”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”奇跡の絆”(17年)

この映画はどうも国内では劇場公開されていないのだがアマゾンさんが配給してたらしい、、我が家にはアマゾンからJ:COMを経由してムービーチャンネルで見る事が出来た。邦題が”奇跡の絆”っとなるとこりゃ震災モノと勘違いしそうだなぁ~、、っで良く見ると原題は”Same Kind of Different as Me”となっていた。

 

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こりゃもう完全にデザスター映画じゃないじゃないか?要するに”私にもある同じ種類の違い”って事なんだが端的には”内に秘めた夫々の個性”って事に行き着く。

主演はグレッグ・キニアとレニー・ゼラウィガーで元ネタは実在した主演を演じたロン(G・キニア)とデンバージャイモン・フンスー)の二人が共同執筆した実話のストーリーである。概略は、、;

裕福なロンは結婚して15年、二人のティーンエージャーもいて立派なお屋敷に住み献身的な妻のデボラ(R・ゼラウィガー)は奉仕活動に忙しい。そんな彼の浮気がバレる、、この場面はかなりいける。デボラは怒りもせずロンのスマホで浮気相手の彼女を呼び出し”私はロンの妻のデボラよ、”と名乗り次に”電話を切らないでと訴え、私たちは幸せな家庭を築いているの、それを壊すような事はしないで。金輪際ロンとは別れて”と迫るのだ。こりゃ見事だ、、無論演出があって脚本もあるのだがこんな事を言われたらもう彼女が浮気相手で存在する事自体”インポッシブル”じゃなかろうか?

まあその代償とでもなるんだろうか、、デボラはその後自分が支援しているホームレス救済のシェルターへロンを連れて行き嫌がるロンに奉仕活動を強いる。そのシェルターで知り合うのがデンバー(J・フンスー)、”グラディエーター”ではラッセル・クロウの奴隷仲間、それに”アミスタッド”にも出演、で最初は暴力的で怒りに任せて周りの窓ガラスや机を壊している姿を見てロンもデボラも驚愕する。

そんな出会いで役者は揃うのだが、、ああもう一人、ロンのパパ(ジョン・ヴォイト)がいた、。酒浸りのオヤジで奥さんもいるし何不自由ないリタイア生活振りだが口が悪い、、息子のロンにも一言ごとに文句や苦情タラタラ、それも家族間の事から世の中をまるで斜めに見ている様子でロンやデボラとも合わないのだ。

その辺りからロンとデボラは親密さを取り戻しひたすらこのシェルターでの奉仕活動、そしてデンバーとの関係を構築して行く。デンバーの生い立ちも彼の口から説明されるが両親の顔さえ知らず祖母に引き取られ学校へも行かずに綿花農場で働いていた。

時代設定から行けば恐らく60~70年代だが黒人のデンバーには良い思い出は一切ないのだ。南部では歴然と差別があり公共の施設でも”黒人用”、”白人用”と別々の施設が当たり前のように残っていた。そんな生活から今度は殺人容疑で長い間、刑務所暮らしだった等とやっと親密度を増したロンに打ち明けるのだ。

こんな雰囲気の映画は以前サンドラ・ブロック主演の映画にもあったような、、確か黒人のフットボーラーと交流する感動編だった、”しあわせの隠れ場所”(”The Blind Side”)でオスカーも受賞していた。

この映画のレニー・ゼラウィガーは僅か数年前の事だが全く自分が知っている映画とは印象が違うのにはビックリした。何時出て来るんだ、、と思いきや何と最初っから奥さんのデボラ役で出ていたのがご当人だったとは、。ありゃ痩せたと言うか加齢したとかじゃないような変わり様で二度ビックリだ。

 

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この映画でのデボラ役、、

 

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以前の良く知った顔、、、

 

映画は100%事実と最初にタイトルに出ていたようにかれら三人の交流に絞られて行く、そしてその彼らが後年、各地を回り公演活動をし彼らホームレスの為に基金を設立していた事がエンド・タイトルの後に実写として紹介される。大手制作会社による感動大作巨編とは言わないが独立系のネット配信業者でも充分に満足出来る秀作が出来ると言う好例かも知れない。アマゾンもやるじゃないか?