”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

サイトじゃなくて本物の管理人デビュー奮闘記

思えば17年飼っていた愛猫を昨年の7月4日に事故で亡くしその4ヵ月後には15年間連れ添った最愛の犬を病気で亡くしてしまった、、そして11月には何と自身が急性喘息とかで入院を強いられた。その病室で何気なく読んでいた新聞広告が今回の引越しを決心させてくれた。それまでは目の前は大きく開けた公園だし隣家とは適度に離れているし通りの先には3軒しか家もなく閑静でペット達にはこの上なく優しい絶好な立地条件にとても満足していたものである。 それが前述のような“悲劇”に遭遇すると人間の気持なんて簡単にグラつくもんだ。ご近所のワンこ達が通り過ぎると飼い主の名前は知らずとも“おい、レオ元気か?”とか“チャーリー今週は洗ってもらったか?”、“バーキー、今日はちゃんと歩いて散歩しろよ”とかつい声を掛けてしまう。 彼らにしても何時も変なオリエンタルのおっちゃんに連れ添ってワンとニャンで散歩していた二匹の仲間は最近どうしたんだろう?などと考えていたかも知れない。

まあ夫婦二人きりだし、今更デカイ一軒家も必要ない、というのは我々の本音であり日本とは違いライフスタイルによっていとも簡単に住居を売買するし引っ越す事は珍しくもない。そこで2-3寝室程度のタウンハウスやら低層階の物件を探すでもなく病室で眺めていて思わず“うん、、?”とベッドに座りなおして反応したのが“Management Rights”と言う項目にある物件であった。早い話、これは“運営権利付き”の物件と言う事であってアパートなりタウンハウスなりコンドミニアムを購入して同時に本来は管理人がやるべき仕事を請け負う、と言うものである。例えばある集合体の共同住居の場合、所有者がそこに住むのは普通のケース、場合によっては所有者が家賃収入を目当てに(投資目的)購入して貸し出すケースもある。そんな時レンタルのテナント募集から家賃徴収、そして敷地内の清掃、整頓、共用部分の庭木や芝生の手入れ、日本なら各自が持ち回りでやる管理組合+管理人の役柄を一般的なビジネスとして売買するのである。本来管理する側の法人なりが物件によっては管理人を常駐させ管理運営にあたるのが日本式で、この場合管理人はその所属する法人から給与が支払われている。此方の場合は施工側が竣工した時点でその部分を権利として売買してしまう事からこんな商売に発展していったようである。

条件として先ず本人はそこの敷地内に管理人用住居として用意されている物件(通常は管理事務所が併設)を購入する事。その居住区分の購入額は相場の価格だがそれとは別に年間の収入に応じて異なるその運営管理事業を買い取ることになる。同時に不動産免許(特殊なライセンス)取得が定められており、全教科20項目余りの取得に約10日間は必死に取り組む必要があり最終的には試験を受けそれに平均80点以上でパスしなくてはならない。授業料さえ払えば誰でも受かるものよ、、と言われて始めたのだが途中二度ばかり本気で挫折しかかったな。学生時代でもこんなに根をつめて取り組んだ記憶がないほどの体験をさせて貰った。

これが住む事になる平屋のタウンハウス全景。ガレージは2台分一応あるが狭い、、。左側部分が管理事務所になっているがこれも日本規格で6畳程度だ。
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更にこの分野に参入しようと考えている人の為に弁護士、会計事務所そして資金調達を援助してくれる金融機関が定期的にセミナーを開催している。強要される訳ではないが講習費を徴収されるこの一日セミナーにも顔を出して見た。何と近隣の州はもとより遠くニュージーランドや英国からも興味を持った人たちが押し寄せ会場は満員の盛況。若い夫婦は在宅収入を目当てに、そろそろ子育てから自立出来そうな世代はもっと収益の良い物件へ、熟年層は老後前の一働きと思惑は様々だが何処の国でもまあ考える事は一緒なんだと妙に納得出来たセミナーであった。これら条件をクリアした後に既存の共同管理組合の会合で承認を受けないとならない。これには人物査定、犯罪歴の有無や経歴の提出が含まれており何と最後は面接まであるとか。此方が大枚払って事業を買うのに面接もないもんだと思うのだが此処はやはり何処かの馬の骨に大切な財産管理、運営を任す訳には行かず素通り出来ない事かも知れない。

