”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”三人の名付親”(48年)

70年以上も前に制作された映画だ、、原題はそのまま”3 Godfathers”でジョン・フォード監督が無声映画時代に作られた作品をリメイクし主演にジョン・ウェインを配している。撮影当時、ジョン・ウェインは41歳と若く共演したペドロ・アルメンダリスはメキシコ出身の俳優さん、63年の”007/ロシアより愛をこめて”出演が51歳の頃で007が遺作になってしまった。

 

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映画は単純だが背景には宗教的な筋書きがあり、まさにクリスマスを背景に設定したストーリに相応しい。”ベン・ハー”やその他大作映画がそうであったように年末の季節、アメリカじゃこれが重要な要素なのかも知れないな、。

仲良し悪党三人組はさしたる計画もなく流れ着いたアリゾナの街で銀行強盗に押し入る。幾ばくかの金を奪って逃げるのだが一番若い仲間のキッドは保安官に肩を撃たれてしまう。やっとの事で逃げるが逃走時に大切な飲料水袋を撃たれてしまい水がない、、。それでもやっとの事で最寄りの井戸水が貯められている線路脇の宿場へ辿り着くがそこには保安官とその助手達が先回りして警戒に当たっているので水飲み場へは近づけない。

止む無く別の井戸水を求めて逃走を続けるのだが其処には捨てられた幌馬車が、そしてその中には出産が迫っている瀕死の女性が居て三人に助けを求めて来る。三人の協力で赤ん坊は無事生まれるが女性は息が絶えてしまう、、三人は子供の名付け親として立派に育てると約束をさせられるのだが、。

その妊婦が何故そんな荒野に停められた幌馬車に一人居るのかは最初に幌馬車へ入って行ったボブ(J・ウェイン)が女性から聞かされた顛末を仲間二人に語るだけで見ている我々も顛末が映像じゃないのでその説明だけが頼りだ。しかし映画の冒頭に戻って三人組が街へ入って来たシーン、”B・Sweet”と表札に書かれた民家で庭の手入れをしていたオヤジに遭遇している、、彼らは”Be Sweet”と名前を読んでそのオヤジを冷やかすのだがその時のセリフに巧妙に伏線が敷かれているのだ、。この辺りは脚本家の腕の見せ所じゃないだろうか?

それからが砂漠を相手に生き残りの生存競争になって行く。別に彼らが仲違いしてお互いに殺し合うとかの現代的なストーリーではないのだが彼ら三人を追う保安官とその仲間たち、そして生まれた赤ん坊に”ロバート・ウィリアム・ペドロ”と三人の名前を着けたその運命は、と進んで行く。コレはもう完全にジョン・フォード監督の独壇場、じっくりと砂漠の逃亡劇を見せてくれる、。

日本じゃ時代劇は黒澤監督だが西部劇はジョン・フォード、、それを実感させてくれる秀作だ。所々見た記憶が蘇って来たがやはり素晴らしい映画を見た後の満足感は何にも代えられないかな?個人的にはジョン・ウェインのデビュー作、”駅馬車”(39年)を始め”シャイアン”(64年)まで全部大好きだ。