”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”マッキントッシュの男”(73年)

原作を書いたのがデズモンド・バグリイと言うイギリスの人気推理小説作家で71年に書かれた”The Mackintosh Man”がそのまま映画化されている。映画化に際してはジョン・ヒューストンが監督を務めているのだがもしこれをヒッチコック爺がやっていたらもっと違うものに(良い方に)なっていたかも知れない。

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主演のポール・ニューマンは当時ルー・ハーパーと言う私立探偵役をシリーズで演じていたのでこの映画も今で言う”スピンオフ”じゃないのか、、と言われても可笑しくない程にキャラクターが被っているのだ。

舞台は割と天気の良さそうなロンドン、マッキントッシュと言う謎の人物に呼ばれリアデン(P・ニューマン)が海を越えてやって来る。セリフには”オレはオーストラリア人だぁ~、、”とか言ってオージー訛りも披露するがこれはご愛嬌、っでどうも彼はプロの泥棒らしい。どうやら本筋はマッキントッシュが高価な宝石を盗む完璧な計画を準備しており、秘書のスミス夫人の協力で計画は実行に移される事になる。 

その計画は謎の郵送元から謎の宛先に宝石が小包で送られ来る。それを配達する郵便局のおっちゃんを襲い盗み取る、と言うもので計画は見事に成功、小包は地下鉄へ降りるエスカレーターですれ違うスミス夫人の手に渡りリアデンはホテルで祝杯を、、。

ところがそのホテルにロンドン警察がやって来てリアデンはあっさり逮捕、裁判の結果20年の禁固刑に処されてしまうのだ。そして塀の中での生活が14か月も続きクサっているリアデンの前に”お前脱獄したいか?”と仲間に持ちかけられる。

この辺りから謎が謎で完全にヒッチコックモードになって行く。タイトルは”間違えられた男”じゃなかろうか?どうやら監獄に入ったのは前座でこの脱獄を持ちかけて来た連中と塀の外で待っている首謀者へ近づく為の我慢工作の14か月だったようだ、、。

この脱獄までがチョイと時間が掛り過ぎるきらいはあるが非常に丁寧に描かれていてリアデンの本当の任務は何なのか、見ている側には何となく予想は出来るが確信が掴めず一体、本ワルは誰なのか?そして例のマッキントッシュは何者なのか?ミステリー仕立てで後半戦へ突入して行く。

最後はああなってこうなって、、結局マッキントッシュが何者かに殺害されてしまい今度は復讐劇になって行くのだが黒幕登場はどんでん返しで完結、とポール・ニューマンの魅力を満喫出来る一種のスパイ劇でありました。ルー・ハーパーがイギリス休暇中に出合った奇妙な事件でも良かったかも知れないぞ。