”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”フェイクシティ ある男のルール”(08年)

日本の配給元の担当者の想像力も凄いぜ、、原題は"Street Kings"なんだがそれを"Fake CIty"、”虚像の街”に、それに副題まで、ハッキリ言ってこれじゃ訳が判らないが、。

このタイトルのフェイクさに惑わされてスルーしちゃうと勿体ないのだが。主演はキアヌ・リーブスフォレスト・ウィテカー、それに謎っぽい内部調査官としてヒュー・ローリーが配役されている。何と言っても原作が好きなジェームス・エルロイと来れば誰が主演になっても見るかな?かの”LAコンフィデンシャル”の原作者でロス・アンジェルス警察の内部やその内幕を描くと素晴らしい作品がある。日本だとさしずめ札幌道警シリーズを描くところの佐々木譲じゃなかろうか?

このキアヌ・リーブスは若き頃の代表作だった”スピード”とかその後の数本を除いて”マトリックス”シリーズや”ジョン・ウィック”シリーズは余り好きじゃない。ジョン・ウィックに際してはあれはもう銃弾が彼を避けて通って行くんじゃなかろうか、、と言うほどにタマが彼にだけは当たらないのだ。それに相手が数人、、って設定じゃなくてもう数十人で幾ら何でもそりゃないよ、、っと思うほどに”強い”のだ。

設定ではロス市警の凄腕警察官、、刑事役になるのだがそのトム・ラドロー役が先のジョン・ウィックとは違って随分と現実的だ。そりゃ大勢の悪人も相手にするが設定も演出もかなりまともな作りになっている。相変わらずナニを言っているのか判別不能な場面もあるがこれまでのアクションヒーローと違って(原作者の主人公への入れ込み方)かなりホンモノらしい描き方だ。

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まあエルロイの原作なので最後には絶対ロス市警に悪いヤツがいるんだろうな、、とは思うが其処まで悪いのかぁ??って印象のエンディング、でもこの映画のキアヌ君は恐らく”スピード”は別としてトップファイブにランキングしても良いかも知れないな。

ロス市警 (LAPD) のバイススクワッド(風紀取締り)の警官であるトム・ラドロー(キアヌ・リーブス)は、囮捜査や違法すれすれの捜査で事件を解決していた。

その彼の上司がジャック(F・ウィテカー)で彼は何時もトムが行き過ぎた捜査や強引な取り調べをしても彼を擁護してくれ庇ってくれる。問答無用に悪人を射殺しても彼に有利な報告書を提出したり何かと便宜を図ってくれるしなによりLAPDには”キミみたいな優秀な刑事が必要なんだ”と毎回諭すように言い聞かせている。

そんな中、LAPDの内務調査班のビックス(ヒュー・ローリー)がトムに接触し、トムらバイスの面々の調査を開始する。その頃、トムの元パートナーであるワシントン(テリー・クルーズ)とビックスが密会しているという情報を知り、トムはワシントンを逆に尾行するが、2人が接触したコンビニで強盗が起こる。2人は銃撃戦に巻き込まれ、ワシントンが射殺されてしまう。 っとウィキには書かれていた。

しかし映画の本筋は此処から始まるのだ、如何にも”LAコンフィデンシャル”で描かれたような腐敗した警察組織、そして真犯人探し、更には裏切り者は誰だ??っとばかりにお話しがドンドン進んで行く。さてそのビッグスの狙いは?トムは窮地を脱する事が出来るのか?ジャックの本当の狙いは何なんだ?と最後まで息を抜けないミステリー

仕立ての警察内幕暴露映画となってました。

こりゃキアヌ・リーブスの評価が☆☆☆☆って感じだった良作クンでした。

 

 

 

 

 

”勇気ある追跡”(69年) VS ”トゥルーグリッド”(10年)

気が付いたら又、西部劇を見ていた。今度のは”勇気ある追跡”、、う~ん、見事な邦題じゃないか?原題は”True Grit”と言って”真のやり抜く力”とでも言うか”根性”なんだがそれを69年にはこんな素晴らしい邦題に、そして10年にリメイクされた時はナンの苦労も知恵を絞る事もなくそのまま”トゥルーグリッド”に、、何となく情けないなぁ~。

