”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”黄昏のチャイナタウン”(90年)

これは例のポランスキー監督の秀作”チャイナタウン”(74年)の続編で主演のジャック・ニコルソンが監督まで務めている。原題は”The Two Jakes”(二人のジェイク)なんだが今回全くチャイナタウンは関係ないのに邦題には”黄昏”を付けてしまった、、。

背景は74年から16年後のロスアンジェルス、1948年になっている。戦後の西海岸では土地開発が盛んに行われ宅地造成事業もあちこちに見られる。そんな時代、ジェイク・ゲティス(J・ニコルソン)はかなり羽振りが良い、探偵業、それも浮気調査が専門なのに自社ビルまで持っている事からこの16年でかなり稼いだ事が判る。

そんなゲティスの事務所へある日、ジェイク・バーマン(ハービー・カイテル)と名乗る男がやって来る。そのジェイクと主役が二人揃った事から付いた原題なんだが、。その依頼とは奥さんの素行調査、どうも浮気を疑っている。

早速ゲティスの方は奥さんを尾行してあるモテルへ入る、隣の部屋に陣取り浮気の現場を録音していると突然そのモーテルへ飛び込んで来たバーマンがドアを蹴破って隣の部屋へ侵入、拳銃で浮気相手のボディーンを射殺してしまう。そのボディーンはバーマンの共同経営者って事から事態はよからぬ方向へ、。

ボディーンの奥さん、リリアンマデリーン・ストウ)は両ジェイクを訴えると騒ぎ立てるのだがモーテルの部屋には拳銃は置いてなかったしバーマンも部屋に侵入した時は手ぶらだったのだ、。そんな感じで疑惑が疑惑を呼び始める、、それに警察の調べじゃその拳銃はバーマン名義だったって事も判って来る。

 

 

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余り私立探偵業で財を成しているヤツとかは信用出来ない、、やっぱりこの時代の私立探偵は細々と一人でやっていて事務所に寝泊りし、アル中、離婚者が似合うもんだがこのジェイクはちょっと違うのだ。でもデスクにはナンとイブリン(フェイ・ダナウェイ)の写真が置いてあり何時になっても忘れられないらしい、。それに彼女の娘で16年前には母親の隣で泣き叫んでいたキャサリンの消息も気になっている。

イヤ~、、実に巧みなプロットじゃないか?しかし乍らチョイと間が開き過ぎて中だるみしてしまうのが残念だ。137分の映画でも見ている側の気分は3時間はあるんじゃないか?みたいな印象だった。もしジャック・ニコルソンは演じる事に徹して別の監督がメガホンを取っていたらと思うとやはり二刀流は難しいと言わざるを得ない。

でも終盤、謎の謎に向かってまっしぐら、もうちょっとその謎解きを伸ばしてくれても良かったのだが結局、二人のジェイク、主役が勝つ(笑)。16年間の間、所在が不明だった若きキャサリンも見つかるし、この場面にはやられた。一塁ランナーが隠し球に引っ掛り塁をちょっと離れたところでタッチアウト、そんなでした、。