”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”突破口!”(73年)

これはジャンルから行けば戦争映画にあらずニューメキシコを舞台にした痛快な犯罪モノである。邦題からは第二次世界大戦か、、って雰囲気だがタイトルからは想像も出来ない主人公はかなりの”知能犯”だ。

 

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その主人公がチャーリー・ヴァリック(”Charley Varrick”)でそれがそのまま原題なので配給元では散々考えた末に”突破口!”にしたんだとは思うがもう一捻りして欲しかった、、それ程にこれは秀作なんである。

監督はドン・シーゲルで”ダーティ・ハリー”の大成功で一躍アクション映画界の寵児に、独立して自身のプロダクションを立ち上げウォルター・マッソーを主演のチャーリーに迎え撮った映画、更には音楽を担当したのがラロ・シフリンとくれば当時のアクションファン、現在のシニア世代には興味津々だ。

映画の冒頭はちっこい町のちっこい銀行の玄関先へデカくて黄色いキャデラックがやって来る。降りて来たのは左足の不自由な爺さん、運転手は若い女性。通り掛かりのパトカーが”そこは駐車禁止だからね”と言うのに爺さんは”足が不自由なので降りたら直ぐに駐車場へ行かせるさ”と言いながら店内へ、、。

既に中にいた仲間と合流して三人は窓口にある現金を奪い支店長に金庫も開けさせる。無理やりその中にあった運搬用袋を持って逃げるのだが、先のパトカーが派手な外観のキャデラックとナンバープレートに不審を抱き玄関先へ戻って来てしまう。

そんな出だしで簡単で手早い金額の強奪だった筈が銃撃戦に発展する。結局その銃撃戦で運転してた女性が撃たれもう一人の仲間も銀行内で射殺、残されたチャーリーとハーマンはそのキャデラックに死んだ運転手を残したままガソリンタンクにタイマーを仕掛け爆破、その間に何とか逃げ出す事に成功する。

そして隠れ家に引き上げるのだが何と収納袋に入っていたのは75万ドルの現金だった。ハーマン(”ダーティ・ハリー”で極悪人を演じたアンディ・ロビンソン)は有頂天になるがチャーリーはちっとも喜べないのだ。

運転手は奥さんだったって事もその時点で判るがあんな小さな町のこじんまりした銀行にそんな大金がある訳はない、きっとその現金は犯罪組織がマネーロンダリングする為に一時的に保管していた現金ではないかと思いつく。

そしてそのチャーリーの懸念した通りの展開が、、警察に追われ、更には組織のオヤブンとその配下の殺し屋に狙われる事になってしまう。

監督のドン・シーゲルの本領発揮はそれからだ、チャーリーが生業としていた軽飛行機のパイロットとしての能力を生かし生き延びる為の”突破口!”を探る事になる。終盤にかけてチャーリーの見事な作戦で無事に窮地を脱する事が出来るのか、一体どうやって警察の捜査網を逃れ、組織のボスと送られて来た殺し屋の魔手から逃れるのか最後まで目が離せなかった。

かくして終わってみればチャーリーの仕掛けた頭脳戦、完勝でスカッと爽やか痛快な強奪事件でありました。悪人の成功を喜ぶのは不謹慎だが大元の犯罪組織のボスをやっつけたので良しとしよう。