イギリスはBBC放送で制作された”Maigret"、本国と殆んど同時にオーストラリアでも放映された。待ちに待ったと言うか、主役に抜擢されたローウェン・アトキンズがどんな”メグレ警視”を演じてくれるのか楽しみだった。原作はフランスのジョルジュ・シムノンが24年頃から書き始め100篇以上が出版され数多くの俳優さんによる映画化もある。古くはジャン・ギャバン、チャールズ・ロートンが演じているのだが今回のようにイギリス人が演じるのは珍しい、、と言うか初めてかも??
原作が描くところのメグレ像は身長180cm、100キロ超の巨漢、常にパイプを咥え、デスクには愛用パイプを3本以上並べていたとか、、。26歳で恋愛結婚、女の子が生まれたのだが幼い頃に亡くしている、、警察官、警部、警視、更には警察長官まで昇進するのだが一番活躍するのは45歳くらいの設定だ。後に55歳で定年するのだが捜査に招かれ外国へも出掛ける事になる、、そんな人物である。日本では彼の名前をもじって”目暮十三警部”だなんてのもあったがこれはエドガー・アラン・ポー、、”江戸川乱歩”みたいなもんか。
そして今回放映されたのは”Maigret Set A Trap"(メグレ 罠を仕掛けろ)で劇場用並みの長編映画に仕上がっている。時代は55年のパリ、モンマルトル、もう数週間に渡り女性が惨殺される連続殺人事件が起きている。その女性たち、売春婦もいればごく普通の家庭の主婦もいるし全く共通する項目がない。メグレ警部は陣頭指揮を取るのだが街は恐怖のどん底、必死の捜査にもかかわらず怪しい逮捕歴のある容疑者もおらず新聞社も連日一面で非難轟々、、上層部でもメグレ警部を外し他の担当者を探すように指示を出してくる、、、。
と此処まで見て、ナンかヘンなんだな~、、舞台はフランス、周りに飾ってある国旗や町で読まれている新聞も全部フランス語だ、だけど主役は正真正銘、イギリス人のメグレ警部でセリフも全部英語、でも町人はフランス語、、う~ん、何となく釈然としない。全編フランス語で英語の字幕なら納得だが、そうもいかんし第一ローウェン・アトキンズがフランス語で指示を出していたらもっと可笑しくなっちまう。舞台がロンドンの下町って事なら全然違和感はないし、最初はてっきりロンドンだと信じていたのでモンマルトルと言われても”あっ、そう”とはならなかった。これって明智小五郎を韓国の俳優さんが韓国語で演じ、舞台は新宿って感じじゃないのかな?
しかしローウェン・アトキンズ、完全に”ミスター・ビーンズ”は封印して苦悩する警部を熱演している。そして一向に止まらない連続殺人事件、、捜査にしてもDNA鑑定とか”科捜研”なんてのもないし携帯電話もない時代なので上司、部下とのやり取りも大変だ、、、どうするのかと思っていたら街角の公衆電話が大活躍だった。後は足を使って聞き込みに犯人と思われる人物が落っことしたボタン一個を手掛かりにメーカーや洋服屋をシラミつぶし、、そんな展開に、、。
ハイ、、実は1話は此処で終わり、、”インターミッション”と言うか食事の時間になり敢え無く終了って事になりました。後半は今夜のお楽しみ、、、(*´∀`*)。
ダメだ、、昨晩は途中でやめたものの気になってしょうがない。で朝から仕事を片付け早速”インターミッション”後を、、;
先に5番目に襲われた女性が必死で犯人の上着からちぎりとったボタンと洋服の切れっ端、それの出処を突き止める為にモンマルトルの街へ散っていく私服の刑事さんたち、同時に新聞記者たちが集まるなかでの陽動作戦。刑事の一人を容疑者に仕立て取調室へ連れ込み大声で尋問をする様子を記者へリーク、、新聞紙上には”犯人逮捕か?”と書き立てさせる。真犯人を油断させもう一度犯行へ誘い出す戦術だ。
先に成果が挙がったのはボタンの特定、高級紳士服に使われるボタンでそこから仕立て屋へ、更には注文主へと辿り着く。やっと捜査に力が入りその重要参考人を尋問室へ呼び出す事に、、、そして一転、二転、、、もう一転とでんぐり返り、意外な意外な真犯人が出て来る、、更にこれまたビックリたまげる動機が解明されていくのでありました、、メグレ警部の本領発揮、信じた事を疑わす、部下にも信念を持って捜査にあたらせると言う名警部振りを十二分に発揮いたします。こりゃ良かった、、待った甲斐がありましたよ。年内にもう一本制作され放映される事になっているようだが詳細は不明、番組の終わりに、、、2016年後半に又、お目にかかりましょうと誠に思わせぶりな終わり方になっとりました。