”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”ポパイ”ジミー・ドイル刑事 VS フランク・ブリット刑事

気が付いたら又、又、またもや”フレンチ・コネクション”を見ていた、、そしたら今度は”ブリット”が放映されていてそれも又、最後まで見てしまった、。何もそんな古い映画ばかり見てないで、とは思うのだが心情としては折角やっているんだからちょっとだけでも、、それが結局終わりまで目が離せないのさ、。

しかし双方とも時代を反映してて監督の手際の良さには毎回感心する。”フレンチ・コネクション”(71年)はニューヨークが舞台で当時は社会問題に発展してたフランスから流入してくる麻薬の密輸がテーマだ、。

 

f:id:guch63:20201027135137j:plain

それを監督のウィリアム・フリードキンは丁重にドキュメンタリー風に演出し撮影している。主演のポパイ刑事に扮するジーン・ハックマンの熱血漢振りは実に巧い、大ボスのシェルニエに扮するフェルナンド・レイも悪人としての凄さはないがその辺にいる身綺麗なおっさん風なのにこれが実にハマっているのだ。

一方の”ブリット”(68年)、これはもうのっけからジャズ音楽のテーマで始まりイントロで事件勃発、舞台は一気に西海岸のサンフランシスコへ、、其処の市警刑事、フランク(スティーブ・マックイーン)を主役に据え犯罪組織から逃げて来たロスを証人喚問に引っ張り出そうとしているチャーマース上院議員ロバート・ヴォーン)に週末の間、警護するように言いつかるってお話だ。

 

f:id:guch63:20201027135213j:plain

此方のピーター・イェーツ監督も巧みに寡黙なフランク刑事を通して当時の犯罪組織を描いている。この映画ではシカゴから組の現金を強奪して来たロスが犯人として登場するのだがもう一方の”真”の悪役はこのチャーマース上院議員である。権力をかさに着て警察当局へも理不尽な圧力をかけ、自分の出世欲を満たすためには何でもやる、そんな悪役振りが実に見事だ。

見ている側はフランクが何度も窮地に立たされ始末書どころか進展伺いまで出さされそうになる、そして最後に真犯人確保に至る場面で、、更に詰るチャーマースに向かって”オレはあんたが嫌いだ、ごちゃごちゃとほざくんじゃない”と実にスッキリさせるセリフで抵抗する。まあそんなセリフじゃ挽回出来ないほど追い詰められるがそれらは全てがチャーマースの身勝手さから出たサビって事で流石の上院議員様でも事件を解決に導いた彼には反論出来ないのだ、。

その両方に共通するのがカーチェイス場面、ニューヨーク市内の地下鉄の高架下を猛烈な勢いで地下鉄に乗って逃げる暗殺者を追うポパイ刑事、坂の多いサンフランシスコ市内でやはり殺し屋二人組を追撃するブリット刑事、この二つの場面は公開から半世紀以上が経過しても超えられない名場面として語られている。