ジェーン・テニソン(ヘレン・ミレン)はロンドン市警の主任警部だ。このシリーズ6では妻子ある犯罪心理学の先生と不倫関係にあって日常の激務の合間には心を許した付き合いをしている。
そんな彼女がある晩、現場に呼ばれる。若い女性がゴミ袋に入れられ遺棄されていた。その死体を詳しく調べると何日も拉致されていたと思えるような両手を縛った結び目や身体のあちこちに残っているアザや仄かに残る香水から同じ手口の殺人事件を扱った事を思い出す。
マスコミには察知されないように慎重に過去の事件と照合して行くのだが過去6件の事件に関与したとして逮捕された容疑者は現在も塀の中だ、それもジェーンが逮捕して終身刑を言い渡されている。
何やら此処までは”羊たちの沈黙”風だが担当するのは男勝りの活躍をしているベテランの主任警部だ。そんな緊迫した幕開けで男の職場である警察署内で孤軍奮闘するテニソン主任警部が描かれて行く、、。
この一連のドラマはこれまで1991年から2006年まで9本が制作されていてヘレン・ミレンの代表作となっている程の人気シリーズだ。男性社会での活躍を描いているが如何に女性が警察の現場では苦労するか、、部下と上司の間に挟まれ苦悩する場面や捜査に行き詰って悪態をつく場面、上司に抵抗する場面などがふんだんに出て来る。
それでも意思の強さと統率力を発揮して上司から他の部署へ異動を命じられたり謹慎処分を受けたり停職になってもその犯罪を解決する意欲は失わない。そんな役柄が実に上手くマッチしている。
それに実在するロンドン市警の組織や階級制度がそのまま生かされていて(本当のところは知る由もないが、)どうやら彼方の警察署では新人採用時にモデルとして使われているそうな、、まあそれだけ真実味があるって事じゃなかろうか?それに女性だからと言って上司や同僚や部下であろうが差別や偏見を持つなと言う事らしい、。
そしてその怪奇殺人事件だが意外な展開を見せて行く、、マスコミに捜査の進捗状況が漏れてしまいこれは今も続く連続殺人事件だ、そして手掛かりは香水の香りじゃなかろうか、、とすっぱ抜かれてしまう。しかも既に終身刑を宣告され収監されているヤツは無実で真犯人は今も殺しを続けているんじゃないか、と叩かれテニソン主任警部は窮地に追い込まれる、。
そんなで事件の捜査から外されていた彼女は今度は停職処分に更に自分が逮捕したヤツは本当に殺人者だったのか、冤罪だったのかと心に疑念が湧く。初めに捜査を始めた時に刑務所の中で同房で釈放されたヤツとか仲間だったヤツをリストアップして再捜査をする様に進言したものの直属の上司から却下され予算配分の見直し業務を押し付けられていたのだ。それにもめげずに地道に過去に収監されていたムショ仲間を一人一人潰していたのだ、。
そんな所轄を挙げての捜査をあざ笑うように連続殺人は続いて行く、、日本の刑事ドラマじゃなかなかこれ程リアルな設定や筋書きは見られない、。捜査一課長が叱咤激励して大勢の署員を前に訓示を垂れて根性モンのスピーチだ。それに何と言ってもチームワークが全てだし警視庁からやって来る捜査員と所轄の交わり方がイマイチ納得出来ない。まあ作品によっちゃ所轄主導ってのもあるが縄張り意識が強くて通り一本隔たるとオレ達はもう関係ないって図式じゃなかろうか?
そして今度は職務を解かれたジェーン・テニソン、それでも追及を止めない。今度はボーイフレンドの彼氏を経由して収監されている終身刑のヤツの手記を出版しようとしている出版者と会う事に、。其処から今度は養護施設にいる犯人の母親にも会いに出掛けるそして遂に一筋の光が見えて来る、、それはずっと謎だった現場に残されていた香水の香りだ、この謎を解けば真犯人へ辿り着くと感じた彼女は、、。
っと言うモノで拳銃をぶっ放したりカーチェイスがある訳じゃない、でも最後の最後まで目を離す事無く楽しめる極上の犯罪ミステリーで御座いました。このシリーズはかなり昔に一度見ているんだがそれでも最後まで真犯人が判らなかった、。オレの方が”第一ボケ容疑者”なんだろうか??