”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”バルカン超特急”(38年)

BSのNHKにはかなりの頻度でお世話になっている。先日も”バルカン超特急”と言うタイトルに引き寄せられて思わず録画ボタンをポチっと、。情けない事にこの時点では原題を失念していた。でもこれは見ているハズなんだが、、っと再生してみるとやっぱりな、、原題は”The Lady Vanishes”、昔の名前は”消えた乗客”じゃなかったかな?

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それに”超特急”とは言うけれどもちっとも超特急じゃないしどうみても只の急行列車で”オリエント急行”と言ってもおかしくないのだ。それにのっけからこれはオマージュなのか雪で列車が立ち往生している場面はケネス・ブラナーの17年度版、”オリエント急行殺人事件”の設定に酷似している。いかんいかん、こっちがあっちを真似ているんじゃないか?公開されたのは38年VS17年度だった、、。

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原作はイギリスの推理小説作家、エセル・ホワイトの”The Wheel Spins”、(国内未翻訳)それをヒッチコック爺が映画化している。主演の男女がマーガレット・ロックウッドにマイケル・レッドグレイブなんだがダメだった他の配役も全然判らなかった。

プロットは後年ジョディ・フォスター主演の”フライトプラン”でも使われているが限られた空間(急行列車)のなかから突然人間が(女性)消えてしまいその失踪の真相を明らかにして行くと言う一種の謎解きになっている。登場人物が夫々一癖も二癖もある人物で謎っぽい振る舞いや言葉使いで見ている側を余計に混乱させるし主役が幾ら訴えても周りの人間は信じてくれない、そんななかで協力者が加わり真実追及となって行く。

38年に制作されているって事はオレより古い、、80年も前の映画でモノクロ、スタンダード映像なんだがやはり秀作と言うのは脚本、演出、演技、カメラ、舞台設定、、全てが上手く折り重なって秀作になっているって事が実に良く理解出来るのだ。まあこれはヒッチ爺の構想と言うより原作の良さって事になるんだろうが後半は畳みかけるように謎解きが進んで行く筋書きと構成はやはり素晴らしい、、。

何処か別の国で作ると捻って捻って最後にはアンハッピー・エンディングにしてしまうケースがあるしそれに至るまでやたらと主義主張を挟み込むのが常だ、。娯楽映画に徹する必要もないのだが要所要所ではウィットに富んだセリフで笑わせて最後はホッとした気分で映画館を出て来れる、、そんな映画は何時の時代でも良いものだ。