この2011年に公開されたスティーブン・ソダーバーグ監督による感染症の恐怖を取り上げた映画はこうして全世界がコロナ禍にある中で拝見すると実にタイムリーな映画だ。公開から8~9年後に実際に世界がコロナに怯えると想像出来たのならこりゃ大変なモノだ。
これまでに同じような感染症を扱った映画はあったがコレはまさにコロナ禍の世界を捉えている気がする。劇中では”感染症”と呼ばれるだけで命名はされていないのだがソダーバーグ監督には先見の明があったとしか思えない。しかし”Contagion”をそのままカタカナにするかな?これはもっと説得力ある邦題にして欲しかった。
映画は冒頭、ドキュメンタリー風に”Day 2”から始まる、、そう、”Day 1”はエンドロールが出る頃になってやっと全ての発端、と言う事で映像での説明になっている。
出張で香港へ来ているベス(グエネス・パルトロー)はアメリカへの帰国を早めてシカゴに居る恋人に会ってから自宅のあるミネアポリスへ帰ろうとする。その後、シカゴに寄り自宅へ帰り夫のミッチ(マット・デイモン)と息子の迎えを受けるのだが容体が急変しミッチが慌てて救急車を呼び最寄りの病院へ送り込むのだが病室で息をひき取ってしまう。更には自宅へ戻ってみると今度は息子のクラークまで具合が悪く駆け付けた時には既に死亡しているのだ。そんな幕開けで始まるのだがこの時点ではナニに感染したのか全く不明だ、。
ところが今度は東京で通勤中の男性がバッタリ、、香港ではまとまって数人、次第に感染者が増えていく、。この辺りの演出はやはり現実にはこうやって病原菌が拡散して行くのだろうと、かなり説得力がある。
そしてやっと政府の疾病担当官のエリス(ローレンス・フィッシュバーン)が病原菌を突き止める為にエリン博士(ケイト・ウィンスレット)をアトランタからミネアポリスへ派遣する。
しかしこんな場合、何処の世界にもこれは政府の陰謀だ、、とかレンギョウと言う植物が効くとかネットを使って言いふらすよからぬ人物が出て来るのだ、、それがアラン(ジュード・ロウ)で自分のブログに政府陰謀説を唱え人々はスーパーへの掠奪や薬局へ侵入してレンギョウを探し求めたり街は大混乱になってしまう。
後半はレオノーラ医師(マリオン・コティヤール)を香港で誘拐し監禁して有効なワクチン確保の為にクスリと引き換えだ、と焚きつける中国の一味が出て来たりワクチン開発が先か世界中に広まる病原菌との時間の戦いになって行く。
そして最後に”Day 1”が描かれる、、それは感染源の根源が回想シーンで中国でベスが感染する何日も前に、ベスが取締役を務める会社のブルドーザーが木をなぎ倒しコウモリが飛んで逃げていく。
その1匹が豚小屋に飛び込んでバナナのかけらを落とし、そのバナナをブタが食べてウィルスの宿主となる。そのブタは香港に運ばれて屠殺され、それを調理したコックが手を洗わずにカジノでベスと握手をした結果、ウイルスが彼女に感染していたことを明らかにしつつ幕となる。
、、、と最後は実にコワい、恐らく今回のコロナだって同じような経路を辿って我々のところまでやって来たんじゃなかろうか、、妙に説得力のあるエンディングだった。