”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”イングリッシュ・ペイシェント”(96年)

これはもう過去に何回も記事にしているだろうと自分でブログ内を検索してみたがチョコチョコとタイトルは出て来るがその鑑賞記は何処にもない。96年に公開されているので間違いなくオーストラリア時代だしちゃんと公開時に映画館へも行っている。

なによりその翌年、アカデミー賞では作品賞を始め9部門を制覇しているので多くの映画人がその秀作ぶりを認めた結果なんじゃなかろうか?原作はマイケル・オンダーチェが書いた”イギリス人の患者”(”The English Patient”)だったが邦題はあっけなくそのまま誰も頭に汗をかくことなくカタカナ化で公開されちまった。

主演はレイフ・ファインズ(そうだ彼の”シンドラーのリスト”が頭の片隅にあって公開当初乗り気じゃなかったんだ)、それとクリスティン・スコット・トーマスウィレム・デフォーに大抜擢されたジュリエット・ビノシュ(彼女が素朴で献身的で魅力的で実に巧くて良かった)、監督はアンソニー・ミンゲラ

 

f:id:guch63:20200627165013j:plain

" The English Patient"

 

まあぶっちゃけ砂漠を舞台にした壮大な不倫ものなんだが、、”アラビアのロレンス”で描かれたような一面の砂漠、それを1930年代から戦争末期のイタリアに至るまでを丁寧に描いている。背景になった土地感覚が判らないとナンで最後はイタリアン(?)っとなるのだが当初の舞台はリビアの砂漠地帯、主人公のラズロ(R・ファインズ)は測量技師としてサハラ砂漠の地図を作成している。

そんなラズロの周りにはジェフリー(コリン・ファース)、キャサリン(KSトーマス)夫妻も同行している。そのキャサリンとラズロが不倫関係になって行くのがメイン・テーマで時代が前後するが映画の進行はその戦争末期、イタリアから始まるのだ。

第二次大戦末期のイタリアでのこと、カナダ人看護師ハナ(J・ビノッシュ)は空襲で破壊された修道院に住み着き、ある患者の世話をしている。その患者は重い火傷を負い、英語を話すが自分の名前は思い出せない。

シーク人のキップは地雷処理を行う英陸軍工作兵で、ハナと仲睦まじくなる。カナダ軍諜報部隊のデヴィッド・カラヴァッジョ(W・デフォー)は、ドイツ軍の尋問で両親指を切り落とされた過去を持ち、自分を特定する写真を撮影したラズロ・アルマシーを追っていた。4人は修道院で一緒になる。カラヴァッジョは患者に問いかけ、患者は徐々に記憶を取り戻す。っとこれはウィキ

最初映画館で見た時は背景に流れる音楽や壮大な砂漠、それにチョイと気味が悪い”イギリス人の患者”の存在が一体誰なのか不明でまごついた。そして砂漠を測量している彼らが徐々に親密になって行く様子も丁寧に演出されているし不慣れな国へやって来て平常心が保てない彼らの日常にも共感したもんだ、。

結果的には不倫に走ったキャサリンは自業自得なんだろうがこれは砂漠に咲いたロマンス映画として見れば演出、構成、脚本も素晴らしくド真ん中のストライク、、とは言わないが外角低めにビシッと決まった☆☆☆1/2じゃなかろうか?そうそう日本じゃ全部ボカシが入った筈だがCCトーマスはそれそこ体当たり演技で(この映画を前後して3本でキューピー人形状態)一躍有名になってしまった。

1996年の世界はチャールス皇太子、ダイアナ妃の離婚、アトランタではオリンピックが開催されクリントン大統領が再選、なんて出来事があった。別に不倫映画がブームって訳じゃなかったが人間が生きて行けば不倫は何時だって起きる、、それに不倫が無くなったら映画だって作られなくなってしまうし、、アカデミー賞の会員さん達も何となくそんな世間の風潮に押されてしまい高評価に繋がったんじゃなかろうか?