”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”砲艦サンパブロ”(66年)

監督は名匠、ロバート・ワイズ、配役はスティーブ・マックイーンリチャード・アッテンボロー、リチャード・クレナ、キャンディス・バーゲン、、そしてマコ・岩松がかなり重要な役柄で出ている。原題は”The Sand Pebbles”。

 

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1933年生まれの岩松信は神戸出身で既に39年には渡米していた両親はやっと戦後15歳でニューヨークへ渡った信と合流する事が出来た。その後、大学生の時に徴兵され54年には日本に駐留、アメリカ軍の基地で勤務した経験もある。

56年にはアメリカの市民権を得て帰化し同時に芸名をMako Iwamatsuとして本格的にスクリーンで活躍するようになった、。59年には”戦雲”と言うジョン・スタージェスが監督した映画でデビュー、(スティーブ・マックイーンと初共演)、この”砲艦サンパブロ”ではスティーブ・マックイーンとは二度目の共演で大抜擢、翌年のアカデミー賞では助演男優賞にノミネートされてしまった。亡くなる直前の06年まで東洋人と言う限られた出演チャンスながら数多くのTVドラマから劇場公開用映画へと三船敏郎御大以上の活躍をしている、。

映画の背景は1920年代の中国、揚子江を監視する砲艦に勤務するジェイク(S・マックイーン)と親友のフレンチー(R・アッテンボロー)そして見習い機関士ポー・ハン(M・岩松)、と陸地の教会が襲撃され助け出されたシャーリー(C・バーゲン)が主軸になって物語が進んで行く、。

ロバート・ワイズ監督は61年の”ウェスト・サイド物語”、65年の”サウンド・オブ・ミュージック”に次ぐ大作起用で個人的にもこれはかなり好きな一作だ。この映画でもスティーブ・マックイーンの寡黙さは変わらない、フレンチーが中国人娘と恋仲になりかなりきわどい関係を続けて行くのを一生懸命助ける。

それでも自分の感情は終始封印しシャーリーには遂に最後まで自分の胸の内をぶつける事はない、。ひたすら自分が見習いとして指導して来たポー・ハンを気遣う心優しい兵士を熱演している。

同じ時代、63年に制作された”北京の55日”、これもチャールトン・ヘストン、デイビット・ニーブン、エヴァ・ガードナー、そして伊丹十三を配した中国を舞台にした大作だったが緊迫度はもっと上だった気がする。此方は大分前の時代、1900年代だが義和団が北京の外国人居住区へ侵攻し55日間に渡って死闘を繰り広げるお話で20年後、今度は米軍の砲艦(巡洋艦)が揚子江を巡行しながら不気味な人民に相対する構図には変わりはない。

 

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