”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

ハヤカワ文庫、”川は静かに流れ”

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最初手にとった時は、、”うん、美空ひばりの伝記??”と思った。まさかアマゾンさんが間違って送って来たなんて事は考えられないし、、、。っで良く表紙を読むとジョン・ハート作、東野さやか訳と書いてあるではないか。そうだよちゃんと自分で頼んだ文庫だよ。前作”キングの死”がいたくお気にりだったので追加注文したものだった。

オビには”アメリカ探偵作家クラブ賞”最優秀長編賞受賞とあるがそれってナニ??まあどんな団体にせよかなり小説の評価は高いってことだろう、程度の気持ちでいるのだが。一昨晩半分近く読んでいたのだが昨晩は早く残りを読みたくて夜メシをさっさと済ませ寝室へ、、9時頃から読み始めそのまんま読み終わって気が付いたら夜中の3時を回っていた。全編580ページ近い文庫だが久し振りに”半徹”で読みきってしまった。本代もそうだが航空便で元がかかっているのだからもうちょっとゆっくり読まないと勿体ないのだが、、途中で止められない程に素晴らしい、伊達に”最優秀長編賞受賞”じゃなかったと言う事になるのかな。

このジョン・ハートと言う作家、、映画俳優みたいな名前なのだが65年、ノースカロライナ州生まれ、会計、株式仲買、刑事弁護などを経て先の”キングの死”で作家デビューした遅咲き新人作家である。今回のストーリーも現在自分が居住するノースカロライナのローワン郡が舞台、その街の描写は詳細で読者にもその場にいる気にさせてくれる。実は原題が”Down River"、、本当に”川の流れ”で主人公が生まれ育った街に流れる川を背景に極上のミステリーが展開する。

ストーリーはニューヨークに住むアダム・チェイス、ある日友人からの切羽詰った電話で起こされる。至急故郷のノースカロライナ、ローワンへ帰って来てくれと頼まれる。故郷を出て5年、大農場を経営する父やそこに住んでいる兄弟とも音信普通、”今更帰りたくない、、”とアダムは抵抗するのだがたっての願いと言われやむ無く頼みを聞く事に、、。そして故郷へ帰ってみるとその親友ダニーは何者かに殺されている。とそんな幕開けだ、、、アダムの昔の恋人、ロビンは今は同郡の刑事、それに父親と後妻、二人の子供たち、父の信頼すべき共同経営者やその孫娘、、と徐々に登場人物が増えて来る。読みながら最初の登場人物一覧を何度も何度も戻っちゃ誰れが何者か確かなきゃいかん、、何時もこのページをコピーしてしおりにしているのだが今回はそんな暇がなかった、、、。

ハード・ボイルド小説とはちょっと表現しにくい、、第一主人公、アダムの本職がイマイチはっきりしない、故郷を出てからの5年間、ニューヨークでは半端仕事をやっていたような雰囲気だし、、まあ故郷へ帰れば大農場の跡取りなんだが、。それに元カノのロビン、彼女の描写がないのでどんな”美女”なのかちょっと不明、刑事として活躍しているようだがそんな箇所がもう少しばかりはっきりしないと映画化が出来んぞ、、アダムの父親役にはジェフ・ブリッジス、娘にはルーニー・マーラ、、は決めているのだが、、肝心の主役、アダムとロビンが決まらない、、、オレが悩んでもしょうがない。

総体的にイギリスのミステリー、犯罪捜査ものとは趣が大分違う。この様に広大な南部の農場を舞台にするとなるとやはりこれはアメリカが舞台だ、、ジェフリー・ディーヴァーと違いどんでん返しのくり返しはないのだが最後まで真犯人は判らずその動機も判明しない、アダムが一人気をはいて独自の捜査をするのだがそれにもロビンの助けが必要とスーパー・ヒーローが推理をして大活躍するでもないがどうにも途中でやめられなかったと言う印象の”最優秀賞受賞作品”でありました。