”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”ロシア・ハウス”(90年)

もう制作されてから30年近くが経過している作品でジョン・ル・カレ原作のスパイものだ。原題はそのまま”The Russia House"で主演がショーン・コネリーミシェル・ファイファー、イギリス情報部の担当官がジェームス・フォックスでアメリカ側がロイ・シェイダーという配役。

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ジョン・ル・カレは61年に”死者にかかってきた電話”を書き上げその後13年までに23作の長編小説を出版している。日本の作家先生とは雲泥の差、、日本では売れっ子作家が半世紀に僅か23作しか出版してないって事はあり得ないのだ。しかしその23作中、9本が映画化され更に本国ではミニシリーズやテレビドラマ化が5本とこのジャンルでは第一人者である。

現在も執筆しているようだが31年生まれと高齢だ。息子さんのニック・ハーカウェイがどうやら”後継者”になるような、、イヤ、そろそろなって欲しいかな?




”寒い国から帰ったスパイ”(65年)☆☆☆☆
”鏡の国の戦争”(68年)*
”リトル・ドラマー・ガール”(84年)*

ロシア・ハウス”(90年)☆☆☆
”テイラー・オブ・パナマ”(01年)☆☆☆
ナイロビの蜂”(05年)☆☆☆

裏切りのサーカス”(11年)☆☆☆☆
誰よりも狙われた男”(14年)☆☆☆
われらが背きし者”(16年)☆☆☆

上記が映画化された作品(*は未見、☆は個人的な好み)何れも派手なアクションがあったり拳銃をやたらぶっ放し、カーチェイスで追い詰める、、何て事は一切なくひたすら心理描写やセリフの裏に潜む真実を見極める、、と言う内容に徹している。

この”ロシア・ハウス”にしてもモスクワのブックフェアーでカーチャ(M・ファイファー)がイギリスの出版社の社長、ブレアー(S・コネリー)に紙袋に入った手書きのノート本を3冊渡して欲しい、、と会場に出店していたイギリス人の知人へ懇願する場面からスタートする。

そのノートには東西のパワー・バランスを一気に崩しかねない、ソ連核兵器システムの重大な欠陥が事細かに記されていた。ノートは英国情報部ロシア・ハウス”の手に渡るが肝心のブレアーは情報部から執拗な尋問を受けてしまう。彼はかつてソ連の作家村で”ダンテ”と名乗る作家と交流を持っていたからだ。

にわかスパイに仕立て上げられたブレアーはソ連へ渡りカーチャと接触、ダンテとも再会を果たすが、CIAKGBも参戦した英米ソ三つ巴のスパイ戦争に巻き込まれていく。そんな騒動の中で誰も信用出来ない事態になりブレアーとカーチャの間には、国境も政治的思惑も越えた愛が芽生えつつあった。by一部ウィキ

とそんな展開になるのだがこの映画でのショーン・コネリーは”007”とは全く正反対の人物像、それに出版界の人間だしスパイ業は素人だ、制作当時はもう還暦だったと思うがふたまわり離れたカーチャ、ミシェル・ファイファーとの究極のラブストーリーに仕上がっていた。これもジョン・ル・カレにしては珍しい展開だった?

素人がスパイ業に引き込まれる手法はヒッチコック爺も良く使ったし伝統的にイギリスの技なのかも知れない。まあそれが余計に真実味を増していくので見ている側は可哀想だな、、とは思っても最後まで目が離せなくなる。