”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

番外編、さよならモノトン

2008年7月4日の深夜、家内の運転で我が家の前まで来ると路肩の草むらに何やらグレイっぽい毛の小動物が渦埋まっているのが目に入る、、一瞬イヤな予感がし白い首輪を見た途端に車から飛び降りて駆け寄るとそこには既に冷たく硬直したモノトンが、、。

慌てて抱き上げ、一目散に玄関先へ運ぶもとき既に遅く全く処置の施しようがない状態。家内が叫びながら駆け寄ってもただ呆然とするばかりで名前を呼んだ途端に不覚にも声にならない涙が一挙に溢れ出て目の前がかすんでしまった。茫然自失とはまさにこのような時の言葉であった。

明かりの下で良く見るとモノトンの右側は生前の時のようにフワフワとした毛並みで何の損傷もないのだが左側、目の上辺りが陥没していて明らかかに轢死であった。思えば6年前の引越し時の最優先事項が猫や犬に一番安全で静かな環境選びであったのだがそれがこんな形で愛猫を失うとは、、。

モノトンは94年に生後6週間程度であったものをアニマルシェルターから有料で譲り受けて来たものだ。当時中学へ入ったばかりの娘が一匹でも多くシェルターの恵まれない猫を助けてやりたいの一心で貰い受けたのだが檻の並ぶ通路の一番端からいそいそと歩み寄って来て一生懸命に連れて帰ってくれとばかりに子猫ながらにアピールして来たのが最初の出会いと聞いた。その2年前にはやはり同じようにオス猫を譲り受けていたのでこの子が二匹目、その毛色がフワフワのモノトーンだった事からモノトンと命名し以降15年にわたる同居生活が始まった。

6年前には一時的に住む事になった借りの住居から網戸を破って脱走し半年も行方が知れなくなった事もある。その時は電柱に写真を張ったり懸賞金の提示をしたりして行方を捜したものだが一向に判らずこりゃもうダメかで半年経過した時、直線距離では800m程度しか離れていない他所の家から電話が掛かり“モノトンって猫が我が家の庭にいるんですが、”で感激、感無量のご対面と相成った。

その家ではメス猫を飼っていてどうも2匹でつるんでいた様子、首輪をしているので抑えて見ようとしても何時も逃げてしまいなかなか捕まえられなかったそうだ。やっと餌をやりながら捕まえてそこから首輪に記載してあった携帯電話に掛けてくれた次第なのだがそれもモノトンを見かけるようになったのは1ヶ月程度とかでそれ以前の5ヶ月は何処で何をしていたのやら、、でも多少首輪が緩くなって痩せてはいたが至って健康、獣医さんの検診でも問題なく帰宅したのだが、、それには続編がありその後2度に渡って同じようにひょっとした隙に脱走しその家に戻ってしまう。その都度“又、来てますよ”と電話を頂き連れ戻しに駆けつけるのだがそれ以前に7年も住んでいた住居では何の問題もなかったのに余程あの借り住まいの家がお気に召さなかったようである。

そこから今の住居へ越したのであるがその時は四郎と言うポーダーコリー&ラブラドールのミックス、と先の2歳先輩のブリッキー、そしてモノトンが脱走して居なかった時期に家内が知り合いから頼まれて引き受けた生後3ヶ月のメス猫のエリーと合計4匹と我ら夫婦の大家族であった。庭も広くゲートがあり隣近所とは適当に距離があり目の前は広大な自然公園、自宅前の道路はどん詰まりで我が家の他には3軒しか建っていないので車の行き来もなく静かな環境、まさにペット達にはこれ以上の環境は望めないと言う場所であったのだが、、。

昨晩は6時過ぎに出掛ける事になっておりモノトンには餌をやり一瞬ネコドアを閉めて行こうかと思いきやまあ未だ早いのでそのまま開けておこうと出掛けてしまったのであるがこれがこれから先の生涯、後悔することになろうとは。一度ならず病院のお世話にもなり点滴を受けるような症状も経験しているが15歳にしては至って元気。夏痩せはするが体重は何時も4.5kg程度で近年は朝にはドライ、夜は85gのウェット缶を食べてから我々のご相伴をするのが日課であった。人懐っこく夜はベッドに登って来ては人の腕枕で寝たり、足元に丸まったりと神出鬼没。大体1-2週間でいろいろなところ回っては寝そべっていたものである。家内には特になついていて返事は勿論の事、毎晩腹の上に乗っては一心不乱にフミフミする姿は微笑ましかった。四郎の散歩にはエリーが帯同するのが常だがモノトンも何に目覚めたのか最近ではついて来るようになり、前になったり後ろになったりよたよた歩く四郎を横目にこれ見よがしにエリーと2匹つるんでいた、、、。

昨晩は遂に一睡も出来ず今朝から家内が発泡スチロールの箱に横たえ庭の花木で飾ってやり好物だった餌缶と首輪を入れて火葬にする為にあちこち探した業者の手に委ねた。水曜には骨壷に入って帰ってくるのだがこんな事で亡くしてしまうなんて、本当に可哀相な事をした、ごめんよモノトン。そしてこの15年本当に有難う。

最愛の娘が置いていった大切なモノトン、オヤジにはとてもこの顛末を直接伝えられない、、どうかこれを読んでくれ。