”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”引き裂かれたカーテン”(66年)

今週はNHKのBSにハマっている。昨日は”情婦”そして今日はヒッチコック監督の”引き裂かれたカーテン”、原題は”Torn Curtain”なので全く邦題はその通りなんだが待てよ、これじゃ部屋の中に吊ってあるカーテンって意味に取られるぞ。

劇中何度となく”鉄のカーテン”って言葉が出てくるしこれは当時、冷戦時代の東と西に分断されたドイツを背景にしたスパイものだ、、なのでカーテンはカーテンでもこっちの”鉄のカーテン”が裂かれたと言う意味じゃないのかな?

かなり昔に見ているのだが主演はポール・ニューマン、それに”メリー・ポピンズ”、”サウンド・オブ・ミュージック”で大活躍し一躍スターダムの頂点を極めたジュリー・アンドリュースだ。でも微妙にヒッチ爺の好みの女優さんじゃないんだな、、この年代にはグレース・ケリーの後釜としてキム・ノバック、エバ・マリー・セイント、ジャネット・リー、ティッピ・ヘドレン等を抜擢してたがこのジュリー・アンドリュースはその知名度から興行的な成功は見込めてもどうも雰囲気が違うのだ。

 

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"Torn Curtain"

プロットは、、;

 

原子物理学者アームストロング(P・ニューマン)は学術会議に出席するため婚約者のサラ(J・アンドリュース)と船でコペンハーゲンに向かっていた。しかしコペンハーゲンに着く前、アームストロングはある文書を受け取り、急に「ストックホルムで研究活動を続ける」と言い出した。コペンハーゲンに着いて早々、書店から受け取った本に隠された暗号に従い東ベルリン行の飛行機に乗る彼を不審に思ったサラは、彼のあとを追う。

到着した東ベルリンでは、西側記者も招いた記者会見で彼の亡命受け入れとカール・マルクス大学での教授職就任が大々的に発表される。

困惑するサラを、東ドイツ保安省の役人ゲルハルトは彼と一緒に東側の研究に協力するのなら留まっても良いと諭す。しかし翌朝、アームストロングはサラに「国に帰れ」と置き手紙を残し、監視役の目を感じつつ暗号が示した存在「π(パイ)」と接触するため、郊外の農園へと向かうのだった。

果たしてマイケルは売国奴なのか、本当に東ドイツへ亡命したいと願っているのか、、謎と危険に満ちた東側陣営の中で、サラは驚くべき事実を知る。byウィキ

 

見ている側は何かおかしい、挙動不審だな、とは思ってもアームストロングは著名な物理学者なので本当にアメリカに嫌気がさして彼の地で研究に励みたいんじゃないのか?と思う反面昨日まであんなに親密だったサラにもう帰れ、、と言い出す理由が判らない。この辺りの緊迫感の盛り上がり方がヒッチ爺、ちょっとモタモタし過ぎだった。

そこで気が付いた、前日”情婦”を見ていたんだった、、そりゃナニを見ても昨日の今日じゃ”情婦”越えは無理なんだよ、て事で今回のビリー・ワイルダーVSアルフレッド・ヒッチコックはあっちに軍配を、、。

束になってかかってもたった一人の”情婦”(”Witness for the Prosecution”57年)には勝てないのさ。参ったかアルフレッド、(笑)。

 

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"Witness for The Prosecution"

 

 

 

 

 

 

”ウィンド・リバー”(17年)

昨日は”スリー・リバース”、今日は”ウィンド・リバー”(原題は”Wind River”)とこの所見てる邦題には”スリー”か”リバー”が付く、、もっと以前には”Wild River"、とか"River Wild”ってのもあったしマリリン・モンロー主演で”River of No Return”なんてのもあったような?でもタイトルを馬鹿にしちゃいかんぜ、、今回のリバーはなかなかの映画で、内角を鋭く抉った快速球だった。

映画の背景はアメリカはワイオミング州、めっちゃ寒そうな広大な大地、言われなきゃアラスカかと思ってしまう。更に珍しいのはインディアンの居留地先住民族として追いやられた人達の貧し気な生活がしっかりと描かれている。