主演の保安官、ルースターをジョン・ウェイン  ジェフ・ブリッジス

相棒のラビーフグレン・キャンベル  マット・デイモン

父親殺しの犯人探しを依頼するマティをキム・ダービー ヘイリー・スタインフェルド

父親殺しの張本人チェイニーをジェフ・コーリー  ジョッシュ・ブローリン

悪党仲間のネッドをロバート・デュバル  バリー・ペッパー

同悪党仲間のムーンをデニス・ホッパー  ドーナル・グリーソン

監督はヘンリー・ハサウェイ  コーエン兄弟

制作指揮はハル・B・ウォリス  スティーブン・スピルバーグ

こうやって69年度版と10年度版を対比すると古い方は将来を有望視された逸材が抜擢されており新しい方は監督の新解釈(微妙に違う)を取り入れそれなりの俳優さんが登用されている。面白いのはこの旧作ではジョン・ウェインが見事に主演男優賞に輝いたが新作のジェフ・ブリッジスはノミネートはされたものの残念ながら”キングス・スピーチ”のコリン・ファレルにさらわれてしまった。

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しかし旧作は2部門を制覇、新作は合計10部門にノミネートされているのでこりゃワタシがとやかく言う前に秀作である事は間違いない。

ストーリーは実に単純明快、父親を殺された14歳の少女、マーティが嫌がる保安官に犯人探しを依頼しそれも嫌がる保安官に今度は無理やり同行して荒野を遥々犯人探しに行くと、、と言うものだ。

新旧クライマックスの場面を遠く小山から撮るショットや決闘場面、そして各シークエンスはかなり意識してそうしたと思われる程に似ているのだが結末が微妙に違う、、それは終盤全てが終わりマティが父親の墓前にルースターを案内するシーン、そこで”貴男は私の隣に眠るのよ”っと身寄りのないルースターに諭すマーティ(これは命の恩人であるルースターに対する思いやり)。

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それが10年度版では今は現役を引退して町のワイルドショーに出演して糧を稼いでいるらしいルースターの所在がやっと分かりマーティが遥々訪ねて来る(これは映画の冒頭のシーンに戻る)のだが残念ながら三日前にルースターは息を引き取っている。そしてマーティは彼を埋葬しようとしていた町の友人に”私が引き取る”と強引に申し出て彼の収められている棺を列車に乗せ自分の故郷、何れ自分が入る事になっている墓地へ連れて帰るのだ。イヤ~、、このシーンは新旧両方ともかなり胸を締め付けられる名場面じゃなかったでしょうか??

 

 

 

 

 

市内に初雪っ!!

遂にキター!11月7日の午後1時です、何となく暗いかな、、と外を見上げると、、あああ~、雪が大量に舞ってます。昨年よりちょっと遅いようだがこれで札幌にも雪の季節がやって来ました。予報では今日明日にはと言ってましたが雨が雪に変わった雰囲気、一気に気温も下がり部屋の暖房を慌てて20度に再設定した。

まだ積もる降り方じゃないけれど辺りは暗くて室内は点灯しないと手探り状態だ。レンタカーを返してて良かったとホッと胸を撫でおろす、先日街中から出ると紅葉だったのがこれで一気に秋を飛び越して冬になってしまった。さてこれから冬眠だな、、。

 

”シェナンドー河”(65年)

ジェームス・スチュワートがもう50歳を超えている頃の主演作で監督は西部劇の第一人者、アンドリュー・V・マクラグレン、原題は”河”は付かずそのまま”Shenandoah”で制作されたのは65年、映画館で見ているのだがかなり印象深い映画だった。

背景は南北戦争末期、時代設定は丁度100年前の1864年、実際に起きた戦争は61年から65年までで南部の11州が集結、対する北部は23州で主に奴隷制度解放を巡る戦いに双方で80万人からの犠牲者が出たアメリカ史上最大の内戦だった。

アンダーソン一家は当主の男やもめチャーリー(J・スチュワート)以下7人の子供たちがバージニア州、シェナンドー河沿いに広大な農場を持ち全員が農地で働いていた。チャーリーは争いを嫌い、農場主としてあくまでも中立の立場を守っているが戦禍はその一家、子供達にも襲って来る、そして否応なしに巻き込まれてしまうのだ。

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要点は末っ子の16歳の”ボーイ”が川で拾った南軍の帽子を拾って被っていた事から戦闘員と間違えられ進撃して来た北軍の将校に捕まってしまう。その息子を探してチャーリー以下4人の兄弟が戦火を潜って救出に向かうのがメインテーマになっている。

アンダーソン一家の立場を前面に押し出し何処までも戦争反対が貫かれている。家族全員が無事に帰還する訳じゃないのだが戦争の空しさ、愚かしさが描かれておりアクション満載の作風ではないが争いがそんな平和だった農場にまで押し寄せて来ると言う何とも理不尽で不運な運命に弄ばれたアンダーソン一家の描き方は素晴らしい。

