”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”手錠のままの脱獄”

1958年の映画、原題は”The Defiant Ones”、、直訳は”反抗的なもの同士”なのだがもし今、リメイクされたら果たしてどんな邦題になるやら、、そのままカタカナ表記かな??当時の配給会社の担当者はやはり感受性があったしこんな邦題は内容を見ていないと絶対に思いつかないよ。
 
イメージ 1監督は若きスタンリー・クレーマー、僅か45歳の頃である。主演の二人はシドニー・ポワチエ(31歳)そしてトニー・カーチス(33歳)である。この映画では二人揃ってオスカーの主演男優賞にノミネートされたほか監督、最優秀映画など9部門にもノミネートされたが残念ながら脚本と撮影だけの2部門での受賞に終ってしまった。
 
シドニーは64年に”野のゆり”で念願のオスカーを受賞するがトニーは多分長い芸暦でこれが一番オスカーに近かったのではないだろうか、、この映画の2年前に”成功の甘き香り”でバート・ランカスターと共演、脚光を浴びての抜擢だったんだがな~、、将来も期待されていたし、しかしこの頃はリアルタイムではないのだがそんなにファンでもなかった、60年代に入ってからは全部リアルタイム、すっかりファンになりそれからは過去の映画に遡って可能な限り主演作を見た記憶がある。
 
映画は囚人二人、、互いに嫌味嫌い合う仲、それがふとした護送車の事故から手錠に繋がれたまま脱獄すると言うか放り出されてしまう。幾ら嫌い合ってもこうなると互いに協力しないと逃げられないと言う究極の脱走劇である。白人と黒人の対決を軸にクレイマー監督が社会派として我々に突きつけた題材、映画としても評価は高くモノクロ画面だがアメリカ南部の田舎町と荒野を美しく撮っている、、こうして見ると決してカラーである必要はないのが不思議だ。結末はこれまた”現代”風ではないのだが何時の時代に見ても秀作は秀作である。