新聞広告以外にもこれを専門に取り扱う不動産業者があり物件自体は豊富に出回っている。高層ビルの憶単位の物件からホリデイユニットやリタイヤメント主体のものまである。高額物件ほど実入りも多いのが普通だがその分やる事も増えるし経費も増加する。パートで人を雇ったり外部のリネン業者に委託したりとそれじゃまるでホテルの支配人だ、みたいな物件もある。そんな物件には見向きもせずに払える金額から逆算し無理なく銀行融資を受けるとなると自ずと買える物件の見当がついて来る。そこに住み慣れた区域、立地条件を加味すると平屋のタウンハウスで総数33軒、うち11軒が賃貸として貸し出されていて年間収入が約5万ドル、この程度が手頃だろうという結論になった。築6年で購入費は住居部分が43万ドル、それに運営権利が13万ドルの合計56万ドル、(1ドル=80円換算で4500万円程度)売った家からローンの残金を返済して頭金を調達し20万ドルを投入、従って銀行からの借り入れ金は購入費の70%になる。事業費として出資を受ける部分より専用住宅区分は格安の金利での資金調達が可能なので双方で毎月の返済が2000ドル程度に収まった。

新聞広告を見て最初に反応したのが2008年の11月、もう10月になろうとしているのでこりゃもう一年計画の案件になってしまった。実際には7月になって持ち家を売る算段をしてから進めて来たので免許取得の期間を含めて実質3ヶ月余りの間にバタバタと色々な事が決まったと言っても良いかも知れない。

一番の試練は9月1日に住んでいた家の受け渡しが終わりその後3週間以上に渡り家内と愛猫(ネコ専用のペットモーテルへ)とも離れ離れで別々の知人宅に居候を強いられた。山ほどもある家具類や書籍はトランクルーム大小二つにびっしり、引越し屋さんの手間が二度になるしトランクルーム代がかさむなど最悪の結果だ。オーストラリアの友人に言わせるとそんな時こそ“休暇を取って奥さんと何処かへ行けば良いのに、、”である。やはり精神構造が違うんだろうな、、、我々にはとてもこんな大事な時に、イヤそんなに大事な時じゃなくても、呑気にホリデイーって訳には行かないだろう。これだけは断言出来る。単にこれは血液型の問題ではないと思うのだが、、しかし本来はそのくらい大らかな性格や気の持ちようじゃないと外国生活は辛いものがあるかも知れない。

現在居る管理人さんは奥さんが専任でご主人はカーペットクリーニング会社に勤務、お子さんが二人、そこにホームステイで何と日本人大学生が同居中。それじゃ幾ら何でも3寝室じゃ狭かろう、近くに大きな家を買ったとかで管理人業はやめ専業主婦と不動産業に専念したいので売却を決心した由。そんな折にホームステイ中だったその女学生が帰国したのでもし良かったらと我々夫婦に寝室を一つ提供してくれ3週間の別居生活も終わりを告げた。しかしメインのベッドルームはご主人が使用中でシフトによっては夜中の2時頃からの勤務で帰りは朝、そんな生活には付き合ってもおれずキッチンも勝手に使って魚を焼く訳にも行かないのでもっぱら外食に頼っている。しかし売主の家に2週間も買い主が居候するってもの超イレギュラーな事態だ、、別に家賃も請求されないが独身時代なら兎も角、この歳になって夫婦で“ホームステイ“は厳しいものがある。そんなドサクサで9月24、25日と連続して毎年必ずやって来る我々の誕生日にはマッタク気が付かなかった。いや、例年通りだが、、。

入り口付近から一番奥までを見通す。一番奥にはプールが完備。
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これで合計33軒、うち11軒が賃貸中。お年寄りの比率が高いようにも思うが朝の通勤時間には一斉に車がなくなるので基本的には就労者中心、家賃は週単位が基本だが平均すると360ドル、と言う事は月額にすると1440ドルだから12万円近い事になる。

これから一体どんなドラマが待っているのやら、、イヤなテナントや家賃を払わないヤツ、騒音からそれこそ想像も出来ないような試練があるんだろうな、、この歳でそりゃ辛い事もあるんだろうが背に腹は代えられないしもとより選択の余地はない。覚悟を決めてやるっきゃない。 

エリーは未だペットモーテルから引取れないがあと少しの辛抱だ、待っててくれよ!!