65年の映画となっているが国内で上映されたのはもっと後だったと思う。間違いなく築地の松竹セントラルと言う映画館で見たのだが67年の7月までは日本に居なかったのだ。何と言っても終盤ボロボロに泣かされて映画館を出て来た記憶があるのだ、。

 

 

 

 

”ラッキーナンバー7”(06年)

ふーん、、邦題は”ラッキーナンバー7”か、原題は”Lucky Number Slevin”と言うのだがSlevinをSevenと読み間違ったのか??それはチト、ジジイの早とちりだった。

06年公開って事はもう13年が経過しているのだが全く知らない映画だった。何せ配役がジョシュ・ハートネット(そうだったコイツが苦手なので敬遠したんだ)にモーガン・フリーマンベン・キングスレールーシー・リューブルース・ウィリスと早々たるメンバーで夫々が主演に抜擢されてもおかしくない。

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大筋は”大好物”のミステリー仕立て、、とは言っても犯人探しじゃなくて悪い奴ら同士を対立させ誰が誰を裏切っているのか、挙句に悪者同士が壮絶なる戦いを仕向けられ喧嘩両成敗を狙うものである。劇中どんでん返しあり裏切りありで見ている側にも誰がイチバン悪いんだぁ~、、と判らない仕掛け。そして終盤やっと全体像が見えて来るっと言う展開で最初の5分を見逃したんだが現在その出だしの数分を探して再放送がないか番組表と睨めっこしている。

見始めた場面は20年前、ニューヨークの競馬場で興奮剤を使った八百長が計画され、偶然その情報を知った通り掛かりの男はノミ屋から2万ドルを借金して、7番の馬に賭ける。しかし、その馬はゴール直前で転倒し失格、、借金が返せなくなったマックスは、ノミ屋の背後にいたギャングに拉致され、見せしめに妻子もろとも殺される。

そして一転して現在、スレヴン(J・ハートネット)いう若い男が友人のニックを尋ねてニューヨークにやってくるが、ニックは部屋を留守にしている。スレヴンが勝手に部屋へ入ってシャワーを浴びていると、部屋にやってきたギャング二人組にニックと間違われ、裸のまま彼らの「ボス」(M・フリーマン)のもとへ連れていかれる。ニックに多額の金を貸しているボスは、自分の息子が暗殺されたことに対する報復として、ライバル組織のリーダー「ラビ」(B・キングスレー)の息子を暗殺するようニック(スレヴン)に強要する。スレヴンは人違いだと主張するが受け入れられず、諦めて暗殺を引き受ける。

しかし、ボスはプロの殺し屋・グッドキャット(B・ウィリス)にも暗殺を依頼しており、ニック(スレヴン)を偽装工作の犠牲にする計画であることがほのめかされる。またグッドキャットはラビのもとにも顔を出す。ボスやラビの下に出入りするスレヴンを怪しいと感じたブリコウスキー刑事は彼を追い始め、ニックの隣室の女性監察医・リンジー(L・リュー)はスレヴンが巻き込まれた事件の謎解きを始める。

っとまあこれで監督がコーエン兄弟とかタラちゃんだったらもう一捻りあったかも知れないが最後まで目が離せない。なかなかに上手く出来た映画だった。

ニラレバ注意;ウィキには以下のように最後の種明かしまで書かれていた、、

そうした周囲に翻弄されつつも、ラビの息子に会って彼の部屋に招かれたスレヴンは暗殺を敢行。さらに、そこへやってきたグッドキャットと協力して、息子の護衛や事件現場を始末し、ボスとラビをも拉致・拘束する。実は、グッドキャットとスレヴンは共謀しており、両組織のノミ屋を殺して帳簿を奪ったのも、ボスの息子を暗殺したのも、二人の仕業だった。そして、20年前、当時は仲間だったボスとラビが八百長事件でマックスを殺したこと、マックスの子供を殺すよう命じられたグッドキャットはその子を連れてニューヨークを去ったこと、負けた馬の名は「ラッキー・ナンバー・スレヴン」であったことが明かされる。こうしてスレヴンと名乗る男は両親を殺した一味に復讐を遂げるのでありました。早い話、冒頭で通り掛かりの男が”スレヴン”を”セヴン”と聞き間違ったって事でした、、(笑)。ああ、オレも”ネタバレ”を”ニラレバ”と書いているし、。