これは1965年に公開されたミステリー・サスペンスの秀作だ。監督はオット・プレミンジャーで60年には”栄光への脱出”を発表している。監督がヒッチコックになると”バルカン超特急”(38年)、ジョディ・フォスターがママ役をやると”フライトプラン”(05年)、新しいところで失踪しちゃう人妻劇は”ゴーン・ガール”(12年)、、突然居なくなるのが男の子だと”チェンジリング”(08年)等々ある日、突然子供や妻が失踪するケースは多く作られている。
このプレミンジャー監督版では4歳の女の子が突然居なくなる、でも狂ったように探すママ(キャロル・リンレー)の言葉しか我々観客は知らされないのでお話が進み、さてママの言っている事は果たして本当なんだろうか?娘のバニー・レイクは実在するんだろうか?と疑心暗鬼になってしまう。
この捜査にあたる刑事さんがローレンス・オリビエだ。お恥ずかしい事にこれまでこの映画の舞台はてっきりアメリカの南部じゃなかったかと信じていた。それが舞台はロンドンでママのアン・レイクは遥々アメリカから船でやって来たと言う設定だった。
焦点はママの言葉VS担当刑事の”疑念”になるが割とあっさりとニューハウス警部(L・オリビエ)はバニー・レイクが存在している事を信じてしまう。
問題は”じゃあ、誰が犯人?”って何処で監禁されているのか?誘拐犯の要求は?に興味が移っていく、その緊迫感が実に見事だ。画面はモノクロ、スタンダードサイズだが此処でもやはり設定、演出、脚本が素晴らしい。
ヒッチコック爺が見ても”うん、良く出来ている”と唸る事間違いなしのミステリー失踪事件だった。最も犯人が判る終盤はヒッチコック爺さん、”これはオレ流のプロットじゃないのか?”と文句を言いだしそうだが(笑)。