72年に公開されたマフィア一家の壮絶なる歴史を描いた映画、これは押しも押されもしない秀作、いやこれぞ名画だと信じている。何がそんなに素晴らしいん??と言われても困るがマリオ・プーゾが長い年月をかけて書き上げ出版した原作をものの見事に映像化し、その原作をも超越した映像美、音楽、、そして何と言っても文章では絶対に表現が不可能な演技力に後押しされているのだ。
一つの例として映画の冒頭、ドン・コルリオーネとジョニー・フォンテインの初顔合わせでは、
(以下の場面に至るまでちょっとした会話があるのだが)本筋は、;
ドン曰く:You look terrible. I want you to eat, I want you to rest well. And a month from now this Hollywood big shot's gonna give you what you want.
何て酷い顔をしているんだ。しっかり食べてちゃんと静養するんだ。そうすれば一か月くらいのうちにはそのハリウッドの高慢ちきもお前の望むものを提供するさ。
ジョニー:Too late. They start shooting in a week.
遅いんだよ、それじゃ、撮影は一週間のうちにもう始まってしまうんだ。
ドン:I'm gonna make him an offer he can't refuse. Okay? I want you to leave it all to me. Go on, go back to the party.
良し判った、ヤツが絶対に拒否出来ない条件を突き付けてやるさ。全部俺に任せてさあお前はパーティに戻ってろ、、。
っともうべそかいているジョニーに対してドン親分は太っ腹なところを見せる。でもこれは活字で読んだだけじゃあのコルリオーネの凄さそれにこの映画全編に繋がるマフィア・ドンの底力が見えて来ないのだ。
こんな簡単なセリフに込められた実に見事なマーロン・ブランドの演技力があるからこそ歴史に残る名場面として残っているのではないだろうか??しかもこの場面、我等映画ファンには題材となったベストセラー小説は”地上より永遠に”、ヤツと称された高慢ちきな監督はフレッド・ジンネマン、、時代背景は52年、そして泣きついて来た落ち目の歌手、ジョニー・フォンテインはあのフランク・シナトラがモデルって事は瞬時に判るのだ。そして”うん、これが真実だったのか?”と観客に信じ込ませる、これは演出の素晴らしさだ。後年、これは絶対に事実じゃない、、とフランク・シナトラが訴訟を起こしたが実際にそうじゃなかったとしても見事にそんな逸話を映画の中に再現したって事が凄いのだ。
そしてこの映画には三部作全てに置いてこんな印象深いセリフが満載されている。監督をオーケストラの指揮者に例えればその独創的な指揮ぶりは勿論だが演出にマッチした脚本、全編に流れるとても犯罪映画とは思えない甘美でもの悲しいニーノ・ロータのテーマ曲等々があるべきところへスト~ンと収まって忘れられない名作に推しているのだ、。