”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”見知らぬ乗客”(51年)

原題は”Strangers On A Train"と邦題はそのまま、ずっと長い間見たと思っていたが今回が初めてだった。原作は”太陽がいっぱい”を書いたパトリシア・ハイスミスで監督はアルフレッド・ヒッチコック、配役はファーリー・グレンジャーロバート・ウォーカー、ヒッチ爺お得意の女優さんはルース・ローマンとチトインパクト不足は否めない。

 

 

ニューヨークの通勤列車内で知り合った二人、ガイ(F・グレンジャー)はテニス選手でヤケにガイの私生活に詳しく言い寄って来るのがブルーノ(R・ウォーカー)だ。そのブルーノが持ち掛けて来たのが”交換殺人”で浮気癖が抜けず離婚を目論んでいたガイの奥さんを抹殺する代わりブルーノの方は資産家の父を殺して欲しいとの申し出だ。

ガイの方は引き受けた訳じゃないのにブルーノは勝手に奥さんのミリアムが遊園地で男友達と遊んでいる最中に絞殺してしまう。そしてガイに”今度はお前の番だ、早く父をヤレ”と家の図面やら鍵までも送りつけて来るのだ。

まあミステリーの王道と言うのか犯人捜しにはならないのだが本筋はブルーノが勝手に殺人を実行してしまいその代価を遂げろと責められるガイの恐怖心を丁寧に描いている。ガイもイヤならそのまま警察へでも駈け込めば済むんだがブルーノの手には物証となる彼のライターが残されているので妻殺しの容疑をかけられるやも知れない。

やはり舞台設定が巧いしヒッチコック監督はレイモンド・チャンドラーに脚本を書かせているだけあってガイの困惑する様子やサイコパスなブルーノが不気味だ。終盤になって起死回生の賭けに出て自分の無実を晴らそうとするガイが再婚を考えているアンと妹のバーバラの協力を得て真犯人であるブルーノを警察に突き出すべく奮闘する展開はスリリングで見応えがある。

 

 

 

その主演のファーリー・グレンジャーは違う角度から見るとジョージ・チャキリスに似ている、、そしてロバート・ウォーカーの方はジャック・レモンとボビー・ダーリンを足したような感じで最後まで彼らの余韻が消えなかった。