”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”お熱いのがお好き”(59年)

原題は”Some Like It Hot"、、直訳すると”熱いのが好きな奴も(が)いる”なのだが実に巧みに”お熱いのがお好き”と付けられた邦題だ。これはマリリン・モンローのセリフじゃないかと観客は想像をたくましくされる、、無論当時の邦題担当者はそれを狙っていたのは明らかだ。

ビリー・ワイルダー監督によって映画化されたのは59年の事だが実はこの映画はリメイクなのである。オリジナルはフランス映画で”Fanfare d'amour”、、英語だと”Fanfare Of Love"と言う映画で35年にフランスで公開されている。リメイクがすっかりオリジナルを超えて世界的な評価を得てしまった好例ではないだろうか?

イメージ 1

物語はヴァレンタインの虐殺、、とも言われるギャング団の抗争で実際に起きた事件を巧妙に映画に取り入れている。そのギャング団の虐殺場面を目撃してしまったバンドマン二人(ジャック・レモントニー・カーチス)が追っ手を逃れ、女装して女性だけの楽団員として潜入、マイアミへ逃避行となるお話だ。そのバンドのボーカルとして登場するのがマリリン・モンローでこれはもう最初から最後まで笑い転げる”笑劇度がお好きな名作”である。

興行的には大成功だったが撮影中は問題続発、、その主人公はマリリン・モンローだったとか、、精神的にも非常に不安定な中での撮影、時間を守らずテイクの回数も多く、他の配役陣からは総スカン、、でもテイクを繰り返す事に調子が出てくるのか妙にハイになってしまいセリフも完全にアドリブ、随分と監督を泣かせたそうだ。これはトニー・カーチスの自伝にも詳細に渡って述べられている、、だいたい共演した女優さんには殆んどのケースで言い寄るトニーがMMには相手にされなかった、、イヤご本人は”冗談じゃない、オレは興味はなかった”と書かれている。

当時はアメリカの映画界、カラー撮影に移行中だったがビリー・ワイルダー監督はワザとモノクロ撮影を選んだそうな、、これは主演二人の女装メイクがカラーだと際立ってしまい観客が”キモ悪く”ならないようにとの配慮だったそうで割を食ったのがマリリン・モンロー、、当然彼女の方は”カラーで撮ってよぉ~、”、と監督に直談判したとか聞いた事がある。やっぱりモノクロで制作されたのは正解じゃないのか?今の時代ならもっとCGを使うなり画面を修正して”女性らしさ”を演出、メイクにも反映出来ると思うのだが、、、。

イメージ 2
オスカー・レースでは監督、主演男優賞などで7部門にノミネートされたが結果はモノクロ、衣装部門だけでの受賞に終わってしまった。しかし何年経過しても名作である事に変わりなし。因みにこの年は”ベン・ハー”が大量受賞した60年でこりゃ相手が悪かったよ、、。


後年、この映画が舞台劇となって全米を興行して回った、、02年から04年にかけての事だったがその舞台ではこのトニー・カーチスは富豪のオスゴット役で登場、(ジャック・レモンに言い寄るジイさん役)、スタンディングオベーションなる大喝采を浴びている。この興行がトニー・カーチス、最後の全米ツアーとなってしまったのが実に残念であった。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
にほん映画村に参加しています:
もし気が向いたら(向かなくても)クリックお願いします♪。