”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”ガーディアン”(12年)

要するに”保護者”って事だがアメリカンでもその他英語圏でもなく正真正銘のドイツ映画だった。原題の”Schutzengel”ってのは恐らくそんな意味なんだろう。(ガーディアン・エンジェルだった)

内容は武器商人として成功し政府レベルにも絶大なる影響力を持つ実業界の大ボスがひょんな事でホテルの自室へルームサービスの食事を持って来た青年を射殺してしまう。その青年と一緒だった14歳のニナがその現場を目撃、検察はそのニナを召喚し法廷で証言させようとするのだが大ボスはそれを阻止すべくあの手この手でニナを抹殺しようとする。

そのニナの護衛にと呼ばれたのが元特殊部隊に居たマックス、そして検察の用意したセイフハウスへ籠るのだがその情報、所在地が敵にと言っても警察に筒抜け、襲撃され仲間を殺され別の場所へ逃げるハメになる。こりゃ署内に通報者がいると踏んだマックスはニナを連れて逃げて逃げて、逃げまくる、、そんなお話である。

この辺りまでのテンポは良くこりゃおっさんと14歳の娘の逃亡劇(?)と期待させるのだが、、先ずこのニナの性格がメッチャ悪い。そもそもボーイフレンドだった彼氏が大ボスの部屋で撃たれたのはニナがテーブルにあったパソコンを盗もうとしたお陰なのだ。なのに自分の悪さを棚に上げ逃げる場面でもマックスには一切協力はせず自己主張の塊になっている。これは彼女の魅力のない容姿は別として演出と脚本の悪さでしかないのだ、、なので見ている方は全然彼らの気の毒な立場に感情移入も出来ないし同情も出来ないのだ。

それに幾ら警察署内にスパイが居てもそれじゃ直接検察に通報してニナの存在を公にしちまえば大ボスは賄賂に染まった警官ばかりを送り込んで殺しまくる事もないように思うのだが、第一ガンアクションが派手でとは論評に書かれているがその追われている最中でもニナはギャーギャー大声を挙げて騒ぐばかり、これには閉口した。

更に途中経過(ガンアクションのない場面)がおっ恐ろしく長い、ニナやマックスの生い立ちが語られるシーン、それに唯一味方らしい検察の担当女史(これがマックスの元カノ)の描写が延々と続くのだ。後になって考えると何故この場面で”舟を漕がなかった”のか、、それは字幕を読むのが忙しかったからだと判明した。

そして最後はド派手な戦闘シーン、田舎の廃家に襲って来るポリツアイ一個師団、相対するのはマックス一人、てっきり流れから行って彼が殉職しニナと検察官だけが助かったんだと思いきやあんれまぁ~、、マックスもあの襲撃を生き延びて遥々彼らの元へ(イギリスのブライトン)までびっこを引きながらやって来るのです。これには参ったよ。

そりゃ”ランボー”なんぞは敵が100人いてもへっちゃらだがこの映画はそんな想定じゃないのだ。それが入れ替わり立ち代わり攻め入って来る敵を倒して無事に生き延びるってのはどんな演出なんじゃい?それと肝心の大ボス、ボディガードと二人、商談の終わった場所からベンツに乗って移動するのだがエンジンを掛けた瞬間にクルマが大爆発してあっけなく悪人どもは始末されてしまうのだ。その背景の説明が一切なく誰がやったのかは不明、無論マックスがやった訳ではなさそうだし、見ている側はアタマを抱えてそのまま倒れ込む始末だった、、。

それなりのアクション映画なんだが設定、背景、演出、共感出来ないキャラクター全てがボツって言う珍しい映画だった。オレの二時間返せぇ~、、、。

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