”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”国際諜報局”(65年)

又か、、何だがこの映画はもうボクの青春どころか限りなく好きなジャンルのスパイ映画だ。ひょっとすると初期の007シリーズより好きかも知れない、、。原題は”The Ipcress File”と言うのだが何故か邦題は”国際諜報局”、レン・デイトンが書いた原作が翻訳された時はそのまま”イプクレス・ファイル”だったんだが、、。

 

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この映画、実は007のプロデューサーとして有名になってしまったがハリー・サルツマンが寄与している。007の映画化に際してはこりゃイケるとばかり1961年にその版権をイアン・フレミングから買い資金集めに奔走したらしいが決められた期限内に資金を集める事が出来なかった。

そこで最後の手段として同業者のアルバート・ブロッコリに打診、結局双方が合意の上でプロデューサーとして最初の”ドクター・ノオ”を世に出した。その後、初期のジェームス・ボンド作品を最後の”黄金銃を持つ男”(74年)まで合計9本、ブロッコリと共同制作者としてタイトルロールに名前が載っているがこっちの”国際諜報局”はハリー・サルツマンが単独で制作者になっている。

こっちは1965年に公開されたので時系列から行くと”ゴールドフィンガー”(64年)と”サンダーボール作戦”(65年)の間に制作されているのだ。しかし乍ら作風は007とは180度違ってかなり”地味”系だ。主演のハリー・パーマー(マイケル・ケイン)の人物像はかなりの女性好き、これは何もジェームス・ボンドがそうだからと言う訳じゃなくてイギリスの伝統的なモノだと考えられる。

そして内容は荒唐無稽な設定から悪の巣窟に乗り込むってお話じゃなくて米ソの対立の狭間に焦点が合わさり科学者が誘拐され洗脳されると言ったかなり実際に起きていたんじゃなかろうかと言う逸話が元ネタになっている。

原作者のレン・デイトンイアン・フレミングとは違って地味だが緊迫感がある伝統的なスパイものの書き手としてこのハリー・パーマーを主人公に書いた作品が5本も映画化されているのだ。

 


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残念なのはこのハリー・パーマーはジェームス・ボンドみたいにそれから2021年になるまで25作も制作されなかった、、。確かにマイケル・ケインだけが演じたんじゃそんな長期戦は難しい、夫々の時代の先駆けとして新しいボンドを誕生させつつ内容もアップグレードしないと生き残れなかったと言う好例なんだろう。