 

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"Wind River"

主演にはジェレミー・レナーがこの地でハンターとして生計を立てているコリー役、そしてただ一人都会から応援隊として送られて来るのがジェーン(エリザベス・オルセンヴェラ・ファーミガの身内かと見間違える)。

ジャンルとしては殺人犯を追う犯罪捜査モノでその異質な殺人が寒い背景と妙にマッチしてこりゃなかなかの秀作だった。しかもこんな土地へ追い込まれた先住民をしっかりと描いているので最後までダレることなく楽しめた。

以下、ウィキにはこんな風に書かれていた、;

 

ワイオミング州ウインド・リバー・インディアン居留地FWS(合衆国魚類野生生物局)のハンター、コリーは雪山に囲まれた雪原の中で、ネイティブ・アメリカンの少女ナタリーの死体を発見した。

BIA(インディアン部族警察)署長は、FBIに捜査を依頼するが、派遣されて来たのは新人捜査官のジェーン1人だった。ジェーンは不慣れで過酷な環境での捜査に難渋し、コリーに捜査への協力を依頼する。

検死を行うと裂傷やレイプ痕があり、殺人の可能性が高いが、死因は冷気を吸ったことによる、肺の出血と窒息死であり他殺とは断定されなかった。 捜査を進めて行くと、ナタリーが極寒の中を10キロもの距離を裸足で逃げていたことが分かり、さらに数日後にはナタリーの恋人だったマットの遺体が森の中で見つかる。

謎は深まるが、コリー、ジェーンらはマットの勤務先である、掘削地の警備員たちに目星をつけるが、2人は真実とともにネイティブ・アメリカン社会の闇に直面することになる。

 

とまあ書かれた事を読むのは簡単だがそれを映像化しスクリーンに再現するのが一番大変なのさ、。劇中特に近年お気に入り映画の筆頭、”ボーダーライン”風の効果音やら撮影技法が酷使されている事に気が付いた、、さてはと思ったらこの映画で初めて監督デビューをしたテイラー・シェリダンはあっちの映画じゃ脚本を担当していた。

最もあっちが公開されたのは2015年でこっちは2017年、なのでこの初監督作品で手法をそっくり真似たんじゃないのか?それでも評価は変わりませんよ。いや~、満足の☆☆☆1/2でどうでしょう??

 

 

 

 

 

 

”スリー・リバース” (93年)

スリー・ビルボード”ってのは文句なしに秀作だった。”スリー・デイズ”はそこそこの緊迫感ある映画でラッセル・クロウが奥さんの無実を晴らす為にあの手この手を使う設定、でこの”スリー・リバーズ”はブルース・ウィリスが主演、どうやってもB級には違いないがブルースはまだ髪の毛も黒くフサフサだったし同じような警察官一家を描いたスタローンの”コップランド”同様、かなり上出来じゃないだろうか?

どうもこうやって見ると邦題には”スリー”を付けるのが好きだがこの原題は”Striking Distance” (一撃が届く距離、って感じの距離を表す言葉だ)。それが邦題では”3つの川”、、確かに舞台はピッツバーグで川が交わる支点って事なんだが内容には余り関係ないのだ。

 

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”スリー・リバース”

ブルース・ウィリスが最初は殺人課の刑事、それがある事件で左遷され2年後の現在は所轄の川をパトロールするリバー・レスキュー隊の巡査部長になっている。でも以前追っていた連続殺人事件で既に犯人は逮捕、処刑されているにも関わらず腑に落ちない点があり単独で捜査を続けているのだ。彼のキャラクター、役名がトム・ハーディーでチョイと混乱するが新しく配属されたジョー(サラ・ジェシカ・パーカー)と事件解決に向けて警察官一家の全員が反対するのにも負けずに独自の捜査を進めて行く、。

まあ27年も前の映画なので当たり前だが皆さん実に若い、サラ・ジェシカ・パーカーだって初々しい警官だしブルースだって”ダイ・ハード”の88年から5年後の事で一連のアクション映画でヒーローとして人気が頂点に達する直前の映画だったのだ。

そんな長い芸歴で主演、チョイ役、カメオを含め30年近くで大量の映画に出ている。決して演技派として認められいる訳じゃないようだがそれでも以下の作品は印象深い映画じゃなかろうか?

