”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”ミッドウェイ”(76年)VS ”ミッドウェイ”(19年)

折角毎月払っているWOWOWなので見ない手はないだろう、、そんな動機で見るとロクな目に合わないぞ、っと内なる声が言っていた。その結果たるや帝国海軍がこっびどくやられ、世界一と米軍にも言わしめた大艦隊を失ってしまったこの映画の主題そのまま見てたオレも完全に太平洋の底に落とされた気分だった。

 

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2019年度版は幾らローランド・エメリッヒが監督をしていようがこれが中国資本による映画と言うものなのか1976年度版に比べると余りにも緊迫感はないし途中で何度も止めようと最後までリモコンを手に握っていた、、。

 

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オリジナルの76年度版はチャールトン・ヘストンヘンリー・フォンダグレン・フォードジェームス・コバーン三船敏郎、ジェームス繁田、ロバート・ミッチャムクリフ・ロバートソン、ロバート・ワグナー、、っと当時の戦争映画では常套手段だったオールスターキャストである。そりゃ40年以上の隔たりがありゃ特撮技術はスゴイ、76年の頃の映像とは比較にならないくらいでTV画面からでもその差は歴然としている。その辺りはエメリッヒ監督だって充分承知、19年度版はキャラクターを深追いせずスクリーンに展開する特撮技術を最優先している気がする。

これは同様に真珠湾攻撃を描いた、”トラ、トラ、トラ!”(70年)と後年作られた”パールハーバー”(01年)と全く同じ現象ではなかろうか?人物描写が欠けてしまいアクションシーンだけが強調され過ぎていた、、そんな気分である。

76年度版の”ミッドウェイ”ではマット・ガース大尉(C・ヘストン)と疎遠になった息子がハワイに駐留するうちに日本人女性と恋に落ちてしまい真珠湾攻撃後に敵対人物とレッテルを貼られた彼女は家族共々本国へ強制収監されるってのが縦糸になり親子の葛藤が丁寧に描かれていた。

それに何と言っても、”男は黙って、、”のキャッチフレーズ通り三船敏郎がセリフの殆どない山本五十六を演じていた。もうコレだけでエメリッヒ監督の敗北は決定的だ、。幾ら制作費を掛けて作ってもその背景は中国資本だ。劇中、山本五十六を演じた豊川悦司も南雲艦長を演じた國村准も完全に刺し身のツマ化していた、、。

演出的にも冒頭は真珠湾攻撃が描かれておりオレの乏しい日本史から行ってもその後、どうしてミッドウェイに進撃陣を集約させたのか、同時にナンでオーストラリアへも進軍してたのか一切が語られていないし軍部との軋轢で苦悩する山本五十六だって描かれていないのだ。米軍側から伝わって来るのは真珠湾への報復、登場人物はそれだけに拘っているので緊迫感に欠けてしまった。うん、ひょっとするとオレが必死で舟を漕いでいる間に説明があったのかも知れないぞ?

せめて軍部のやり取りだけでもその辺の軍部の詳細決定をセリフに生かして欲しかった。第一、タイトルが”ミッドウェイ”なんだから真珠湾は”地上より永遠に”に任せて置けば良いのだ。っと言う訳で又、イギリスのミステリー犯罪ドラマへ逆戻りだ。