”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”007/ ノータイム・トゥ・ダイ”(20年)

初日の初回、この25作目が公開に漕ぎつけるまで映画の完成から2年が経過している。世界的なコロナ禍で延期延期となった訳だがそれだけ待たされたファンでさぞ満席じゃなかろうか、と恐る恐る席の引換券を手にエレベーターを降りたがロビーは閑散としてた。場内もやっとこさ半分程度で期待された割には少ないんじゃないか?そう言えばこの字幕版の30分前に吹き替え版が公開されているのでそっちが混んでいるんだろうか?でもやっぱり若い世代より断然年配者が多いようだ、。

 

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そして本編だが何時ものタイトル場面になるまでのエピローグが随分と長い。重要なエピソードになるんだろうがのっけから能面を着けた殺し屋がアルコール漬けのママとその幼い少女の元へやって来て”ホワイトは何処だ?”と聞いて来る。それに答える間もなくママが殺され少女は逃げ惑いキッチンシンクにあった拳銃で反撃を試みる、、。

そして場面は5年後へ、、前作”スペクター”でジェームス・ボンドと恋に落ちたマドレーヌとジェームスは保養地で悠々自適な生活を送っている。そのシークエンスでクルマで出掛ける際にボンドが”We have all the time in the World”と呟くのだがこのセリフだけで往年のボンドファンはスクリーンに釘付けになる。

 

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CIAのエージェント役でボンドを助けるパロマ、演じたのはアナ・デ・アラマス

そしてワンフレーズだがあのオリジナルで歌われた曲のイントロになっていく。(”女王陛下の007”で主題歌として使われた曲でルイ・アームストロングの歌唱曲)個人的には最近007で使われた全25曲のうちでもトップ・スリーにはいる名曲だと思っている。って事はプロデューサーのバーバラ・ブロッコリとオレは同じ感性なのかも知れないぞ。そしてこのアームストロング版が最後のエンドロールと共に歌われるのには二度ビックリした。半世紀を経てこの曲が今回のボンド25作目に再登場するとは、、。

しかし今回のボンド25は過去のタイトルから検索すると完全にロジャー・ムーア時代の”Spy Who Loved Me”だし心情的にはピアース・ブロスナン”Tomorrow Never Die”ってところに落ち着くようで即ち”ラブ・ストーリー”なんである。

それが悪いって訳じゃなく過去の冷酷に殺しのライセンスを駆使するスパイじゃなくてもっと人間らしい部分が描かれているのだ。これ以上は全てがネタバレになるので書けないがダニエル・クレイグが抜擢されて作られた一作目の”カジノ・ロワイヤル”、”慰めの報酬”、”スカイフォール”、”スペクター”、そしてこの”ノータイム・トゥ・ダイ”と一連の5作品は全てが繋がっていると言う筋書きだったのだ。

そう言えば悪の巣窟、スペクターと言う組織はイアン・フレミングが描くところのボンド物語では全編を通じての宿敵なので一作目の”ドクター・ノオ”、”ロシアから愛を込めて”以降も顔出しのない悪役として白いネコを膝に置き指令を出していたのだ。

兎も角、2時間43分の長丁場だったがダレる事無くどの場面でも驚くような想定と早い展開には圧倒された。公開が延期になった事でかなりな手直しは可能だった気がする、、カメラを回すのは不可能でも編集力で補う事は充分に考えられる。007シリーズ、それもスパイ映画として最後に泣かされたのは初めての経験じゃなかろうか?

 


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