原題は”Under Suspicion”、、”疑惑の影響下”って意味なんだが邦題は”疑惑に抱かれて”、充分納得出来るタイトルだ、。主演はあのリーアム・ニーソンで彼がフルヌードまで披露してくれるがジャンルとしては大好きな私立探偵モノだ。
1991年の映画って事はオーストラリアにいた頃なんだが全然知らない映画だったのにはビックリした。かなり忙しく働いていた時期なので知らずに通り過ぎてしまっても無理はない、。日本の配給元ではエロチックサスペンスとか表示しているのでマドンナがやったヌード満載の犯罪モノと同じジャンルなんだろうか?
背景は1959年、イギリスはブライトンと言う港町で警察を懲戒免職になったトニー(L・ニーソン)のお話だ。この情景はアメリカの私立探偵モノとはかなり違った設定なんだがいきなりトニーは警察官として同僚と組んでとあるお屋敷を監視している最中に邸内に侵入しシャワーを浴びていた住人の奥さんと派手に絡み合うシーンで始まる。
そこへご主人が帰宅、散弾銃をぶっ放し駆け付けて来た警官を殺害してしまう。そんな出来事が背景にあり画面は二年後へ、、当然警察はクビになっているトニーは何とその時に絡んでいた女性が奥さんになっていて離婚訴訟専門の私立探偵業をやっている。
早い話が”美人局”常習犯で離婚するのに有利になるように自分の奥さんを貸し出して浮気をしている現場をカメラに収め歴然とした離婚の理由をでっちあげると言うものだ。それが当時は離婚する理由としては一番手っ取り早かったとか。そんな彼が依頼を受けた離婚劇が裕福な画家と奥さんのカップル、で画家にはホテルと自分の奥さんを提供し部屋へ乗り込んでその現場を撮影する魂胆だ、。そしてホテルの部屋へ突入するのだが何とベッドに居た二人が惨殺されている、、。
そんな出だしで犯人探しがメインとなるのだが実はその画家には別に愛人がいる事が判明する。それがアンジェリンと言うアメリカ人で弁護士立ち合いの元に公開された遺言状には全ての絵画をそのアンジェリンに託す、と書かれていてしかも殺された当日に遺言状が書き換えられていたのだ、。
この辺りから俄然映画も面白くなって行く、まずは殺害に使われた拳銃はトニーの所有物で彼の過去の経歴からしてもコレは自作自演で彼が真犯人じゃないのだろうかと疑われ遂には逮捕され裁判へ引っ張り出されてしまうのだ。
見ている側もそんな辻褄が合わない場面はないし、これはアンジェリンの陰謀じゃないのか、、と信じ始める。それに遺言状を公開した弁護士も何処となく不自然で二人が結託しているような雰囲気がありかなり迷わせる。
そんな展開で真犯人探しって事より本当にアンジェリンはやったのかそれともトニーがやったのか、と迷っているうちにこの二人が男女の関係になってしまう。って事は弁護士が未亡人と共謀しているのか?と謎が益々深まるって寸法だ。
アメリカの探偵モノとは大分違うがプロットの組み立てはバツグンに面白い、法廷場面になるとこりゃもう”推定無罪”とか名作の”情婦”の雰囲気でイギリス映画の真骨頂だ。リーアム・ニーソンも断然若く時間切れで絞首刑に進む場面などはかなり緊迫感がありハラハラドキドキものである。これ以上書いちゃうとネタバレになるが最後にクタバルのは誰か、見終わってもさて誰なんだ、、と判らない程の結末で御座いました。
これはリーアム・ニーソンファンならずとも満足出来る為五郎が二度も出て来る意表をつく犯罪劇としても良いだろう。これだから油断は出来ないぜ、、。