”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”ハイウェイ”(64年)

原題は”Baby The Rain Must Fall"、と言うもので主演はスティーブ・マックイーンリー・レミック、監督はロバート・マリガンであの”アラバマ物語”の巨匠である。

このタイトルは劇中、ロック歌手になる事を夢見ているヘンリー(S・マックイーン)が熱唱する曲で自身が作詞作曲した設定になっている。ナンで邦題が”ハイウェイ”になってしまったのか、こりゃもう当時の関係者はいないし永遠に解けないナゾみたいなもんじゃなかろうか?

スティーブ・マックイーンはこの映画の前には既に”荒野の七人”(61年)、”大脱走”(63年)と大ヒットを飛ばしてアクションスターとしての地位を確立、ハリウッドに君臨していた。そんな彼が”マンハッタン物語”(64年)で組んだマリガン監督と再度演技派を目指して登場した映画だった。

”マンハッタン物語”では共演がナタリー・ウッドだったが此方は当時人気抜群の新進女優、リー・レミック、”酒とバラの日々”(63年)でジャック・レモンと共演し絶賛された直後の主演作だ。

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公開当時のポスターはこんなものだったが本編はモノクロ、背景はテキサスの田舎町、ヒューストンに向かう途中らしい。

冒頭ジョーゼット(L・レミック)と幼いマーガレット・ローズを乗せたバスが田舎町へやって来る。



コーヒーショップで賃貸の物件或いは間借りできる部屋はないか尋ねていると居合わせた保安官のスリム(ドン・マーレー)が”誰かを探しているのかい?”と聞いてくる。そこで実は夫とこの街で合流する事になっている旨を伝えるのだが夫の名前がヘンリー・トーマス(S・マックイーン)と知ると”そいつは幼馴染だぜ、”、となる。

ヘンリーは刑務所へ入っていたのだが仮釈放になり既にこの生まれ故郷へ帰って来ている事が判る。でも奥さんのジョーゼットは何も知らされていない様子だ。そこでスリムは親切にも彼が間借りしている後見人のケイト夫人の元へ連れて行ってくれる。そこで久し振りに夫婦が出会う、しかし劇的な抱擁もないし短い握手だけ、それに幼いマーガレット・ローズとは面識もないらしい、、。

現在のヘンリーはプレスリーみたいなロック歌手になる事を目指し、近所の酒場で自身で作詞作曲した曲を歌っている。この挿入歌がタイトルで実はエルマー・バーンスタインが作曲した曲、しかしながらマックイーンは口パクで実際にはビリー・ストレンジが歌っているのだ。そして実に残念な事に、、マックイーンの声とはマッタク違うしイントネーションまで彼の声を真似ているとは思えないのだ。

ヘンリーは自分に対する妻の献身を理解することはできても、夫や父としての義務を果すのには気がすすまなかった、、と言うかその方法が判らない。しかし3人は、ハイウェイ近くに小さな家を借り妻はウェイトレスに、ヘンリーは酒場の歌手としての新生活が始まった。歌手として成功すれば、家族の皆が幸福になれるだろうとヘンリーの明日にかける希望は強まっていった。

ところがある夜、彼は客と喧嘩し、ふくろだたきにあってしまう、、そして数日後ケイト夫人が死んだ。彼女はヘンリーの後見人ではあったが、この世でいちばんの苦手でもあった。遺産が、ヘンリーの手に入らないと知った時、彼は判事を罵倒しそれからのヘンリーは酒を飲んで暴れまわるばかりか、夫人の墓地を暴こうとさえした。駈けつけたスリムと争っている姿をみてジョージェットは気を失った。仮保釈中のヘンリーはこの一件で再び召喚される事になる、、別れの日、ジョージェットは”娘のために好きな歌をうたって”と懇願したが彼は逃げ出し、ハイウェイを夢中で走った。

結局それも敢え無く終わりを告げ保安官事務所の護送車に揺られて刑務所へ逆戻りのヘンリー、、スリムの運転で又、違う遠くの街へ行こうとしているジョージェットはその護送車とすれ違うのだが幼い子供の頭を胸に抱え込んでしまう、、。

っとまあマックイーンらしからぬ映画、アクションに頼らない演技派として違う一面を見せたかったのは良く判るのだが、、マリガン監督にしても”アラバマ物語”とは行かなかった、。何十年振りかで見たのだがやはりマックイーンは無口でちょっとブキなところが良い、、お酒はぬるめ、、肴はあぶったイカで、、となると困るが。