”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”眼下の敵”(57年)

相変わらずこれでもか、、っと旧作にのめり込んでいる。この映画もまだ字幕もろくに追えない頃に日比谷のスカラ座で見たんだった、。緊迫する潜水艦ものとしては今でもトップファイブにランクインする映画で主演は駆逐艦の艦長がロバート・ミッチャムUボートの艦長にクルト・ユルゲンスだ。

原題は”The Enemy Below”、まさに”眼下の敵”と実に見事な邦題だ。この時代は日本語に訳しやすい原題が多かった事も一理あるがそれでも”Love In The Afternoon”を”昼下がりの情事”とか”Witness For The Prosecution”を”情婦”としたり実に素晴らしい邦題の宝庫だった。今だったらどうだろう??恐らく”エネミー・ビロー”とか”アフタヌーン・ラブ”とかでやっとこさ日本語を使って”検察側証人”とかになるんだろうなぁ~、、そんな事を思うだけでもう見る気が失せるのだ。

さてこの”眼下の敵”、再見してガキの頃には理解不能だった事が沢山出て来た。それは先ず両艦長の性格描写だ。ミューレル艦長を演じるロバート・ミッチャムは歴戦の根っから軍人ではなく商業船に乗ってた過去があり駆逐艦に任命されたのは初めてだ。そんなで部下からは”船長は船酔いか?”とか言われたり”今回の任務はお遊びだな?”とか言われっ放しだ。かたやヴォン・ストルバーグ艦長を演じたクルト・ユルゲンスは根っからのドイツ海軍の司令官、部下からの信任も厚く歴戦錬磨、でも本人はフューラー総督には余り良い感情を抱いてない。

そんな二人が南太平洋上で相対するのだが今と違いレーダーとソーナ、それと自分の目と耳が頼りの戦い、、それでも劇中ストルバーグ艦長がいみじくも”潜望鏡が設置されたお陰で魚雷の進路や距離は自分の勘や戦術に頼る必要がなくなった”と語るシーンがある。今の時代に蘇ったら腰を抜かすだろうなぁ~、、。

全編100分程度の映画だがこの二人の艦長、最後まで互いの顔を見る事はない。駆逐艦が潜水艦に乗り上げて敵の攻撃を阻止するのだがそこでやっと二人が顔を会わせる、甲板からロープを投げて潜水艦の将校と艦長を助ける場面は互いがその技量を認め合い戦闘を遥かに越えた場面になっている。そして”さらば友よ”の反対で”こんにちわ友よ”でエンドロールになるのだ。

さてこの気分じゃ今度は”深く静かに潜航せよ”(58年)を見るっきゃないだろう、、でも待てよあっちは確か日本軍が相手じゃなかったかな?

 

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