”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”シェナンドー河”(65年)

ジェームス・スチュワートがもう50歳を超えている頃の主演作で監督は西部劇の第一人者、アンドリュー・V・マクラグレン、原題は”河”は付かずそのまま”Shenandoah”で制作されたのは65年、映画館で見ているのだがかなり印象深い映画だった。

背景は南北戦争末期、時代設定は丁度100年前の1864年、実際に起きた戦争は61年から65年までで南部の11州が集結、対する北部は23州で主に奴隷制度解放を巡る戦いに双方で80万人からの犠牲者が出たアメリカ史上最大の内戦だった。

アンダーソン一家は当主の男やもめチャーリー(J・スチュワート)以下7人の子供たちがバージニア州、シェナンドー河沿いに広大な農場を持ち全員が農地で働いていた。チャーリーは争いを嫌い、農場主としてあくまでも中立の立場を守っているが戦禍はその一家、子供達にも襲って来る、そして否応なしに巻き込まれてしまうのだ。

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要点は末っ子の16歳の”ボーイ”が川で拾った南軍の帽子を拾って被っていた事から戦闘員と間違えられ進撃して来た北軍の将校に捕まってしまう。その息子を探してチャーリー以下4人の兄弟が戦火を潜って救出に向かうのがメインテーマになっている。

アンダーソン一家の立場を前面に押し出し何処までも戦争反対が貫かれている。家族全員が無事に帰還する訳じゃないのだが戦争の空しさ、愚かしさが描かれておりアクション満載の作風ではないが争いがそんな平和だった農場にまで押し寄せて来ると言う何とも理不尽で不運な運命に弄ばれたアンダーソン一家の描き方は素晴らしい。

65年の映画となっているが国内で上映されたのはもっと後だったと思う。間違いなく築地の松竹セントラルと言う映画館で見たのだが67年の7月までは日本に居なかったのだ。何と言っても終盤ボロボロに泣かされて映画館を出て来た記憶があるのだ、。