”としてライセンス更新料を払う必要がある。

しかし日本ではライセンスは無論必要ないし(うちの場合)月~土の勤務体系で月~金は8時~2時半、土曜は半ドンだ。祭日が入る場合は土曜を振り替え休日になるし残業は一切ないとか、、それに管理組合の会議用にテーブルセッティングはしても会議に関与はしてない。賃貸物件があったとしてもそれは外部の不動産屋経由なのでそれにも関知せずらしい、。

うちのおっちゃんの場合、夜中や明け方に叩き起こされるケースはこれまで5年やっていて一度も無かったそうな、それに多少の苦情はあっても(車の駐車問題や騒音)住人は99%購入している住人なので”よそ者”がいないのは利点だろう。彼は市内の大手デパートに長年勤務した後にこの管理人として再デビューしたらしいがワタシより断然若くこれからも継続するそうな、過去には住民の苛めで辞めて行った人もいるらしいが古今東西これは人間が住む限り何処へ行っても同じなんだろう、。

 

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これはオーストラリアに比べて断然楽だなぁ~、、でもゴミの回収車はあっちじゃ週一だったが日本じゃ月~金の5日間、それもやれ今日はプラゴミだ、燃えるゴミだっと区別して出すのでその後始末が大変らしい。無論回収車がやって来る前にちゃんと回収場所の鍵も開けておかないといかんらしい、冬の積雪時はそりゃもう大変だろう。

口煩い住人は日豪どっちもどっちだし理事会の運営では紛糾する場合もあるのでストレスは双方同じくらいかも?日常業務って事になるとマンションならばエレベーターを使い上下移動が可能、、それに室内なので雪が降っていようが掃除は楽さ、、あのデッかい育ち過ぎのヤシの木なんぞありゃしないしプールもないのさ、毎日の掃除や落ち葉を掃いたりは時間が掛るし面倒だがオーストラリアに比べりゃ”屁の河童”だ、そもそも毎回賃貸物件募集に優良テナントを探し出して来るのは至難の業だった、。これは幾ら家賃に対するパーセンテージを収入として計上する事が出来ても代価としては全然満足出来るものじゃなかった。

こうして比較してみると、、やはり日本はちゃんと派遣元の法人に保護されているし仮に何らかの問題があっても管理人さんが独自の判断で解決するって事はなさそうだ。この辺りが個人主義と言うか自分で住宅を購入して管理人業を勤め上げるあっちとの根本的な違いだろう、、かと言って今さら日本で管理人は御免なさいだが、。

しかしまあ他に手段はなかったのだが還暦を過ぎてから外国で、やれインディアンだチャイニーズだフランスやロシアだラトビアだを向こうに回して喧々諤々良くやったもんだ。それプラス、酔っ払いから〇〇異常、金欠野郎や確信犯に根っからのウソつき犯罪者ともうデパートに陳列してやりたい位のモンスター・テナントだらけだったしそれを相手に丸9年も苦労させられた、途中でギブアップもせずに最後まで完走した自分を褒めてやりたいものだ。

しかし刑事ドラマを見ていると毎回必ず管理人が出て来るなぁ~、、あんな風に第一発見者にだけはなりたく無かったが何故いつもああなるんだろう??