”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”007/スカイフォール”(12年)

これは劇場公開時の初日、それも一回目の上映に前売り券を握りしめ駆けつけた。それもシネコンの僅か60席しかないゴールドクラスでリクライニングまでする席に45ドルも払ってゆったり見たのだ。その後、FOXの有料配信時に5.5ドルを払って再見、半年後に放映された時にもう一度と間違いなく4回は見ている。

それでもってもう一度、、今度は初めて”吹き替え版”なるものを見てしまった。アクションシーン満載でセリフのない場面では全く問題はないのだがMに扮したジュディ・デンチが”撃て、撃て、撃ちなさい”とか妙にテンションの高い声で叫ぶのには参った。

調べたら彼女の声は声優の谷育子さん、、そしてダニエル・クレイグは藤真秀さんと言う人の担当だったらしい。確かにジュディ・デンチと同世代の声優さんのようだが妙に声が若々しいのだ。ホンモノのジュディはかなりしわがれ声でイギリスは生っ粋のヨークシャー訛りである(私もそこまでは判別出来ないが、、)でも確かにイントネーションは全く違うのだ。先の”撃て、、”と叫ぶ場面は実際には”Take the bloody shot,"と言うセリフでもし007に弾が当たったら、、と苦悩の表情を浮かべてイブに命令するのだ。それが吹き替えだと、、”撃て、、、”になっている。そりゃ意味は同じかも知れないが 苦悩の表情がそのセリフにはこもってないのだ。

同じようにボンドのセリフに関してもウィットが抜けている、、無論何れも正確な翻訳だしストーリーが変わっているなんて事はないのだが。死をエンジョイしてたボンドがMの私邸に侵入し帰宅したMとのやり取り場面でも吹き替え版だとどうも靴下の上から足を掻いているような気分でどうにも落ち着かなかった。幾ら正確なセリフでもあの長年007のセリフとして馴染んだアクセントじゃないのだ、。

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後半になっていよいよ最後の対決、意を決してMを連れてスコットランドの”スカイフォール”へ向かう場面、ロンドンの下町でガレージのドアを開けるとそこにはこのアストンマーティンDB5が、、映画館では60席で満席と言う少ない観客だったが全員が驚きの声をあげ拍手喝采だった。この他の観客とスクリーンを共有する瞬間、こればかりは幾ら吹き替えが素晴らしくても、気ままにトイレタイムを作ろうが絶対に自宅のテレビ鑑賞では望めない映画の醍醐味である。