”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”縛り首の木”(59年)

これは原題(The Hanging Tree)も邦題もチョイと刺激的な気がする、こんな時こそ、”首つり”じゃなくて”ハンギング・トリー”でも良いのに、。公開されたのが1950年代だったのでどうしても日本語のタイトルかな?まあ”首吊りの木”じゃないだけ良いかな?

 

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主演はゲイリー・クーパーで相対する女優さんはマリア・シェル、それにカール・マルデンやジョージ・C・スコットも配役されている。西部劇として見慣れているジョン・フォードジョン・ウェインの正統派西部劇とはかなり毛色が違うのだが監督はこれまで西部劇が専門だったデルマー・デイビスだった。

映画の背景は1867年のモンタナ州、ゴールドラッシュで一攫千金を目指す男どもが各地から集まって来ている町へ一人の男が辿り着く。その男、ジョー・フレイル(G・クーパー)は開業医で町へ入って来るなり金山掘りに忙しい町を見下ろす丘の上で売りに出ていた小屋を買い取る。

其処で診療所を開業する積りらしい、、同時にその流れる河で砂金の仕分け場へこっそり侵入し金を盗もうとした若者、ルーンが逃げるところをフレンチ(K・マルデン)に撃たれ怪我を負ってしまうのだがそれを助けて自分の助手として身の回りの面倒を看させる、。そんな時に通り掛かった駅馬車が強盗に襲われ馬車は崖下へ転落、父と娘の乗客は放り出され父親は死亡、娘のエリザベス(M・シェル)も行方知らずになる。

町の連中で捜査隊を編成し行方を捜し数日後にやっと重傷を負い視力を失ったエリザベスを発見しフレイル医師の元へ運び込まれる。ジョーとルーンの介抱のお陰でやっと回復し視力も取り戻すのだが先の捜査隊の先頭に立ってエリザベスを発見したフレンチが事ある毎に執拗に目を着けて隙あらばと狙っている。

見ている側はジョーは優秀で信頼が置ける医者だが自分の事は一切晒さないので何処どなく胡散臭い、。それにガンさばきは素早く、酒場じゃギャンブル漬けの日々だ、、命を助けられたルーンも果たしてジョーの本心や素性はどんな人物なのかサッパリ判らないそんな無口で正義の味方、、ってのは日本なら絶対に高倉健の独壇場だった。

西部劇の双璧、ジョン・ウェインはその点もっとハッキリしていたような、、世代的には二人とも年齢(6歳若い)が近いし制作された映画だってもの凄い数になる。しかし残念ながら二人が共演した映画は皆無である、、今となっちゃそれだけは残念だ。

そんな金山を巡る荒くれものの集まりに飛び込んで来たジョー、ルーン、、そしてスイスから遥々父親と移住して来たエリザベス、、夫々の登場人物が人間性を発揮して終盤へ突入して行く、これまた見応えのある西部劇でした。

悲惨なエンディングじゃないし寡黙だったジョーの過去がハッキリするのだがスカッとするオワリかたじゃなかったのか消化不良を起こしてしまった。そう言えば高倉健の映画も最後はスッキリしないものが多かったかな?でも肩で風を切りながら映画館を後にしていた記憶がある、、。