”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”ボーイング ボーイング”(65年)

原題はそのままで”Boeing Boeing”、あのアメリカの航空機製造会社でボーイング社が画期的に速くなった最新鋭機材を投入しヨーロッパとアメリカ、そしてイギリスとの距離が断然より近くなった、、と言う前提から付けられたタイトルだ。ボーイング社にとっちゃこりゃタダで世界中に自社名を宣伝してくれると言うPR映画なのかも知れない。デザスター映画じゃ絶対にクレームが出たんだろうが、、。

元ネタは舞台劇でフランスのマルク・カモレッティと言う人が1960年に発表しパリで初めて上演されたらしい、、、その後、ロンドンでは7年間もの間上演され続けウィキによると日本でも68年に上演されているらしい、、これは知らなかったぜ。

映画化されたのは65年で配役はトニー・カーチスジェリー・ルイスの爆笑コンビ、ジェリー・ルイスは当時ディーン・マーティントニー・カーチスにはジャック・レモンと言うお似合いの相棒が居たのだがこの映画では初コンビを組むことに。新境地を開く為だったのか手堅く成功するコンビにしなかったのか或いは舞台劇のヒットから推測して誰が演じても良かったのか?

 

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この風刺を利かせたコメディータッチは単純なストーリーの方が受けが良い、これもその通りで背景は至って簡単だ。元ネタでは主人公はフランス人だが映画化に際してはアメリカ人俳優を使い、舞台をロンドンに置き換えている。

バーナード(T・カーチス)はロンドンに駐在するアメリカの特派員、そしてロバート(J・ルイス)は遥々田舎から訪ねて来た友人、そしてバーナードの家政婦として彼とアパートの面倒を見ているのがバーサ(テルマ・リッター)だ。

そのバーナードにはガールフレンドが3人いて夫々にスチュワーデス(当時は)、それもアリタリア航空、ブリティッシュ航空、ルフトハンザ航空と実名の航空会社で彼女達が飛んでくる日と、便を厳格に管理して誰も顔を合わさないようにするのがバーナードとバーサの手腕の見せ所だ。

そんなプレイボーイ振りのバーナードの元へやって来たロバート、そしてボーイングの新鋭機導入で今までより断然早く到着する事になったスケジュール管理が俄然煩雑になって来る。何せ朝の便でアリタリア機が着くと夕方にはパリに向けて出発、その晩には今度はルフトハンザ機が到着、翌朝周発、と同時に今度はブリティッシュ航空機が到着すると言った過密日程だ。

そのスチュワーデス3人と二人の男に家政婦さん、、それらが出たり入ったりする場面と3人が顔を会わせないようにする設定が実に笑えるのだ。映画化に際しては監督をジョン・リッチと言うTVドラマ専門だった人が撮っているのだが決まった舞台を背景にしているだけなので脚本の面白さが全て、それにベルナードとロバートの漫才風景が面白くて最後はスチュワーデスたちはどうなったのか?

中でも忘れられないのがバーサ役を演じたテルマ・リッター、、彼女は”裏窓”でも同じような家政婦さんを演じていたが斜め後ろから主人公たちを眺める目線が実に見事だ。その芸歴は長く、決して主役ではないのだが映画界での実働1947年から20年間に渡って大活躍、素晴らしいバイプレーヤーだった。