”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”ビクトリアとアブドル(17年)” 原題

原題の英語表記は”Victoria & Abdul"で昨年のベニス映画祭で上映されイギリス国内、アメリカでは9月に公開されたばかりである。当地では年末からFOXさんの課金プログラムにあったのでやっと見ることが出来た。

多分そうだろうと思っていたがやはり97年に制作され大成功を収めた”Mrs. Brown"、邦題は”Queen Victoria/至上の恋”、の非公式”続編”である。何せ双方とも演じたのはジュディ・デンチで年月もそれなりに97年から20年以上の歳月が経過し画面からも認識出来るのだ、。

以下はallcinemaの”至上の恋”感想欄に何処かのファンが投稿していたものでそのまま原文を拝借、掲載すると、、;

何故か日本ではビリー・コノリーの評価が低いのだが(ラスト・サムライにチョイ役で出演)本国では有数な辛口コメディアンとして有名だ。そして相対するのはジュディ・デンチ、この二人の競演となればそれだけでも見応え充分。予想に違わず最初から最後まで画面から目が離せずヘビー級の演技を堪能出来た一作だ。しかし何故邦題がこんななのか、、これじゃ観客動員もままならないと思うのは余計なお世話か、、、。

となっている。兎に角このビクトリア女王は1819~1901年と81歳の生涯を閉じるまで波乱万丈の女王だった。この映画では1901年までが描かれているのだが先の”至上の恋”では1861年にご主人のアルバート公を亡くし未亡人に、、そしてジョン・ブラウンが現れ女王の憔悴しきった姿が徐々に回復するのが1863年以降のお話である。そして原題になっているように”Mrs.Brown"としてかなり緊密な関係を継続しブラウン氏が1883年に亡くなるまでずっと女王の傍らから離れた事がなかったそうな、、そして今度の映画化はその後のお話である。


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この時代インドはイギリスの植民地、日本は明治20年である。アブドルはしがない下級公務員だが背が高い、、と言う何だか訳の判らない理由でビクトリア女王へ記念のコインを届けると言う大役を仰せつかり遥々船でイギリスへ渡る。そんな出だしから女王の目に留まりサーバントとして仕える事に、、。

女王はもう晩年の頃、身内や身の周りの世話をする人間は多くても退屈で孤独な生活を強いられていた中に現れた異国の青年にすっかり興味を覚え高待遇で傍に置くことにする。

この辺りは女王の傍若無人振りが良く描けているのだがそんな贔屓にされても別に困る風でもないアブドルがチョイと不思議な気がする。何せお相手が女王様、、それだって一応インドから見れば本家の大元なんだしもっとブルっても良いのじゃないのかな?そんな短期間に高待遇をされちまうのが周りの人達には疎ましい、しかも後半、ナイトの称号を授けたい、、などと女王が言い出すので大騒ぎになってしまう。

長年献身的に女王の身の回りの世話をしていたスタッフ一同、それに息子以下の親族は気が気じゃない、、何とか女王様にご注進してアブドルの処遇を考え直して貰いたいのだがもう聞く耳を持たない女王、その辺りの対立が描かれていく。劇中、”前作”で女王のお相手だった”Mr. Brown"を思わない日はない、懐かしい、、等と言うセリフがあるのでやはり制作元は全然違う会社でもかなり”至上の恋”を意識した作りになっている。

もうちょっと掘り起こして欲しかったと言う感想だが最後、女王亡き後インドへ帰りタジマハールを背景に建つビクトリア女王銅像の足元へひざまずくアブドルがとても印象的だった、。

ジュディ・デンチ今年のゴールデン・グローブでも主演女優賞にノミネートされていた。残年ながら受賞は叶わなかったが同胞のイギリス人、ゲイリー・オールドマンが予想通りチャーチル役で主演男優賞を受賞している。恐らくアカデミー賞でもノミネートは間違いないのだろう、。