このタイトルの響き、これには何となくロマンを感じさせられるし”いったい何に、、別れを?”とついその内容を調べたくなる。元はフランス映画だが公開時の英語の原題が”Farewell”(2009年)、フランス語では”L'affaire Farewell”そして邦題は”フェアウェル さらば、哀しみのスパイ”だと、、哀しみかぁ?そりゃ内容はそうなんだが態々親切にそこまで明記しなくても良いんじゃないかな?
まあ、つまんなかったら途中で止めるべ、、と見始めたのだがこりゃなかなか硬派のスパイものだ、。時代は81年、しかも実際にあった米ソ冷戦時代の実話スパイ事件を題材にしているとなりゃこりゃもう見ない訳にはいかんぞ、、。
1981年、ブレジネフ政権下のソビエト連邦。KGB(ソ連国家保安委員会)の幹部、グリゴリエフ大佐は、国家の中枢に身を置くエリートとして何不自由ない生活を送りながらも、国の発展が西側諸国に大きく水を空けられていることに危機感を抱いていた。そして現体制の打破を期して、ソ連の重要機密を西側へ提供することを決断する。やがてフランスの家電メーカーの技師、ピエールを介して、西側が決して知り得なかった機密情報を次々と手渡していくグリゴリエフ。一方、フランスの国家機関からグリゴリエフ(コードネーム:フェアウェル)との仲介役を任されたピエールは、この危険な行為に戸惑いつつも、一切見返りを求めないグリゴリエフの清冽さに次第に心動かされていくのだが…。
<allcinema>
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と言う事なのだが、、、手抜きです。アメリカのレーガン大統領、フランスのミテラン大統領、それにソ連のゴルバチョフ大統領、、、夫々をそっくりさんが演じている(俳優さん)のでかなり真実味がある。斬った張ったや追いつ追われつのアクションは全然ないがグリゴリエフの心情と彼の西洋社会に対する開けた気持が見ている側にも良く理解出来る、、思いもかけない展開からスパイの連絡員となってしまうピエールも好演だし彼や奥さんには同情したくなる。ましてや何も知らない二人の子供には気の毒だ。
奥さんには一切打ち明けず仕事の内容も秘密にしていたのがある日”一体彼方は何をやっているの?”と迫られ遂に”政府の仕事でスパイの連絡員をやっている、、と”告げるのだが奥さんに”ジェームズ・ボンドじゃあるまいし”と鼻にも引っ掛けられない、、この場面には笑えたが全編何時KGBに感ずかれるか、、尾行はされないのか、、と気が気じゃない、もう心臓に悪いくらいの緊迫した展開の連続だった。
幾ら実話を基にしていてもハリウッド的制作ならやはり派手な作りになるだろう、、そこがフランス映画の違いか、しっとり感情を追いアクションは避けて誠実に事実だけを暴いていく手法には共感を覚えた。本当のスパイの世界を垣間見た気分、、、最後には”あっと驚く為五郎”もあって充分エンジョイ出来たスパイ映画でした。