”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

斬られたのは5万回

日本の一映画ファンとしてはこの訃報には触れない訳にはいかない。その古き良き時代を生き抜き、時代劇好きには知らない人はいないだろう福本清三である。年度が変わった令和3年の元旦に77歳の生涯を終えた。

15歳の時に映画界へデビュー、”大部屋俳優”として東映の京都撮影所に入社、それからはずっとチョイ役で映画へ出演、それが20代になってから”斬られ役”専門に、それからは時代劇、現代劇問わず殺されるワルいヤツに徹し遂には”ラスト・サムライ”ではハリウッドデビューも果たしている。セリフはない役柄だったがトム・クルーズに話しかけられても一切答えないと言う実に不気味なサムライ役だったが、、。

2003年には東映で定年を迎えたがそれからも”嘱託”として斬られ役専門を演じ続け遂には2014年、”太秦ライムライト”では初の主演を演じた。この作品では斬られ役一筋のベテラン俳優として登場、第18回ファンタジア国際映画祭で日本人初の主演男優賞を受賞、そして歴代最年長受賞の記録を更新した。

 

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ラスト・サムライ

こんな普段は脚光を浴びる事のない”縁の下の力持ち”的俳優さんはこよなく好きだ。何時だっか大部屋時代のドキュメンタリーを見た事がある。普通の細身のおっさんで如何にも時代劇な風貌だった(ご本人もそれを充分承知)、無論面識はないのだが一つの美学と言えば良いのか、迫力ある斬られ方を最後まで追求されていたその生き様には心より感服する。ご冥福を祈りたい。