”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

唯一の通信機器テレックス

これはテレックスと呼ばれた電子通信機だ。まだファックスやら海外との電話網が発展する前の時代、海外にある子会社、支店、或いは取引先との連絡には欠かせない通信手段として大活躍していた。30年代に発明されたものだが一般企業では50年代になって導入、それから70年代は全盛期、そして80年代始めくらいまで使われてた。

イメージ 1原理は非常に単純、、要するに紙のテープに穴を開けテレックス回線を使い諸外国へ送付、相手先では穴の開いたテープが文字になって紙面に打ち出されて行く仕組みだった。電報とそんなに変わらないのだが文字数で料金が掛かるのじゃなくてテープの長さで課金される仕組みだった。

従って短く手早くテープに文字を打ち込むのは勿論だが暗号風に相手には略語が通じるよう事前に取り決めをしておかないといけないのだ。

FS 1DBL M/M NAKAMURA, J ARR03/DEC DEP08/DEC 185 UPPER FL
REQ ARR LATE VIA JL777NRT/PMENT AMEX GUARA

となり意味は、、”ダブル一部屋確約、氏名は中村ご夫妻、到着12月3日、出発12月8日、料金は18500円、上層階希望、更に到着便はJALの777便成田で遅くなる。支払いはアメックスカードで保証”

って事なのだ。これはホテル部屋を海外の事務所から予約しましすよ、、と本社へ連絡する際の文面でこの後に仮に変更やキャンセルになるとその都度本社の予約係とやり取りをする事になる。大体こんな行数で一件の予約につき精々2行でまとめるのが決まりだった。海外からわざわざ予約を入れているので”その期間は満室で取れませんよ~、、”なんてのはナシ、そりゃ行ったり来たりの連絡じゃコストが高くつくので海外の事務所から入る予約はもう無条件で受け入れる決まりだった。まあそれでもナイものはないよな~、、”忙しい時に部屋は売るな”、”もっと暇な時期に売るのがセールスマンの腕の見所だろ”、、と勝手な事ばかり言って来る本社とはしょっちゅう揉めていたっけ、。

海外の事務所から夜も遅くなって一人このテレックスに向かいカタカタやっているとジェームス・ボンドが暗号の送信をしている秘密っぽい気分にもなったがこれを間違いなくやって置かないとお客さまが到着してから大変な事になるのだ。結局”テレックスわが友”とはその後6年も付き合っちまった、、。83年くらいになるとやっとファックスに移行したのだがその時はもう宿泊の予約を送る立場じゃなかった、。

しかし一度覚えた自転車の乗り方は忘れない、、と言うが今でも東京本社のコールサインを覚えている、、J22790と言うのがそれだ。今じゃ何の役にも立ちませんが、、アハハッ。