”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”トータル・リコール”(90年)、(12年)

原題も邦題もまったく同じ”Total Recall”で90年と12年二度に渡って映画化されている。その原作は66年にフィリップ・K・ディックが書いた僅か10ページ足らずの短編小説、”追憶売ります”である。彼の”アンドロイドは電気羊の夢を見るか?”(66年出版)はやはり短編だったが此方は”ブレードランナー”として映画化され(オリジナルとその続編)、翻訳された当時は”少数報告”だったものは”マイノリティ・リポート”としてやはり映画化されている。

 

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どれも短い物語のなかに未来を見越した彼独特の世界観が詰まっていてむしろ長編小説をああだこうだとプロデューサーが捻くり回すよりそのエッセンスを抽出して監督に任せた方がより良いSF作品に仕上がったと言う好例かも知れない。

 

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オリジナルの”トータル・リコール”はアーノルド・シュワルツネッガー、シャロン・ストーン主演で監督はこれで大注目を浴びたポール・バーホーベンだった。SFファンの間では評価も高く、火星を舞台にした展開は今でもカルトクラシックとして絶大な人気を誇っている。

12年にリメイクされた方はコリン・ファレルケイト・ベッキンセールジェシカ・ビールなどで内容的にはオリジナルを超える事は出来なかったがプロダクションデザインは素晴らしいものがあった。高層ビルを縦横に行き来するエレベーターとか高速道路を突っ走るリニアモーターカー等々、、(そんな地面を浮く車のクセに自動運転じゃないし、拳銃は今の時代と同じ、、なんてツッコミはなしにして、)見ているだけでワクワクさせる小道具や背景だった。

90年度版は人類が火星へ移住していたがこっちは、、;

21世紀末の世界大戦により人類は大量の化学兵器を使用した。その結果、地上の大半は居住不可能となり富裕層はヨーロッパを中心としたブリテン連邦(UFB)に住み、貧困層は地球の反対側のオーストラリアを中心としたコロニーに居住する事になり、コロニーの住民はUFBの労働力の為にザ・フォールと呼ばれる巨大なエレベーターに乗りUFBに通勤し働いていた。(この辺はかなり無理がある設定だが、、普通にロケットとかマッハを超えるコンコルドの就航で良いんじゃないかい?)

やがてUFBからの独立と解放を目的とするリーダーのマサイアスを中心としたレジスタンスと呼ばれる反体制派のテロ活動が盛んになり、UFB代表のコーヘイゲンはロボット警官のシンセティックの増産を唱える。(このロボット群がそっくりそのまま”スターウォーズ”のストームトルーパと同型、良くあっちから苦情が出なかったな)。

コロニーで暮すクエイド(C・フェレル)は、このシンセティックの生産を行う労働者であり、貧しいながら美人の妻ローリー(K・ベッキンセール)と平和に暮らしていたが、彼はいつの頃からか夢の中で見知らぬ女性と病院を脱出し警官に追われる夢を見る様になる。

その夢の事が気になりつつ、ある日リコール社の宣伝に興味を持つ。友人であり同僚のハリーからは脳障害になるから行くなと忠告されるが、クエイドの足はリコール社へと向かっていた。リコール社でサービスを受けている最中にトラブルが発生し、彼は突然追われる身になる。っとこの辺りはオリジナルと同じ設定に、。

まあアクション系映画としては可もなく不可もなしなんだがプロダクション・デザインだけは素晴らしい、、これに関してはオリジナルを越えているんじゃなかろうか?