ダイ・ハードジョン・マクレーン刑事は当たり役じゃなかろうか?最初は愛するホーリーの為に余計な時に、余計な場所に居合わせて悪人退治に大活躍する訳でこの展開はその後、専売特許になっている。最も”ダイ・ハード4.0”くらいになると奥さんとは離婚しているしやれ息子とか娘が出て来ちゃって当初の設定が狂ってしまった。

アルマゲドン”、、これは日本では特別かも知れない、、ハリー・スタンパーと言う腕の良い掘削屋に扮し最後は娘とその彼氏の為に、、それと地球を救う為に自分の身を投げ出す、こりゃ涙モノの設定で日本で大ヒットした理由が判る。

シックス・センス、これはかなり衝撃的な映画でM・ナイト・シャマランの監督名が先行したがアクションは封印して親身になって子供の面倒を看る見事なドクター・マルコム・クロウだった。

ティアーズ・オブ・ザ・サン、シールチームのウォーターズ大尉として紛争中のナイジェリアへ精鋭部隊7名と送り込まれる。その使命とは現地で医療活動を続けるアメリカ人女性医師を救出する事なんだが、、っでその救助される女医さんがモニカ・ベルチ、これはかなりアクション映画(戦争か)としても好きな一作だ。

ありゃ”3つの川”が最後にはウィリス談義になってしまった。もうこれでブルース・ウィルスなんて書かなくなるだろう、。

余談だが同じアクションヒーローとしてスティーブ・マクイーンが挙げられる。彼も当初はテレビでのシリーズ作品での下積み生活が長く大抜擢されたのは60年公開の”荒野の七人”だった。

 

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華麗なる賭け

それから結局、遺作となった80年の”ハンター”まで俳優業は実働20年余、26~27本で主役を演じているのだがその映画ファンに残してくれた”好印象”と言ったら外れなしで凄い数だった。出演作品の殆どが素晴らしい映画だったと言っても過言ではない。僅か50歳と言う若さでこの世を去っている訳だがどうしてそれ程、差が出てしまうものだろうか?

 

 

 

 

”野生の呼び声”(20年)

この映画は劇場公開になり”いざ久し振りに行かん、”、っと思ったら途端にコロナのお陰で映画館が閉鎖、行けなくなってしまった。それから約4ヶ月、J:comの有料配信になって550円で見る事が出来た"The Call of the Wild”、。

 

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元ネタは無論我らジイ世代の心を虜にした(当時は少年、、)ジャック・ロンドンが1903年に書いた冒険小説だ。日本でも翻訳されそのセントバーナード犬、バックの数奇な運命に心躍る数日を過ごさせて貰った。

今回の映画化ではハリソン・フォードが人間のメイン・キャラクター、広大なアラスカの大地を舞台にバックと二人三脚、過酷な自然に立ち向かって行く。この映画化は何と6回目だ、、この20年に制作されたのは最新技術を駆使した画面が満載、もうアニメと言っても良いほど、さて何処までが実写なんだか判らない状態だった。

原作では体重が63キロと並みの女性以上にある”主犬公”のバック、裕福な判事一家に飼われていたのが一儲けを企てるコソ泥に盗まれ、遠くアラスカの大地へ送られてしまう。其処から郵便配達屋のそり犬としてその有望さが認められ仲間のワン達を従えて鉄道のない地域へ犬ぞりのボスとして仲間からも一目置かれる存在になる。

そんなバックがソーントン(H・フォード)と出会い又、人間との交流を復活させる、、そんな動物感動編なんだが何故か今回は泣けなかった、。第一の理由として余りにバックが演技が巧く、、それって裏返すとCG処理、凄いな、上手いな、とは思っても感情移入がイマイチなのだ。

結局、最後まで知った展開でバックは野生に帰って行くのだ、、この辺りがちょっと想定外だったが最後までのめり込んでしまった。夕飯を忘れるには至らなかったが、、。